“K0”オマージュの作り込みにカーボンでアクセント

2021年で10回目を迎えた欧州のイベント、ホイールズアンドウエーブス。このところはホンダをはじめ、2輪各社がここで数々のカスタムバイクを展示、あるいは実走させることでも注目されている。そもそもこのイベント自体がタイトルにホイールと波を謳っているのだが、そこにもう少し迫ろう。いわく、「ホイールとウエーブ。それは心の状態であり、バイクの文化に触発され、さまざまに影響されてきた人々の独特の耽美主義です。~(中略)~バイク、サーフィン、スケート、音楽、アートなどのさまざまな影響を組み合わせて、時代を超えた体験を生み出し想像し、共有する」というイベントだ。

説明の前半にあった、美を最高の価値と考える耽美主義は、19世紀後半にイギリスやフランスで起こった芸術思想。作品の価値はそこに込めた内的な思想やメッセージでなく、外的な形と色彩の美にあるというもの。そう考えてみると、ここに出展される車両群が外装に工夫を凝らす意味も分かる。

そこで今回の車両群だが、’21年の同イベント(中止)のために作られた10台のホンダCB650Rカスタム群。代替の発表手法として、現場で撮影を行ってホンダカスタムのウエブサイト(www.hondacustoms.com)上で人気投票を行うことにした。PCでもスマホでもwww.hondacustoms.comにアクセスして投票すればOK。

画像: “K0”オマージュの作り込みにカーボンでアクセント

気に入った車両の画像はダウンロードして壁紙として使えた。そのうちトップ3は前回、Part1で紹介したが、ほか7台(得票率および4位以下の順位は非公表)も魅力的。ここに紹介しよう。

そのうちの1台が冒頭の、フランスのAZモトによるこのCB650R“カーボン”エディション。4気筒のCBをカスタムする上で必ず挙がる、初代4気筒CB=CB750Four(K0)へのオマージュ。これを、カーボン(Carbon)の表記にCと発音が同じK、Oと見た目が近いOの文字を入れてKarb0nでK0とカーボンをかけ、エンブレムとともにCB750Fourをイメージさせる。ホイールもEvo-X Racing製リムでCB750Four同様にワイヤスポーク化するなど、ネオレトロ感も高めているのだ。

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国内にも1969年8月に発売されたホンダ ドリーム CB750Fourのキャンディゴールドで外装を仕上げる、フランスのAZモト(AZ moto)による“カーボン”エディション。タンクエンブレムも当時の形状をペイントで表現、サイドカバーロゴは750を650にした上でラジエーターシュラウド部に貼付。各部にはカーボンパーツが多用されている。


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CB1000Rの各部をブラック仕上げとして、2019年に欧州でも販売されたCB1000Rブラックエディション。そのブラックと対比・補完するためにと、兄弟機のCB650Rをベースとしてホワイト仕立てにしたのがフランス3Cモトス(3C Motos)の“ホワイトエディション”だ。ホワイトは艶ありのグロスとつや消しのマットのツートーンを効果的に配し、フルブラックのハードパーツとで高質さを演出した。

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TOP BLOCK RACING製フェンダーキットによってフェンダーレス化しナンバープレートホルダーをスイングアームマウントに変更してある。


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フランスのADNモトス(ADN Motos)によるCB650Rフラットトラッカーはゼッケンプレート一体型フロントカウルやシートカウル、パイプベンドによるスイングアームマウント式ナンバーホルダーをそれぞれワンオフ製作。'80年代のホンダファクトリー・ダートトラックレーサー、RS750Dを思わせるような右2本出しのアローEXを装着。ホイールもイタリアのKineo製ワイヤスポーク/リムにも注目を。

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ガード付きハンドルはモタードの雰囲気でトリコロールのカラーは'80年代のホンダファクトリー・ダートトラックレーサー、RS750D的だ。


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スペイン・ブランモトホンダ(Blanmoto Honda)の“CB650R CAFE RACER”は、プーチやジビ、リゾマにPSRなど、ヨーロッパで人気の著名メーカーのパーツも使いつつ、タックロール/ブラウンのシートやサイドパネル等のワンオフパーツとで、蒸気機関が社会のあちらこちらに広く使われている“スチームパンク”の世界観にカフェレーサースタイルをしっかりと融合させた、独特の魅力を演出する。

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ニーパッドやハンドルグリップもブラウン、ミラーはセパレート化されたハンドルバーのエンドでなく、内側いっぱいに寄せてセットした。


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この手のカスタムも多く手がけるスペインのハクバモーター(Hakuba Motor)によって“CB650R AKIRA”と名付けられたこの車両は、アキラという名前のように映画/コミックス“AKIRA”の“金田のバイク”の色調をメインに、カーボンでワンオフされたシングルシート下に電装を集中。日本の“カイゼン(improve=向上)”を追い求めるのがコンセプトだという。シンプル&ミニマルが特徴の1台だ。

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クランクケース右、クランクシャフトエンド部にはHAKUBA MOTOR CUSTOMSのロゴとコーポレートマークを刻んだプレートをセットする。


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スペインのモータースポーツ(Motor Sport)社製“CB650R HEDICION(エディシオン)”。H(ホンダ)、EDICION(EDITION=版、バージョン)を組み合わせた造語で、ホンダの2輪、4輪モータースポーツの歴史に敬意を表するという1台だ。1966年のブラバム・ホンダBT18・F-2マシンをモチーフに、ブラバムの本拠・イギリスのナショナルカラー、ブリティッシュグリーンをメインとし、当時急成長を遂げたホンダ製F-2エンジンに準じてカムカバーも黄色で仕上げた。'21年のF-1チャンピオン獲得から振り返っても感慨深い1台となった。


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1976年に始まったヨーロッパ耐久選手権戦で圧倒的な強さを見せたジャン=クロード・シュマラン&ロジャー・ルイス組RCBレーサー。これに施されたホンダトリコロールカラー(燃料タンクの'70年代ウイングマークとともにA Brax Customによる)を施したフランス・サガズホンダ(Sagaz Honda)製“CB650R FOUR”。このカラーリング、純正採用していいのでは? と思えるようなコンビネーション。

取材協力:Honda Motor Europe

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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