え? JSBレーサーのナラシ、公道でやるの??

プロ野球もキャンプイン、MotoGPのオフィシャルテストももうすぐ始まる2月、ようやくモータースポーツも始まります、輪春到来です。
シリーズにエントリーするチーム、ライダーにとっては、今が準備のイチバン大切な時期。チーム作りにスタッフ、マシンの準備、もちろんトレーニングも資金作りもね。

画像: 関口タローとM1000RR ツナギやチームウェアじゃない全日本ライダーの写真って珍しい♪

関口タローとM1000RR ツナギやチームウェアじゃない全日本ライダーの写真って珍しい♪

そして、今年も全日本ロードレースJSB1000クラスに参戦する関口太郎からちょっと面白い連絡が入りました。曰く「今年のレース用マシン、公道でナラシするからだれか手伝って~」と。
関口(いつものようにタローと呼ばせてもらいますね)といえば、自らのチームを結成してJSB1000クラスにBMW S1000RRで参戦しているライダーです。21年のチーム表記は「SANMEI Team TARO PLUSONE」です。

そのタローが、2022年シーズンにニューマシンを投入します。それが、BMW S1000RRのプレミアバージョン、M1000RR! WSBKやEWC世界耐久のベースマシンにもなっているモデルで、お値段なんと約400マンエン!(◎_◎;) タロー、そのナラシをする、しかも公道でやる、って言うんです! でも、こういうレーサーのナラシってベンチにかけてやるんじゃないの?
「ベンチでやることもあるんだけど、実際に走った方がエンジンの往復回転部品はもちろん、クラッチとかミッションにもきちんとアタリがつくからいいんです。府中のA-bigモトラッドさんで買ったんですが、ナラシ1台1000kmだって! 2台だから2000kmナラシしなくちゃ」
――ええ、タロー! エムセン2台買ったの!
「だってレーサーにするんだもん、スペアマシンいるじゃん」

画像: BMWワークスチームのWSBKマシン 66番はトム・サイクス車ですね

BMWワークスチームのWSBKマシン 66番はトム・サイクス車ですね

画像: 60番はマイケル・ファン・デル・マーク車 2022年もチャンピオン候補のひとり

60番はマイケル・ファン・デル・マーク車 2022年もチャンピオン候補のひとり

そんなこんなで2台で2000km、公道ナラシ。12月中旬に納車されて、ナラシを始めたのが12月30日。1日500km走れば2日で終わるナ、って走りはじめたみたいなんですが……。
「ナラシのスタート日、500km走行目標で、あんまり寒くて50kmで帰ってきちゃった(笑) 寒いだけじゃなくて、公道をバイクで走ることなんかないから、まわりのクルマも怖いし、ミラーも見慣れない、ウィンカーだって出し慣れないんだもん。最初、首都高に乗ったんだけど、ハンパなく怖くてさー。ハイエースだったら1000kmなんか1日で走れるのにね」
年末年始、関東も寒かったからねぇ。ハイエースなら1日で、ってのがライダーあるあるですが(笑)、年が明けてから1台目のナラシが終了、公道1000kmを終えて、9000rpmをオーバーしてもいいサーキットナラシも終えて2台目、ってところで今回の取材になったのでした。

画像: こちら関口タロー車 集合場所の東名高速、中井パーキングエリアにて

こちら関口タロー車 集合場所の東名高速、中井パーキングエリアにて

画像: レーシングライダー歴は30年にもなるタロー 伊豆ツーリング、ひょっとして人生初??

レーシングライダー歴は30年にもなるタロー 伊豆ツーリング、ひょっとして人生初?? 

画像: タローが着てるHYODダウンジャケットとウォームパンツ、厳冬ツーリングにも暖かいそーです バックパックはOGIOスポーツです

タローが着てるHYODダウンジャケットとウォームパンツ、厳冬ツーリングにも暖かいそーです バックパックはOGIOスポーツです 

――じゃぁグルグル回るのも飽きただろうから、伊豆でも行って美味しいものでも食べてこようか。
「うわスゲー。まるでツーリングじゃない! 行きたい行きたい」
――じゃM1000RR、オレも乗せてね。ナラシ手伝うし♪
「えええ、ダイジョーブぅ? M1000RR乗ったことあるの? 公道だよ? 危ないよ?」
――うぐぐぐぐ、なめんなよ。公道の走行距離ならぜってぇタローに負けねぇわ。
「あ、そか、当たり前だね。じゃ、お願いします(笑)」

そうやって「ナラシツーリング」に出かけたのが1月中旬。真冬の割に気温は上がって、ナラシ初日のような心が折れるほど寒くない。ルートを確認すると、M1000RRしまってあるガレージから伊豆の目的地を往復して約300km。これで1000kmナラシ、どんくらい? 終わるの??
「ちょうど今日のナラシで1000km終了するように、前回の走行で距離調整してたんですよ、ふふふ」
――おぉ、頼もしい(笑) じゃぁ、今日で終われるんだね。

画像: 「寒いよ」 じゃ替わろう 「えぇダイジョーブ?」 タロー、大事なマシン乗せてくれてありがと^^

「寒いよ」 じゃ替わろう 「えぇダイジョーブ?」 タロー、大事なマシン乗せてくれてありがと^^

集合場所に現われたタローとM1000RR。うおぉぉ、やっぱりスゴいオーラだ。ガレージから合流地点まで走ってきたタロー、すでに寒そうだったので「じゃぁ替わろう!オレ乗りたい」って走り始めました。
M1000Rは試乗したことがあるものの、ツーリングなんてほど距離は走ってはおりません。とはいえ、ナラシだから回転数抑えめで、高速道路の制限速度、きちんと守ってのツーリングです。

画像: M1000RRの100km/hは、6速4000rpm弱くらい こんなスピード域ではなーんにも起こらない

M1000RRの100km/hは、6速4000rpm弱くらい こんなスピード域ではなーんにも起こらない

走り出したM1000RRは、100km/h巡行なんてスピードでは、まぁまったく平和なもので、軽やかなハンドリングの中にしっとりとした接地感があって、うんうん、これは先代S1000RRにも通じる安心できるハンドリング。ただ、まだド新車だから、サスのアタリがついてないのか、動きが硬い。特にリアがコツコツと路面の凹凸をお尻に伝えてきます。
M1000RRならではの装備としては、フロントカウルに装着されているでっかいカーボンウィングレット! 80km/hも出すと、フロントがシトーッと路面に押し付けられている感がするの、きっと気のせいじゃないと思います。

東名高速を西へ、長泉沼津インターチェンジから伊豆縦貫道を南下して修善寺方面へ。タローは「9000rpmまでしか回しちゃだめだよ~」って言うけれど、そんなに回しちゃうと、M1000RRはアッという間に非合法スピードになっちゃう。
だから各ギアとも回転数は3~4000pmしばりで6速まで入れて、走行はずっと6速3000rpmくらいで100km/hクルージング。時々パッとアクセルを開けたいけれど、がまんがまん。今回のツーリングのいちばんの敵は、この「アクセル開けたい心」との戦いだねぇ。

画像: TFTカラー液晶も美しい、M1000RRのメーターパネル 無事1000km突破しました♪

TFTカラー液晶も美しい、M1000RRのメーターパネル 無事1000km突破しました♪

修善寺へ向かう途中に、M1000RRのデジタルメーターにあるオドメーターが1000kmを表示。おぉ、タローやったぜ、終わったぜ! とはいえ、僕ほんの50kmくらいしか手伝ってないし(笑)。
伊豆まで来たって言うのに、ナマモノが苦手なタローを海鮮の美味しい食堂に連れていくこともできず、修善寺のお蕎麦屋さんへ。ここで、なぜタローがホンダヤマハスズキカワサキでなくBMWを、それもM1000RRを選んだのか、ってところをじっくりインタビュー。その内容は、オートバイ4月号(3月1日発売予定)をご覧になってください。
「なんか、ナラシだから1000km走らなきゃいけない、って義務感でやってたからまぁまぁつらかったけど、こうやってツーリングって感じで走ってくれば楽しいもんですねー。とはいえ、誰かと一緒ツーリング行こうぜ、ってわけにもいかないしね」
――取材感ゼロのツーリングだったでしょ?
「チョー楽しかったぁ♪」

画像: ナマモノが苦手でソバ好き、ワサビ好きなタロー 生わさび、僕らにも擦ってくれる優しい男です

ナマモノが苦手でソバ好き、ワサビ好きなタロー 生わさび、僕らにも擦ってくれる優しい男です

修善寺の美味しいお蕎麦をいただいて、明るいうちにガレージに帰れるように早めに帰ろう。後日、タローは再びもてぎでサーキットナラシを終わらせて、完全の2台のM1000RRナラシ終了! 今ごろは全バラにしてエンジン1回組み直して、JSBレーシングマシンに変身している頃でしょう。
いやいや、JSBレーサーのナラシ手伝わせてもらうなんて貴重な体験させてもらいました。
タロー、来年また新車買ったら、またツーリング行こうね!

タローがM1000RR買って、ナラシに苦闘して、JSBマシンに仕上げていく過程の模様は、
Youtubeの関口太郎チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCc1aaqiwwTyjNW_9ggzkaeg
をぜひぜひ見てみてください。この日の公道ナラシの模様もじきアップされるようです。
ついでにチャンネル登録して、そればんばんシェアしてあげてくださいね。

写真/島村栄二 文責/中村浩史

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