まとめ:オートバイ編集部/写真:海保 研(フォトスペースRS)/取材協力:ドレミコレクション
1台でも多くの絶版Zが残るように「この小さい部品が手に入らない……」ってところをフォローしていきたい
派手なカスタムパーツより、純正リプロのビス1本
Z1発売から、とうとう50年。Zに乗り「続ける」のに一番大事なものは、情熱や時間、資金はもちろん、きちんとZがZであるための補修パーツだ。乗っていれば不調にもなる、壊れることもある工業製品、いつでも完調で乗るための絶対条件だ。
「僕がこの世界に足を踏み入れたのが、1988年ごろ。最初は、自分が乗るために750SSの不動車を買ってきて、こつこつとレストアしたのが始まりです」というのは、カワサキZ系をメインに、カスタムや純正リプロパーツを作り続ける、ドレミコレクションの代表、武浩さん。
武さんは当時「自分のバイクを置いておける」カフェを経営。その車両を買いたい、という声が多かったため、単身アメリカへ。現地で買い付けては整備する日々だ。
「自分用のバイクを仕入れて、レストアして乗ろうと思ったら買われちゃう、の繰り返し(笑)。そのへんから、整備士の免許を取って絶版車販売をスタートしたんです」
販売業は徐々に定着。少しずつスペアパーツやストックも増え始めた頃、阪神淡路大震災が起こってしまう。武さんの持つストックがほぼダメージを受けてしまった。
「純正の消耗部品なんか、すごく困りました。それで業者を探してリプロダクションです。絶版車カスタムも流行っていた時期だったんですが、カスタムパーツよりまずは純正部品だろう、って」
ガスケットやキャブレターのインナーキット、サイズ違いのタペット調整用シムにカムシャフトメタル。外装パーツセットにシートなど、チューニングじゃない、乗り続けるための整備に絶対必要なものばかりだ。その数ざっと2000アイテム。
「誕生50年にもなる歴史的名車ですよ。それなのに、その時期に流行るカスタムしちゃうってどうなのよ、って考えたんです。トヨタ2000GT、ランボルギーニミウラを改造するかぁ?って」
クラシックZを大事にするあまり、現行モデルZ900RSをZ1スタイルに、ZEPHYRシリーズをFXスタイルに、というカスタムも提案。これが今、生産が追い付かないほどの大人気!
「Zを50年乗って来れたように、ZEPHYRだってZ900RSだって、この先50年乗って欲しいじゃないですか。空冷Zシリーズの次はニンジャもそろそろ純正パーツに困り始めていますから、そこもフォローしたいですね。だから900ニンジャ用の鉄タンクも作るし、Zの50周年記念には、また何度目かのZ1ノーマルシートを作っています。作るたびにきちんとグレードアップしていますよ」
純正部品をリプロダクションするにも、ノーマルより高品質に、より長持ちする部品にこだわりまくる。絶版車の部品がメーカー廃盤になった、なんて話はよく聞くけれど、Zにはドレミがある。Zのオーナーは幸せ者だ。
まとめ:オートバイ編集部/写真:海保 研(フォトスペースRS)/取材協力:ドレミコレクション