LTDをスポーツ性能重視のストリートスタイルに
前後17インチでリヤ・モノショックにショートテール。こうしたスタイルだけを見てストリートファイター・カスタムのZか、と思う人も多いだろう。しかし各部の仕様を見ていくと、内容の面でもかなりの本格派であることが分かる。
この形として披露されたのは7年ほど前で、製作者は当時フレーム計測からZ用オリジナルパーツの製作などと幅広く手がけていたファナティックハート・安藤さん。
「フレームはスイングアームピボットのシャフト径をφ[16→]25mmに拡大していて、その上でスイングアーム垂れ角適正化のためにピボット位置自体を50mm下げています。逆にエンジン搭載位置は80mmほど上げました」と、前後17インチ化に最適化し、バンク角確保や重心位置を上げるという狙いを持ったフレーム大幅モディファイの内容を教えてくれていた。
大径フロントフォーク、リヤショックのマウントを新設する必要がなくスイングアーム部でリヤセクションが完結できる(しかも物ショック化できる)ユニットプロリンクも、コンセプトに合った仕様だ。
エンジンはゼファー1100用バックトルクリミッター、GPz1100用加工ミッションなども組んだツインプラグ仕様1105ccで、点火はウオタニSPllの2丁がけによる独立点火。マフラーもオリジナルで、集合方式は中低速域特性に優れる4-2-1を採用していた。
このように総じてZベースの17インチ・スーパースポーツと呼べる仕上がりとなっていて、細かくベースを見てみると、LTD。ベース車をよく知り、どう仕立てるか。そこさえ理解していれば、こんな方法にも十分以上に納得ができる。
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Detailed Description 詳細説明
ベースは'79年式Z1000LTD。単眼式でミニマルな構成を採るメーターはACEWELL多機能タイプ、前方にはアルミ製バイザーも備える。
フレームのテール部分はLTDの純正をカットした上で新造。シングルシートカウルはNSF100用を加工。ラップ塗装はTMガレージによる。
エンジンはZ1000LTDの空冷直4・1015ccをベースに、コスワースφ66mm鍛造ピストンによって1105cc化。ウェブ製カムを組み、インナーシム化やツインプラグ化も行われている。キャブレターはK&Nパワーフィルター仕様のTMRφ36mmで排気系はファナティックハート製だ。
フロントセクションはZRX1200の流用で、フォークオフセットは[60→]28mm、フォークはφ[36→]43mmでカートリッジタイプ化された。
スイングアームにCBR1000RR純正を使うことで、モノサス&ユニットプロリンク化。フレーム側をピボットが入るようワイド化、フレームの下にリンクロッドマウント部(アッパー含めショックマウントは不要)を新造することによってボルトオン装着されている。
リヤホイールはハヤブサ純正の6.00-17。タイヤはピレリ・ディアブロスーパーコルサでサイズは120/70ZR17・200/55ZR17の設定となる。