かつて、オートバイ乗りたちの正装といわれた革ジャン。スピードと戦い、生身を曝け出して疾走するオートバイ乗りは自らを護り、風と戦うために革をまとったのだろう。そして今、革ジャンの似合うオートバイがある。漢・カワサキ・Zは革ジャンが似合うオートバイだ。
文:中村浩史/写真:折原弘之/モデル:小野塚雅人

幼い頃に観たカワサキ乗り
中学生時代の刷り込み

画像: ▲株式会社カドヤ 代表取締役 深野将和 氏

▲株式会社カドヤ 代表取締役 深野将和 氏

「カドヤの倅ですから(笑)。お客様もカドヤの社員も、もちろんバイク乗り。自然と小さい頃から、身の回りはバイクばかりでした」と言うのは、この記事で登場するZ1-Rのオーナー、カドヤの深野将和代表。

バイクの原体験は、もう幼稚園のころ。自宅とカドヤの店舗が一緒だったこともあって、休みともなると、ライダーが大挙してカドヤに押し寄せていた。1974年生まれの深野さんが物心つく頃といえば、80年代初頭。日本にバイクがあふれ始めていた。

「小学校高学年、中学生ともなると、だんだんバイクの違いも分かってきますよね。あれはCB、あれはVMAX、あっちはカタナか、って。そのなかで、やっぱりカワサキ乗りはなんか違ったんです。ワルいというか、シブい、カッコいい、ってイメージでした」

空冷4発、AMAスーパーバイクレプリカ、第三京浜カスタムなんて言葉がもてはやされた頃、その主役には確かにカワサキ乗り、Z乗りがいた。900ニンジャ、ZZ-R、そして空冷Zたち。大多数のZ1/Z2カスタムにまじって、Z1000MK2やZ1-Rもチラホラいた頃だ。

「そのZ1-Rに強烈に惹かれたんです。中学生の頃に在籍していたカドヤの社員さんがZ1-Rに乗っていて、それを目の前に『この淡いブルーはなんだ!』とか『このカクカクとした形がカッコイイ』って。当時は電車や、クルマも1BOXカーが好きな少年でしたから、角ばったZにいっぺんに惹かれてしまったんでしょう」

バイクの免許を取ってからは、スズキ車に乗ることが多かったという。それは、小学生低学年のころ、カドヤの契約ライダーだった水谷勝さんに、息子同然に可愛がってもらっていたから。けれど、いつかはカワサキZを、角Zを、Z1-Rが欲しかった。

40歳を目前にカドヤ社長のバトンを受けた。自分が目指すカドヤを具現化するために、シンボルになるバイクを買おうと決めた。それが、このZ1-R。親交のあったブルドック・和久井さんに作ってもらおう、と決めた。

「カドヤは革ジャンを作って、革ジャンに育てられた革ジャンのメーカーだと思っています。テキスタイルもパンツも小物も作りますが、やっぱりカドヤは革ジャンの会社。シンボルは、革ジャンが似合うバイクじゃなきゃ」

ほぼお任せで作ってもらったZ1-Rは、浅草の入り組んだ路地をそろそろと走るスピードでも、息つきなくスムーズ。しばらく乗らなくてもセル一発で始動し、調子が悪くもならない。現行ネイキッドに乗っているのと全く変わらない、と深野さんは言う。

「高機能のテキスタイルウエアは現行スーパースポーツ、革ジャンは旧車、絶版車みたいなもんだと思うんです。その旧車にいつでも乗れて、セル一発でエンジンがかかるって、革ジャンを毎日のように気軽に着る、ってことにつながると思うんです。カドヤは、そういう会社でありたいです」

画像: ▲テイストofツクバには油冷GSX-R750参戦する深野さん。革ツナギ姿ならスズキ、革ジャンはZ1-Rなのかな。

▲テイストofツクバには油冷GSX-R750参戦する深野さん。革ツナギ姿ならスズキ、革ジャンはZ1-Rなのかな。

This article is a sponsored article by
''.