文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2021年7月10日に公開されたものを転載しています。
最初のコンセプトを墨守した、市販版CE 04!!
BMWの電動スクーター第2作となる「CE 04」のコンセプトが公表されたのは2017年のことでしたが、鋼管シャシーの上にフラットシートを配置する未来的デザインそのままで、市販バージョンが生まれることになることを予想した人は少なかったと思われます。
市販版CE 04の今夏の公開はかなり前から予告されていましたが、実際に明らかにされたその姿はほぼ最初期のコンセプトどおりであり、CE 04プロト公開時からそのスタイリングを支持していた人たちの期待は、全く裏切られなかったと言えるでしょう。
CE 04がターゲットにするのは、都市部の移動手段として2輪EVを求める層です。搭載する電動モーターは最大出力31kW(42hp)で、0〜50km/h2.6秒という加速性能を有しています。なお欧州市場レギュレーションをメインににらんで作られる低出力版でも23kW(31hp)をマークし、120km/hの最高速を可能にしています。
すべてのEVで気になるテーマである航続距離については、60.6 Ah(8.9 kWh)のバッテリーを備えることで約130kmを実現(低出力版は100km)。ライディングモードはエコ、レイン、ロードの3つが標準ですが、オプションでダイナミックという走りを楽しめるモードを追加することが可能です。
以下はU.S.モデルでの話になりますが充電については、家庭用120Vのレベル1ではフル充電に要する時間は4時間20分。ガレージの壁面や公共充電器の240Vのレベル2では、充電時間は1時間40分まで短縮できます。
レベル2での45分間充電でバッテリーは20%から80%までチャージできますが、日本では出先での充電はCHAdeMO(チャデモ)に頼るというケースが多く、初代BMW製電動スクーターのC evolution(プラグイン単相200V)同様に、日本でCE 04を所有するユーザーは自宅での充電が主・・・になるのではないでしょう
めっちゃロングホイールベース! その乗り味が興味深いです
CE 04のフレームは鋼管製で、全長は90インチ≒2,286mmと旧C evolutionよりも長く、ホイールベースはICE(内燃機関)2輪大型クルーザーモデル級の66インチ≒1,676mmもあります! フロントが120/70R15、リアが160/60R15というタイヤサイズなので見た目的に小柄なのかと錯覚しますが、実際のところCE 04はかなり大柄な2輪車といえるでしょう。
また大きな電動用バッテリーを搭載するため、CE 04の車重はC evolution(275kg)より軽くはなっていますが、それでも230.8kgとなかなかヘビーです。ただ、バッテリーは低い位置に搭載されているため低重心で取りまわしは楽と思われます。そして電動車ならではのモーター逆回転によるリバース機能も有しています。
気になるCE 04の価格は・・・1万2,000ドル〜≒132万円〜で、アメリカでの価格はC evolutionより1,000ドル安くなっています。C evolutionはアメリカでのセールスは不調でしたが、CE 04は前作よりも受け入れられることになるでしょうか・・・? 注目したいです。
ICE車に比べるとEVの売り上げは微々たるものなのが世界の現実ですが、それはさておきと言わんばかり? に、BMWはメジャーブランドの中では最も電動化に力を入れているメーカーと言えます。電動マキシスクーターの意欲作であるCE 04のデビューは、この分野のリーディングカンパニーとなろうとしているBMWの勢いを感じさせる出来事と言えるでしょう。
BMW CE 04 の主な特徴
・定格出力15kW(20hp)最大出力31kW(42hp)
・低出力バージョンは定格出力11 kW(15hp)最大出力23 kW(31hp)
・60.6 Ah(8.9 kWh)バッテリー搭載
・航続距離は約130km(低出力バージョン100 km)
・BMW4輪EVに採用されているシステムをベースにした充電技術
・ASC(自動安定制御)によるスリップ制御
・exworksオプションとしてDTC(ダイナミックトラクションコントロール)採用
・3つのライディングモード「エコ」、「レイン」、「ロード」を標準装備
・オプションとしてライディングの喜びのための「ダイナミック」ライディングモードを用意
・ワンピース・スチールチューブのメインフレーム
・フロント35mm径テレスコピックとリア片持ちスイングアームのサスペンション
・ABSを備えた強力なブレーキシステム
・オプションとしてバンキング機能を備えたABS Proを用意
・統合されたマップナビゲーションを標準装備した10.25インチTFTカラースクリーン
・LED照明ユニット採用
・アダプティブヘッドライトプロとライトをexworksオプションとして用意
・車体側面と前面の収納コンパートメントを採用
・サイドヘルメットコンパートメントは座ったまま操作が可能
・USB-C充電ポートを備える携帯電話充電コンパートメント
・未来志向のデザインと配色
・さまざまなオプションやライディングギアも用意
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)