2021年、13年ぶり2回目のフルモデルチェンジによってハヤブサは第3世代モデルが登場。磨き抜かれたエンジン、そのパワーを受け止める強固なフレームといった基本メカニズムは従来モデルがベース。しかし、最新の空力技術を取り入れながら、確かなハヤブサらしさを感じさせる新スタイリングや、高性能を安定して発揮するための最新スペックの電子制御デバイスによって、パフォーマンスはそのままに完成度を大幅に高めた。
文:山口銀次郎、ゴーグル編集部/写真:柴田直行

スズキ「ハヤブサ」インプレ(山口銀次郎)

画像: SUZUKI Hayabusa 総排気量:1339cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:800mm 車両重量:264kg 税込価格:215万6000円(グラススパークルブラック/キャンディバーントゴールド、ブリリアントホワイト/マットステラブルーメタリック)・216万7000円(マットソードシルバーメタリック/キャンディダーリングレッド)

SUZUKI Hayabusa

総排気量:1339cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:800mm
車両重量:264kg
税込価格:215万6000円(グラススパークルブラック/キャンディバーントゴールド、ブリリアントホワイト/マットステラブルーメタリック)・216万7000円(マットソードシルバーメタリック/キャンディダーリングレッド)

現代の欲求に応え高みへ飛翔する!

「アルティメットスポーツモデル」と呼ばれるのに相応しく、これまでの時代にあった究極の存在であることを知らしめてきたハヤブサ。新ハヤブサは、数多の電子デバイスを大量投入し強力な進化を果たし、それまでにない世界観を提供してくれるであろうと、大きな期待を抱いてしまうのは自然のことだろう。

精悍さに磨きをかけたボディメイクや充実の装備部品は先進のチョイスであり、眺めているだけで至福の時間を過ごせるほど整い美しい仕上がりをみせている。究極を求められるのに、「隙がない佇まい」と表現しても間違いないはず。

車格はほぼ先代と同格で、気軽に押し引き出来るサイズ感ではない。もちろん、ハヤブサの持つポテンシャルをフルに発揮するには、この車格と重量感が必須であることは頭で理解しているつもりだが、身長177cmの自分でも幾分気構えてしまうサイズ感であることは否めない。「究極に乗る」というのは、ある程度の気構えが必要であり、そのサイズ感のハードルをも手にしているということを喜びに感じるくらいが丁度良いかもしれない。

画像1: スズキ「ハヤブサ」インプレ(山口銀次郎)

少し敷居の高い印象を与えてしまったかもしれないが、この究極の塊に火が入り、タイヤがほんの数ミリ転がっただけで、それまでのサイズ感や重量感に対しての重い気持ちが吹き飛んでいた。ハヤブサが羽ばたく瞬間、重力から解放されたかのような浮遊感が得られて、そこから極上な時間が始まる! という確約にも似た絶対的な高い期待感に満たされていた。

強烈な加速力や最高速を発生させたワケでもない、ただ普通の発進であるにも関わらず、様々なサポート力の恩恵を受け、走り始めから早々に贅沢なひと時に浸ることが出来たのだ。クラッチミートの瞬間からエンジン低回転域をアシストする気遣いは絶妙で、ストップ&ゴーが繰り返される渋滞時でさえもとてつもない効果を発揮してくれる。

画像2: スズキ「ハヤブサ」インプレ(山口銀次郎)

街乗りの速度域でも、優雅で格別な太いチカラによって、その走りはラグジュアリーであり無敵感がハンパないのだ。もちろん、微細な加減速もスムーズにこなし、大味な挙動は一切ないので走行時のストレスが極端に少ないというのも大きな特徴かもしれない。

ほんの少し乗っただけでも、今までと比べものにならないラグジュアリーな走行性能を感じとれたので、道幅も狭く渋滞が良く発生する、普段なら絶対に選択することはない往復300kmほどの下道ルートにて試乗してみた。むしろ雨天時でも良かったのかもしれないが、それだけ悪環境に身を投じることで新ハヤブサの真価の一部を垣間見たいと思ったのだ。

距離や制限される速度だけではない多角的なストレスが発生するルートに於いて、新ハヤブサは「どんと来い!」状態で、微動だにすることなくことごとくライダーに快適な環境を提供し続けてくれた。単純に距離や速度、そして時間で割り出した結果だけをみれば、特別な違いがあるワケではないが、走り切った後の気持ちのゆとりや体力、気分のノリ(勢い的な)が温存されるどころか、まだまだ堪能したりない、走り足りないといった欲求が湧いてくるほど夢中になっていた。

画像3: スズキ「ハヤブサ」インプレ(山口銀次郎)

また道中、つづら折りのワインディングや他車のいないストレートなど、スポーツ性能に触れる瞬間に至ってはボーナスタイムといっても過言ではないほど、本領発揮の甘美に没頭することができた。もちろん、一定速度の走行からスポーツラインディングへの以降も淀みなく移行してくれ、常に状況を鑑みてベストなパフォーマンスを提供してくれる。この息継なしで、わがままなライダーの欲求に応えてくれる点に、新ハヤブサの偉大さがあるといえる。

究極のスペックを味わい尽くすにはほど遠い試乗だったが、むしろ普段の環境で、普段の用途で走ってみたからこそ、ライダーに寄り添うといった強烈な進化を体感できたのかもしれない。多くの電子デバイスの配備は現代的進化として当たり前なのかもしれないが、人知れず効果を発揮するものもあれば、ライダーの手応えとなるフィーリングに活きてくるものもあり、ダイナミックな様でもあり繊細さを併せ持つバランスの良さが、新ハヤブサの最大の特徴なのかもしれない。

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