2017年デビューの250を発火点に国産人気ナンバー1モデルになったレブル250、500、1100シリーズ! 今や人気で購入待ちが出るレブル1100はやっぱり「新世代」レブルな乗り味なんです!
文:中村浩史/写真:松川 忍

ホンダ「レブル1100 DCT」インプレ

画像: Honda Rebel 1100 Dual Clutch Transmission 総排気量:1082cc エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ並列2気筒 シート高:700mm 車両重量:233kg 税込価格:121万円

Honda Rebel 1100 Dual Clutch Transmission

総排気量:1082cc
エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ並列2気筒
シート高:700mm
車両重量:233kg

税込価格:121万円

なぜレブルに人気が集まるのか、理由はその走りにある?

レブル1100に乗ると、誰もがきっと気づくと思う。

「こいつ……速いぞ」

レブルと言えば、250/500/1100の3タイプがラインアップされている大人気シリーズ。特に250の人気はダントツで、2018〜20年とベストセラー3連覇を達成。通常デビューから時間が経つと新鮮味が薄れて台数が減るものだが、18年より19年、19年より20年の販売台数が多いという不思議な「レブル現象」が起きている。

新たにシリーズに加わった1100に乗ると、速いのだ。だからヘンに感じる。そこが、レブル現象のナゾを解き明かすカギなのだ。

画像: なぜレブルに人気が集まるのか、理由はその走りにある?

レブルシリーズは、今ではクルーザーと呼ばれる、いわゆるムカシの言い方をするとアメリカンモデル。寝かされたキャスター、ロングフォークとアップハンドルに低いシートでのんびりと走るのがキモチいいカテゴリーで、本家・ハーレーダビッドソンばかりを手本にしていた時代には、Vツインエンジンもアメリカンモデルの必須条件だった。

そしてレブル1100は、アフリカツインゆずりの並列2気筒エンジンを搭載するので、速いのだ! キャスターが寝かされているとはいえ、250/500ともキャスター角は同数値で、レブルが28度に対し、GB350は27.30度、NC750やCB1100は27度と、そう大差はない。

レブルって、ナニモノだ?

出力特性もハンドリングもこれはネイキッドスポーツ?

なんとなく、クルーザー的な気の持ちようで跨ってみる。ハンドルバーは遠く、シートは低いけれど、ステップ位置は前に投げ出されてはいないミッドコントロール。遠いハンドルも、アップハンドル感がなく、ライディングポジションはプルバックというより、むしろ弱い前傾姿勢になる。

走り出すとドロロロッ、というトルク感あふれる出足。ピックアップも鋭く、回転の上がり下がりにファジーさがない。270度クランクを使用した不等間隔爆発の並列ツインだけに、その回り方はまるでVツインのようだ。

画像1: 出力特性もハンドリングもこれはネイキッドスポーツ?

アクセルをパッと開けると、一瞬ラグがあってドドドッと盛り上がってくるのもクルーザーっぽさのひとつなんだけれど、レブルはそれを感じさせないスポーツティさ。さすが快速アドベンチャー、アフリカツイン譲りのパワーフィーリング。

出力がアフリカツインの100PSオーバーから87PSに抑えられ、車両重量も10kg以上増えているというのに、まるで非力さを感じない。むしろ3000回転あたりの常用回転域ではレブルの方が力強く感じるほどだ。

今回、試乗したのはDCT仕様で、クラッチ&シフトワークなしの自動変速は、シフトタイミング、出力の特性ともに不満は一切なし。発進もスムーズで、アクセルを大きく、またはゆっくり開けたときのシフトアップのタイミングも適切で、シフトダウンもスムーズに行ってくれる。DCTも、市販車に初採用されたVFR1200の時には、どうしても多少の違和感はぬぐえなかったが、ここへきて本当に完成度が高まっている印象だ。

画像2: 出力特性もハンドリングもこれはネイキッドスポーツ?

不等間隔爆発の力感ある回り方の並列ツインだけに、アクセルを開けていくと、やはり加速が鋭い。アフリカツインよりも粘り感があるのは、重く設定されたフライホイール重量が効いているようで、アフリカツインの軽い吹け上がりが少しだけ抑えられて、中回転域でドロドロドロッと粘るような特性。

それでも、カムプロフィールをレブル専用に設定し、決して重ったるくない出力特性。低回転の粘り感、高回転のシャープな伸び切りを両立し、特にDCTではエンストの心配もしなくていい、すごく完成度の高いエンジンだ。ちょっとしたダルさもキャラクターのうち、なんていう従来のクルーザーのセオリーを、ここでも覆している。

さらにレブルにはスポーツ/スタンダード/レインの3つのパワーモードに、自分で設定できるマニュアルモードを加えて4種類の出力特性を選択することができる。

この中では、やはりスポーツモードのパンチ力が鋭く、スタンダードはスポーツと同じ力感でツキがややマイルドになり、レインは濡れた路面でもタイヤのスピンを抑えられるように出力が抑えられる。今回は、スポーツの力感を味わいながら、ツキの鋭さに疲れ気味になり、スタンダードで走る場面が多かったように思う。

画像3: 出力特性もハンドリングもこれはネイキッドスポーツ?

そしてハンドリングもクルーザーの領域を超えている。クルーザーと言えば、ライダーの前方遠くにナローなフロントホイール、またはファットタイヤの小径ホイールがあって、少しの舵角でカクンとステアリングが切れる印象が強いし、すでに絶版となってしまったVT750Sあたりもそんなキャラクターだった。

けれどレブルは、まず130mm幅の18インチホイールで、寝かされすぎていないキャスター、多く取られすぎていないトレールで、ごくごく素直なハンドリングに仕上がっているのだ。

いわばNC750やCB1100に近い、ネイキッドスポーツのような手応え。コーナーに差し掛かると、180mm幅のリアタイヤのラウンド形状に沿ってバイクがバンクしていくような感覚。重い手応えもなく、急にハンドルが切れることもない、実にニュートラルなハンドリングだ。

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