文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、赤松 孝、柴田直行
ヤマハ「YZF-R7」
[諸元並び順]
●エンジン形式 ●排気量 ●最高出力 ●最大トルク ●車両重量 ●シート高 ●燃料タンク容量 ●タイヤサイズ前・後
YZF-Rシリーズらしい戦闘的なルックスと深めの前傾ポジションからはサーキットランに特化したキャラクターを想像するが、688ccのCP2エンジンは圧倒的な扱いやすさが絶賛されているMT-07と共通。
大型スーパースポーツモデルとは違って強大なパワーに臆することなくワイドオープンを楽しめる。車体剛性はMT-07より高いが、峠道レベルでも硬さに起因する重さ、神経質さを感じない設定。使い切る喜びをもたらす新世代スポーツモデルだ。
ホンダ「CBR650R」
CBR650Rの4気筒エンジンは滑らかな加速感と唐突さのないスロットルレスポンス、振動の少なさが魅力。ハンドル位置は低めだが、比較的ライダーに近い位置にあるので上体の前傾を強制されず、長時間連続走行も苦にならない。安定志向のハンドリングと併せ、ジェントルにツーリングを楽しみたいライダーにお勧め。
グリップヒーターやETC、クイックシフター、防風効果の高いハイウインドスクリーンなど豊富なオプションも揃っている。
カワサキ「Ninja650」
大柄に見える車体だが、ゆったりしたライディングポジションに低いシート高、ハンドル切れ角の大きさで気軽に普段使いできるのがニンジャ650。
並列2気筒エンジンは180度クランクを採用し、リズミカルな排気音と中回転域からトップエンドまで軽やかに伸びていく特性が心地いい。引き換えに低回転で粘らせると不機嫌な反応を見せるが、エンジンの特性に合わせて操る楽しさを教えてくれる。ETC2.0車載器の標準装備も嬉しいポイントだ。
アプリリア「RS660」
トップモデルであるRSV4のV型4気筒エンジンを半分にしたような構成で、100馬力が生む怒濤の加速力は痛快そのもの。高剛性フレームと前傾ポジションは高い荷重が掛かるサーキットで鋭いハンドリングと高い安定性を発揮する。
コーナリングABS、トラコン、ウイリーコントロール、エンジンブレーキ制御、パワーモード切り替えなど、最新の電子制御技術もフル装備。約140万円という価格に見合ったパフォーマンスを持つ。
テスター太田安治が分析!
YZF-R7 vs ライバルたち
250ccクラスからのステップアップ、大排気量車からのダウンサイジングに加え、過不足のない車格と性能でリターンライダーにも支持者を増やしている650〜800ccのミドルスポーツ。ここではR7を筆頭に、フルカウルスポーツ4台を比較してみよう。
ツーリング向きのキャラクターに仕上げられているのがCBR650Rとニンジャ650。CBRはミドルクラスでは貴重な4気筒エンジンを搭載し、スムーズな加減速フィールと突き抜けるような高回転パワー/サウンドが魅力。
対してニンジャは低中回転域の分厚いトルクと中高回転での2気筒らしいパルスで、淡々と走っているだけでも充実感が得られる。
この2台は上体の前傾度、膝の曲がりともにほどほどで、市街地で扱いやすく長時間クルージングも快適。加えて峠道レベルなら充分なスポーツ性も秘めた優等生に仕上がっている。
スポーツ性能にフォーカスしているのがRS660とYZF-R7。両車ともアメリカで人気上昇中のミドルクラスのロードレースも意識した、サーキット走行も存分に楽しめる造り。
RSは600cc4気筒のSSモデルほどではないが、強烈な加速性能を備えていて、車体も高荷重設定なので長距離ツーリング向きとは言えず、ビギナーにはお勧めできない。
対してR7はスポーツ走行に適したライディングポジションとは裏腹に、市街地でも扱いやすいエンジン特性。
車体剛性と前後サスペンションも峠道から低中速サーキットまでに合った設定で、強烈なパワーや鋭いハンドリングがもたらす恐さを感じることなく、スポーツライディングを堪能できる。
僕が感心したのは、回し込んでパワーを使いきれるエンジンとコントローラブルなブレーキ、接地感の高いコーナリング性能の好バランス。80〜90年代の250/400レプリカにも似た楽しさがある。
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文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、赤松 孝、柴田直行