文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2021年6月30日に公開されたものを転載しています。
創業は2010年! コンペティションにも熱心に参加しています!
フランスのEM=エレクトリックモーションは、2010年に創業した新興メーカーですが、フルサイズの本格電動トライアルマシンを作るメーカーとしてはパイオニア的存在であり、「最新の老舗」とも呼べる存在です。同社社長のフィリップ・アレステンは、元々ICE(内燃機関)車トライアルマシンを作るスコルパの社長で、スコルパがシェルコ傘下になったのを機にEM創業をすることになりました。
2輪EV開発期間を経て、同社初の電動トライアルであるEM LITEは2012年末に完成。そして2013年には、競技用モデルのEMスポーツ(その後、EM5.7に発展)がデビュー。EM5.7はバスティアン・イエットのライディングでフランスのトライアル選手権に参戦。ICE車のライバル相手に4位入賞をするなど、電動トライアルの可能性を実証することに成功します。
2014年もイエットはEMファクトリーライダーとしてフランス・トライアル選手権に参戦。シニア2カテゴリーで優勝し、参戦2年目で表彰台の頂点に立つ偉業を成し遂げています。また同年、EMは電動トライアルとして初めて、FIM世界選手権に参戦(賞典外)。2017年からスタートしたFIMのトライアルE ワールドカップにもEMは毎年参戦し、コンペティション活動で得たノウハウを積極的に製品造りにフィードバックしています。
2019年から、EPUREシリーズをリリース!
2015年にEMは、全世界に500人の顧客を獲得。2016年には世界の20箇所以上に「EMスポット・テストセンター」を設立し、年毎にマーケットを世界に拡大することに成功しています。そして2019年にはそれまでの小さな質素な工場から、近代的設備を持つ新工場へ移転。この新体制の下で生み出されたのが、従来モデルよりも大幅なアップデートを果たした電動トライアルマシン、イーピュア・シリーズです。
現行のイーピュア・シリーズは、ライト、スポーツ、レースの3モデルがラインアップされています。「ライト」はいわゆるエントリーモデルですが、そのバッテリーとモーターは上位モデルと同じ物を搭載。搭載された3つのパワーマップを、自分の技量やコース状況に応じて変更することで、パワー特性をアジャストすることが可能です。
そして「スポーツ」は、ライトではオプション扱いのPRB=プログレッシブ・リジェネレイティブ・ブレーキと、PELS=プログレッシブ・エレクトロニック・レバー・スイッチを左ハンドルに標準装備しています。
そして最上級の「レース」は油圧ダイヤフラム式クラッチを採用し、ICE搭載トライアル車と「ガチ」で戦うことを目的に作られています。クラッチの採用によりイーピュア・レースは、かつてのEM5.7よりもセクションの走破性や、クリーンのとりやすさをはるかに向上させています。
嬉しいことに!! 日本でもEMを購入することは可能です!
なおEMの製品は、日本ではトライアルプロショップ トライアルスナリタで取扱しています! 同社の成田匠さんは、1990年代FIMトライアル世界選手権で活躍した名手で、EM設立間もないころからEMと関わってきた人物でもあります。
本格電動トライアルマシンのEMの走りを、日本でも体験することができるのはありがたいですね! 詳しくは、下記のリンクからお問い合わせください!
エレクトリックモーション イーピュア・レース 主要諸元 ※2021年型
バッテリー リチウムイオン式 50.4V 容量 1,875Wh ライフサイクル 1,000回 充電時間 3Hours w/15A標準充電器(2.25Hours w/25Aオプション充電器) 航続距離 26.5マイル(42.6km)定格出力 6kW 最高出力 11kW クラッチ 油圧式
フレーム 15CDV6スチール スイングアーム アルミ合金 サスペンション 前 テックレーシングアルミニウム 6.9インチ(175.3mm)トラベル 後 R16V 6.7インチ(170.2mm)トラベル タイヤサイズ 前 2.75-21 後 4.00-18 ブレーキ 前 182mmディスク 後 150mmディスク 車重 75kg ホイールベース 52.2インチ(1,325mm) 最低地上高 12.6インチ(320mm)シート高 26.4インチ(670.5mm)
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)