文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2022年3月30日に公開されたものを転載しています。
ENEOS HDの「バッテリー循環社会実現」への取り組みと、日本を代表する4メーカーのコンソーシアムが合流!?
昨年5月19日、ENEOS HD(ホールディングス)はMIRAI-LABO(株)と"バッテリー循環社会実現"に向けての協業を開始しています。ENEOSグループがサービスステーションや電気事業において培ったノウハウや顧客基盤、そしてシェアサイクル・小型EVシェアなどの新規モビリティサービスの取り組みと、MIRAI-LABOの強みである バッテリー制御システム・ノウハウなどを活かし、使用済みバッテリーを評価・再活用することで、循環型社会の実現に貢献する新しい効率的なエネルギー供給の仕組み・・・「BaaSプラットフォーム」の構築を目指していました。
一方、これからガンガン2EVを作る側であるホンダ、カワサキ、スズキ、ヤマハの4社は、「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」を創設することを2019年4月4日に発表。2EV用交換式バッテリーの共通仕様合意、そして共通利用環境整備の検討を進めてきました。
今回5社から発表された「株式会社Gachaco(ガチャコ)」の設立は、電動モビリティの普及という共通の目標を有する5社が連携して、2EV用共通仕様交換式バッテリーのシェアリングサービスを提供することをとおして、「循環型社会の実現」により一層貢献する試みといえるでしょう。
会社名 | 株式会社Gachaco(ガチャコ) |
所在地 | 東京都港区港南一丁目8番15号 |
設立年月 | 2022年4月1日 |
代表者 | CEO 渡辺 一成 |
出資比率 | ENEOS 51%、Honda 34%、カワサキモータース 5%、スズキ 5%、ヤマハ発動機 5% |
事業概要 | 共通仕様バッテリー普及・利用拡大のためのバッテリーおよび交換ステーション運営 |
2022年秋にスタート予定の、シェアリングサービスに使われるのはホンダの「Honda Mobile Power Pack e:」のようです!
4月1日に設立されるガチャコは今年の秋を目処に、2EV共通仕様に適合したバッテリーのシェアリングサービスを、東京などの大都市圏から開始することを予定しているとのことです。
「2EV共通仕様に適合したバッテリー」というものが何なのか気になりますが、それはホンダがすでに製品化している「Honda Mobile Power Pack e:」であり、当然? バッテリー交換ステーションには「Honda Mobile Power Pack Exchanger e:」が使われることになります。
なおバッテリー交換ステーションの「Honda Mobile Power Pack Exchanger e:」は、駅前などの利便性の高い場所や、ENEOSサービスステーションなどへの設置を予定しているそうです。石油元売業界トップであるENEOSの、充実したサービスステーション網が使えるのであれば、サービス開始初期からそれなりに多くの場所でバッテリー交換が可能になることが期待できそうです。
将来的にガチャコは2EV用のみならず、商業施設や住宅などに設置するバッテリーなど、さまざまな製品においても共通仕様バッテリーの利用促進を目指しているそうです。そしてガチャコのシェアリングサービスで発生した消耗バッテリーは、ENEOSが検討している「BaaSプラットフォーム」を通して、2次利用・3次利用・リサイクルすることで、バッテリーの循環利用を促進するとのことです。
これまで2EV用バッテリー交換プラットフォームの話題は、Gogoroやアイオネックス(キムコ)といった台湾勢がほぼ独占してきた観がありましたが、日本の大企業5社が手を組んでスタートさせたガチャコが、これからどのような方向に発展をして、2EV業界へどのような影響を及ぼすことになるのか・・・注目していきたいです!
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)