ヤマハ伝統の「マジェスティ」ブランドで、現行唯一のモデルとなる155ccのマジェスティS。
今回、通勤をはじめ普段の相棒として1カ月間ともに過ごした。そこで分かった当モデルの特徴をお伝えしたい。
文:山口銀次郎/写真:柴田直行

ヤマハ「マジェスティS」インプレ(山口銀次郎)

画像: YAMAHA MAJESTY S 総排気量:155cc エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ単気筒 シート高:795mm 車両重量:145kg 税込価格:37万9500円

YAMAHA MAJESTY S

総排気量:155cc
エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ単気筒
シート高:795mm
車両重量:145kg
税込価格:37万9500円

2000年前後に掛けてのビッグスクーターブームを牽引したヤマハ・マジェスティ。それまでの250ccスクーターとは異なるスタイリッシュかつ使い勝手の良いキャラクターで、老若男女に受け入れられ爆破的人気を誇り、その後のスクーターカルチャーのベンチマークとなったと言っても過言ではない。そんなマジェスティの血脈を受け継ぐのがマジェスティSだ。

250ccのGT的要素の強かったマジェスティに対し、155ccエンジン搭載でよりコンパクトに、より軽快感を増したキャラクターとし2014年にマジェスティSはデビューを果たす。現在まで1度のモデルチェンジにとどまるが、そのキャラクターは一貫し125ccクラス同等の車格でありながら高速道路走行も可能にする使い勝手の良いモノとなっている。

二人乗りでの高速道路走行を想定した車体造りは本格仕上げで、街乗りオンリーの原付2種モデルとは異なる骨太でタフな設定となっている。とはいえ、今日日の125ccスクーターと遜色のないサイズ感や取り回しのしやすさなど、スクーター文化が成熟しきった時期に開発されただけある構成で、オーバー125ccクラスのパーマネントモデルと言えるかもしれない。

ウインドスクリーンやプロポーションを形成する過剰な演出などを省いたデザインは思い切りが良くも見えるが、実際には乗り手にとってあまり影響を及ぼさない部類のパートのため、そのシンプルさに好感を持つことが出来た。

また、スクリーンやハンドルバーへのジョイントといったカスタムパーツなどプラスアルファで楽しめる、そんなスクーターとしてのベーシックであり懐の深いスタイリングを採用しているところも憎いではないか。

画像1: ヤマハ「マジェスティS」インプレ(山口銀次郎)

長時間走行でも安定した性能を発揮する水冷タイプのエンジンは、上質なフィーリングと静粛を生む特上品で、贅を尽くした仕上がりをみせる。すでにカタログからドロップしている250ccのオリジナルに代わる、マジェスティブランドを一手に担うに相応しい隙のない堂々とした雰囲気をまとっている。

渋滞必須の街道走行では、125ccモデル顔負けの軽やかなステップワークが活き、それでいて圧倒的な加速力で他車をリードすることができる。それも涼しい顔をしながらアクセラレターひと捻りで、だ。現代の電子制御のインジェクション仕様では、特別過激なわけでも無下に抑え込まれてもいない、程よい出力特性に演出されているものだが、マジェスティSは元気で活発な印象を受ける飽きのこない出力特性となっている。もちろん、一定速でクルージングをしたり低速での繊細なコントロールが必要になったりする場面等々では、それぞれ欲するチカラの演出で器用に応えてくれるのだ。

画像4: 【燃費】ヤマハ「マジェスティS」通勤インプレ|1カ月間860km、街乗り・タンデム・高速道路走行をしてみて分かったロングセラー155ccスクーターの実力
画像5: 【燃費】ヤマハ「マジェスティS」通勤インプレ|1カ月間860km、街乗り・タンデム・高速道路走行をしてみて分かったロングセラー155ccスクーターの実力

許容のある前後ショックは、体重80kgの一人乗りでは若干硬質感があるツッパった印象が強く、動きが悪くはないがしっとりした印象が希薄だった。無論、キビキビした操作性に結びつくので、個人的にはとても好みではあった。

ただ、リアのミッドシップダンパーの効果を発揮するのは、タンデムライディング時と断言できるほど快適でベストなバランスをみせていた。コンパクトな車体でのタンデムライディングはなにかと不安定になりがちだが、頑なまでの落ち着きと、しっとりしたショック吸収性能を発揮する。チカラ強さも重量増で目減りすることなく充実の加速力をみせ、高速域でも安心して流れるに乗ることができる。長すぎないシート長設定のため、タンデムライダーが乗車しても車体との一体感を崩すことなく、軽快なハンドリングに影響を及ぼさないのは嬉しい限りだ。

画像2: ヤマハ「マジェスティS」インプレ(山口銀次郎)

また、安定感を生む要因のひとつの大経前後13インチホイールと、前後ディスク化されたブレーキシステムにより、強力な制動力を発揮するとともに繊細なコントロールをも実現してくれる。「とりあえず二人乗りできます」といったエマージェンシー的な措置ではなく、むしろ二人乗り重視といえる贅沢な設定となっている。通勤やちょっとしたアシとしてではなく、週末の越境を伴うトリップ(もちろんタンデムでも!)の相棒としても役に立つことだろう。

今回は通勤のみならず、郊外への高速道路移動やタンデム走行も行った上での総走行距離は862.5km。総給油量は、27.74L。燃費:31km/L。

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