文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2021年6月12日に公開されたものを転載しています。
後発のホンダが、商業的大成功をおさめました
バンキングが可能な前1輪・後2輪という構成のコミューターを最初に考えたのはホンダ・・・というわけではなく、1970年代半ばには「ダイハツハロー/ハローBC」が、そしてさらにその前には、英国のBSAグループ傘下のブランドになっていたアリエルから、「アリエル3」というモデルが生み出されていました。
バンキングが可能な前1輪・後2輪のコミューターを作ったメーカーとしては後発のホンダは、この分野で最も成功をおさめた企業になりました。ホンダは3つの車輪を持つスクーター・・・ということで、「スリーター」という造語とともに1981年11月に第1弾の「ストリーム」を発売。そして翌年の10月には第2弾の「ジャイロX」を発売しています。
1985年10年には、ビジネス用スリーターとして「ジャイロ・アップ」がデビュー。1990年には雨天時も快適に走れるように、ワイパー付きスクリーンとルーフを備えた「ジャイロ キャノピー」が追加。21世紀の2008年にはジャイロXとジャイロ キャノピーが、ともに水冷4ストローク50ccエンジンを新採用するなどの改良を受けました。
ついに2021年に電動版がデビュー!
今日もジャイロXとジャイロ キャノピーは、ホンダのビジネスモデルとしてラインアップされていますが、今年の3月にモバイルバッテリーパックを採用するビジネス用電動3輪スクーター、ジャイロ e:(ジャイロ イー)が法人向けに発売されました!
なおモバイルパワーパック採用第3弾となるジャイロ e:の位置付けとしては、2008年に生産終了したジャイロ アップの電動化バージョンとなります。ICE(内燃機関)車のジャイロXとジャイロ キャノピーに、電動のジャイロ e:を加えることでラインアップを拡充しているわけです。
電動システムは基本的に先に登場したベンリィ e:の仕組みを踏襲するもので、モバイルパワーパックの配置と96V系電力、ベクトル制御で三相交流の電気が供給されるモーター、そしてリバース機能などは、ベンリィ e:同様です。
いずれジャイロXやジャイロ キャノピーも、ジャイロ e:のメカニズムを流用して電動化されることになるのでしょうか? 今後の発展に注目したいですね!
ホンダ ジャイロ e: 主要諸元
車名・型式 ホンダ・ZAD-EF13 全長×全幅×全高 1,945×710×1,030mm 軸距 1,360mm 最低地上高 93mm シート高 710mm 車両重量 141kg 乗車定員 1名 一充電走行距離 72km(30km/h定地走行テスト値)最小回転半径 1.9m
原動機形式・種類 EF13M・交流同期電動機 定格出力 0.58kW 最高出力 3.2kW[4.4PS]/2,300rpm 最大トルク 13N・m[1.3kgf・m]/2,300rpm
タイヤ 前 90/90-12 44J 後 130/70-8 42L ブレーキ形式 前後 機械式リーディング・トレーリング 懸架方式 前 テレスコピック式 後 ユニットスイング式 フレーム形式 アンダーボーン
駆動用バッテリー Honda Mobile Power Pack 2個 バッテリー種類 リチウムイオン電池 バッテリー電圧/容量 50.4V/20.8Ah
価格 55万円(税込)
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)