文:太田安治/写真:赤松 孝
Kabuto「F-17」|テスト&レポート
風を味方にするスポーツライド用フルフェイス
ヘルメットメーカーの最高峰モデルはレーシングユース前提のものが多い。安全性、軽さ、機能を追求した高価な素材や手間の掛かる製法が価格に反映されるのは当然だろう。
新登場の「F-17」もサーキット走行を踏まえたカブトのハイエンドモデルだが、税込み5万1700円に抑えられていることが第一の魅力。生産工程の合理化で品質を犠牲にせずに価格を抑えている同社らしい特徴だ。
ホールド性重視の内装により、被り心地は頭全体を包み込むタイプ。ヘルメットの自重が軽いことと併せ、頭を前後左右に振った際に余計なオツリが来ない。このブレにくい被り心地が第二の魅力。さらに縦長、横長といった頭の形にも合わせられるインナーパッドも用意されている。
三番目の魅力がカブト製品らしい空力特性への徹底した拘り。帽体後部のウェイクスタビライザーに加え、新たに採用された帽体上部のクレストスポイラーによって高速走行時の横振れとリフト(上方向に浮き上がる動き)を抑える。加えてコーナリング中、スクリーンよりも内側に頭が位置したときでも走行風を採り入れるサイドベンチレーションも装備。邪魔な風を逃がし、快適な風を捕まえる工夫には感心するしかない。
インカム取り付けスペースも確保されているから、サーキットユースだけではなく、高速道路を多用するツーリングにもお勧めできる。
テスター太田安治の欲張りリクエスト
現実的な使用条件に合わせて割り切った開発コンセプトがカブト製品らしくて好感が持てる。グラフィックモデルも追加されるはずだが、さらに軽さを追求したカーボンファーバー帽体仕様があってもいいと思う。
文:太田安治/写真:赤松 孝