文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸
ベネリ「インペリアーレ400」インプレ(宮崎敬一郎)
ゆとりをもって楽しむ大人の走りが良く似合う
何とクラシカルで趣のあるスタイルだろうか。このインペリアーレは1950年代バイクの雰囲気をまとい、1950年代の走りまでも濃厚に演出したバイクだ。
見てのとおり、そのルックスが放つオーラは強烈。ディスクブレーキが付いているのが現代風なくらいで、エンジンからフレームまで、その造形はタイムスリップしてきたかのように古い。また、バイクが超高価な嗜好品でもあった時代の造形を範としているため、外観や各部の仕上がりも念入りなもの。
国産400シングルとさして変わらないプライスながら、造形の拘りやタンクの塗装、フェンターのメッキなど、その処理の丁寧さは倍ほどもするプライスのバイクにも迫るレベル。このクラスとしては数少ない、磨いて眺めて愉しむことができるバイクだ。
ボディ同様にクラシカルなルックスのエンジンは、ロングストロークのシングルで、そのスペックは21馬力ほど。とはいえ、現代のエンジンだし、車体にもそれなりの強度がある。仮に、ライダーが無理矢理6000回転くらいまで引っ張って今風に元気に走ろうとしたとしても、インペリアーレはそれを断固拒否したりはしない。
エンジンはノイジーになるがすんなりと回るし、車体もどこかが盛大に接地するが、ヨジれたり暴れたりせずに走れる。ペース的には、ちょうどSR400で頑張り気味に峠道で遊ぶ速度レベルでの話だが、それはインペリアーレにとっては「そんな走りの引き出しも持っていますよ」というだけの話。正直、このバイクにとっては「ヤボ」な乗り方だ。
一番いい乗り方は、走りをインペリアーレに委ねること。このエンジンは極低回転域で古い耕耘機のように粘る。音も似ている。3〜4000回転までの、のどかで心地よい回転域を使って街を駆けたり「遠乗り」に出かけるような使い方をバイクが求めてくる。ハンドリングは従順だし、高速道路を走っても安定感はしっかりしている。100km/hで巡航するには非力かもしれないが、そこは400。トルクの威力で、250ccモデルたちより、ずっとゆとりをもってこなせる。
もしこの姿に惹かれるなら、もうそれだけでオーナー予備軍。なにしろ唯一無二のバイクだ。ただ、接し方は心しておいた方がいい。乗り手は無理強いなんてせずに、持っている魅力的な味を愉しむのが一番。とても愉快な乗り物だと感じると思う。
ベネリ「インペリアーレ400」カラーバリエーション
ボディカラーはシルバーとブラックの2色の設定。
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