文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ヤマハ「XSR900」インプレ(宮崎敬一郎)
オールマイティな走りと上質さが光る新世代XSR
XSR900は、兄弟モデルのMT-09と同様にエンジン、フレームの基本レイアウトと外観をこの2022年モデルで一新。888ccへと排気量アップされた新型エンジンはふたまわりほどトルキーに。それをサポートする電制アシスト群もIMU連携など細かくアップデート。よりスムーズで、上質なドライバビリティを実現している。シャシーも剛性バランスと重量を見直され、先代からほぼ全てが変わっている。それに、見てのとおり、外観が洗練され、より上質になった。
ヤマハが「スポーツヘリテージ」と銘打っているだけあって、XSRはMTとは異なり、足回りのセッティングなど、ハンドリングに関する味付けがかなり違っている。これまでは、主にサスのプリロード設定や減衰のイニシャルを変え、それが動的な車体姿勢やサス自体のスタビリティを変えてきた。
今回の新型はスイングアームも延長。これまで同様、MTに対して少し落ち付いた傾向のハンドリングとしているが、応答が鈍いわけでなく、手応えがしっかりしている感じ。雑な言い方だが、MTと比べると落ち着きがいい。
アッパーミドルクラス全体から見ると、XSRはかなり身軽な部類だ。街中から峠道までオールマイティなスタンダードスポーツで、クセがなく、乗り手を選ばない自然な扱いやすさも備えている。しかも、パンチのあるエンジンはひとクラス上のスポーツネイキッドに負けないダッシュ力、機動力もある。なかなか元気のいいバイクなのだ。
パワーフィーリングで大きく変わったのは4000回転以下での粘りとパンチ。それと6000回転から上の強力な回転域での自然なトルク変動など。マイルドな応答を基本としつつ、アグレッシブに操作した時の力、コシのあるパワーが増幅している。
Dモードの切り換えも3から4モードに増えたが、最もシャープな吹けを実現する「1」でも普通に街中で使える。SSの敏感なスロットルに慣れていなくても、自然に使えるスムーズなレスポンスだ。このエンジンは非常に扱いやすい。
特にハイグリップタイヤを履いたわけではないが、フルバンクからスロットルを大きく開け気味にして立ち上がっても自然に力強く加速できる。多少滑ることはあっても、気楽に操作できるのは魅力だ。これはIMUと連携したトラコンの威力だろう。
対して旧モデルは、トラコンを介入させると、そのレベルの強弱に関わらず、頻繁に立ち上がり加速を抑えられていた。これは大きな違いと言える。新型のライディングアシスト群は確実に進化している。
新しいXSR900は走りやルックスで兄弟モデル・MT-09との棲み分けをしている。このクラスの中でも扱いやすさ、スポーツ性、動力性能など、アピールする魅力がたくさんあり、使い方を選ばない、かなり優秀なスタンダードバイクなのだ。
ヤマハ「XSR900」カラーバリエーション
1980年代に「ゴロワーズ」カラーを採用していた市販モデルの雰囲気を狙ったスタイル。ブルーのほかにもブラックをラインアップ。
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