2018年のデビュー以来、ビジネスバイクとしての「カブ」ではなく、上質なパーソナルコミューターとして支持されてきたスーパーカブC125が、2021年秋に新型エンジンを搭載して、モデルチェンジ! ロングストローク化されたエンジンに注目が集まる新型C125ですが、伊藤真一さんは試乗中、"車体まわりのパーツの違い"の方が、気になったみたいです。
談:伊藤真一/まとめ:宮﨑 健太郎/写真:松川 忍
画像1: ホンダ「スーパーカブ C125」インプレ(2022年)|新型は見た目やスペックでは分からない部分が大きく改善している!?【伊藤真一のロングラン研究所】

伊藤真一(いとうしんいち)
1966年、宮城県生まれ。88年ジュニアから国際A級に昇格と同時にHRCワークスチームに抜擢される。以降、WGP500クラスの参戦や、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8耐で長年活躍。2022年は監督としてAstemo Honda Dream SI Racingを率いて全日本およびアジアロードレース選手権などに参戦。

ホンダ「スーパーカブ C125」インプレ(伊藤真一)

Honda Super Cub C125
国内仕様・2021年モデル

総排気量:123cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC単気筒
シート高:780mm
車両重量:110kg

発売日:2021年9月27日
税込価格:44万円

ワインディングより、本来の活躍の場である市街地で光るスーパーカブC125用エンジンの魅力

連載・ロングラン研究所でスーパーカブC125を取り上げるのは、初代モデルを福島・会津若松でテストしたとき以来ですね。そのときは一般道のワインディングを中心に走りましたが、今回は東京都内から横浜まで、市街地を通る幹線道路を中心に、新型の走りっぷりを試すことになりました。

一見すると、新型と旧型では何か変わったのか? と思うくらい、外観の違いはわからない感じですね。一番の変更点は平成32(令和2)年排ガス規制など、国内外の環境規制に対応するため改良された新型エンジンを搭載していることです。

新型エンジンは旧型よりもロングストローク化されているのが特徴ですが、実際に走らせてみると新旧モデルのボア・ストローク値の違いによる、印象の差は正直全然感じませんでした。造り手側も、ロングストローク化することでエンジンフィーリングのキャラクターを、変えようという意図はないのだと思います。

旧型を会津のワインディングで走らせたときは、125ccという排気量から受ける印象よりも元気が良く、トルク感もあってスポーツバイク的なエンジンだな、と思いました。新型エンジンはさらに環境性能を高めながら、しっかりスポーティさを保っています。ワインディングも十分楽しめますが、スーパーカブ本来の活躍ステージともいえる街中の一般道では、よりエンジンの動力性能の魅力を感じられる気がしましたね。交通の流れをリードするのに十分な速さがあって、活き活きと走れるのが楽しいです。

あと、最大トルク発生回転が旧型より1250回転上がっているためか、スピードレンジ高めで走っているときの方が、ゆっくり走っているときよりも疲れない感じがありますね。1~4速の変速比は旧型と一緒で、1次・2次減速比が旧型と変わっていますが、ワインディングを走っているときより、街中を走っているときの方がレシオ配分の適切さを感じられました。やっぱり、街中を走って評価すべきモデルなのですね。

シフトペダルはカブでおなじみのシーソー型ですが、自分の印象ではもうちょっと位置を調整したいと思いました。つま先とかかと、両方使って操作しましたが、角度的にちょっとかかと側が使いづらく、コツがいる感じでした。左足が遊んでいるというか、自分の置きたいところに置けないときがありました。このあたりは、以前GB350を取り上げたときもそういう話になりましたが、ペダル以外の部品のレイアウトの問題もありますから、難しいことだと思いますけど…。

旧型を取り上げたときにもこの話はしましたが、スーパーカブに初めて乗ったのは高校時代で、新聞配達のバイトをしていたころでした。当時のカブの自動遠心クラッチは、発進時の接続、シフトペダル操作時の切断、そして始動時やエンブレ時の接続をクランクシャフト右端の自動遠心クラッチひとつで担っていて、変速時に「ガチャコン感」がありました。

2009年型以降のスーパーカブは、クランクシャフト側に遠心シュー式クラッチ、そしてミッションのメインシャフト側に多板クラッチと2つのクラッチを与え、発進時と変速時の役割を分担させています。この新しいシステムのおかげで、今のカブはシフトアップ時の「ガチャコン感」が大分減りましたが、シフトダウン時にはまだ少し残っています。この変速時の「ガチャコン感」は、カブ独特の走りのリズムを生み出すことにつながっていると思いますが、今のクラッチの出来が非常に良い分、より上を要求したくなってしまったりもしますね。

画像: 編集部のある都内から神奈川県横浜まで、C125で往復約60数キロを走破した伊藤真一さん。寒風から守ってくれた、レッグシールドの存在に感謝していました。

編集部のある都内から神奈川県横浜まで、C125で往復約60数キロを走破した伊藤真一さん。寒風から守ってくれた、レッグシールドの存在に感謝していました。

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