文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ホンダ「スーパーカブC125」インプレ・解説(太田安治)
ロングストロークエンジン採用で一層熟成された羨望の1台
シリーズ累計生産1億台を突破! と、世界で一番愛されているコミューターのスーパーカブシリーズ。「乗りやすい・頑丈・低価格」のイメージが強いだけに、C125が2018年に登場したときは賛否両論が巻き起こった。125ccというシリーズ最大の排気量、キャストホイールにディスクブレーキ、そしてなにより約40万円という価格に話題が集中したのだ。
だが、実車を見て質感や装備の良さを知ったライダーの多くは、C125が高級感のある小粋なストリートモデルに仕上げられていることに納得した。事実、このC125は発売以来多様なライダー層から支持されるヒットモデルの座を守り続けている。
2021年9月に発売された新型は初のモデルチェンジを敢行。目玉はボア×ストロークと圧縮比の変更などによって最新の排出ガス規制に対応したエンジンで、僅かながらパワーと燃費も向上している。この新エンジンは先にモデルチェンジを受けたグロム、C125と同時にモデルチェンジされたモンキーと同系だが、C125はカブシリーズ伝統の自動遠心クラッチ+4速ミッションを採用し、小型AT限定免許で乗れる仕様になっている。
最高出力の向上は0.1馬力なので、フィーリングは前モデルと変わらないと予想していたが、乗るとだいぶ印象が違う。前モデルはゼロ発進でグイッ! と前に出る力強さがあったが、新型はこれがマイルド。逆に前モデルで感じた高回転での重ったるさは薄れ、回転リミッターが効くまでフリクションを感じず軽やかに伸びる。
不思議に思ってカタログ値を確認すると、最大トルクの発生回転数が1250回転も上がっていた。個人的には前モデルの重厚さが好みだが、パワーを引き出して爽快な走りを味わいたい人には新型がいいだろう。
今回の試乗は都心部がメインだったが、改めて感じるのは安定性の高さ。前後17インチを採用したフルサイズの車体と充分なストロークを確保したサスペンションで、荒れた部分が多い都市部の道路でも凹凸を気にせず安心して走れるし、フルブレーキ時の車体挙動も落ち着いている。これがホイールが小径でホイールベースも短いスクーターやミニバイクとの決定的な違いだ。
近所へ買い物に行くつもりが、つい足を伸ばして遠出してしまいたくなる余裕と快適さもC125の魅力。ABS装備で価格は44万円になったが、乗れば高いとは感じないはずだ。
ホンダ「スーパーカブC125」カラーバリエーション
初代スーパーカブC100の機能美を継承しながら、随所に上質感も漂わせる。ボディカラーはグレーの代わりにレッドが追加された。
パールネビュラレッド
パールニルタバブルー
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