油冷750を元に現代的なリッター超え旗艦車の指標を作る
GSX-R750の軽量コンパクトハイパワー思想をそのままオーバーリッターにも投入、初代で130ps/乾燥197kgと破格の性能を実現したGSX-R1100。このクラスでもその基本目標が生きることが確認され、ツアラーから無制限レースまで幅広く支持された。基本的にはR750が受けた変更をR1100が1年後に受けるというように推移し、750はレースベースとしての新鋭の進化、1100はほぼ同様の構成を後追いしつつ互いが進化してGSX-Rシリーズに厚みを持たせた。
1986 GSX-R1100(G)
初代R750(F)登場の翌年、R750からボア×ストロークとも拡大したφ70×48.7→φ76×58mmの1052ccで130psを発揮する油冷エンジンを、R750を元に強化したフレームに積んでGSX-R1100が登場。乾燥200kg切りの197kg。足まわりもR750ベースだがホイールは2.75-18/4.00-18と1サイズ幅広。
1987 GSX-R1100(H)
1987年型Hはフロントアクスルをφ15→17mmに大径化しタンク形状を変更。
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1988 GSX-R1100(J)
1988年型Jはスポーク形状を変えてリヤを4.50幅に、タイヤも150→160に拡大。
1989 GSX-R1100(K)
4年目Kで初フルチェンジ。エンジンは1052→1127ccとし搭載位置を12mm下げ、吸排気もBS34SS→スリングショットBST36+SCAI/左右出しEXに。フレームは角型→スムージング強化型で25%剛性向上しフォークもφ43mmに大径化、前後ホイールも17インチ(3.50/4.50)に。
1990 GSX-R1100(L)
GT路線を明確にし、1990年型Lでは倒立フロントフォークは倒立(φ41mm)を新採用。リヤホイールも1インチ拡大して5.50幅とした。
1991 GSX-R1100(M)
Kから2年後の1991年型Mは再度のフルチェンジ。エンジンは2→1バルブ1ロッカー化、キャブもBST40にされMAX140psに。外観もスラント化して2灯の前面にクリアカバーを追加、SCAIの導入部形状も変更。テールランプも2灯化したが、乾燥246kgと重くなっていた。
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1992 GSX-R1100(N)
1992年型はカラー変更のみで、GSX-R1100の油冷最終モデルとなる。
1993 GSX-R1100W(P)
1992年型NでR750が水冷化したのに合わせ、1年後の1993年型MでR1100も水冷化し、車名もGSX-R1100Wに変わる。エンジンは排気量もφ75.5×60mmの1074.5ccと変わり、バルブはロッカーアーム駆動から直打式になり、BST40キャブ/左右出しEXとで市販車として当時最高の155psを発揮していた。
1994 GSX-R1100W(R)
最速GT路線を走るGSX-R1100Wは水冷2年目の1994年はカラーリング変更。ただ、重量が増えた。
1995 GSX-R1100W(S)
1994年の重量増加の反省からか、1995年型Sで10kgの軽量化(5角断面アルミフレームや新装備のφ43mm倒立フォーク/3.50-17・5.50-17サイズのホイールを各薄肉化し231→221kgに)とライト形状/カウルの変更を行うが、以後最終となる1998年型Vまでカラー変更のみで推移。1999年にはGT発展型としてメガスポーツの祖となるハヤブサにバトンを渡す。
レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部
本企画はHeritage&Legends 2020年3月号に掲載された記事を再編集したものです。