文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2022年11月4日に公開されたものを転載しています。
夏の"予告"どおり、第2のアジア市場のパートナーが公表されたわけです!
Lawrenceでもたびたび紹介しているCAKEは、スウェーデン生まれの高級2輪EVブランドであり、そのミニマルかつクリーンなデザインは、ライダーだけでなく北欧デザイン好きなオシャレな人々からも、熱い注目を集めています。
2022年8月、CAKEはアジア市場開発のために、韓国のコーロン・オートモーティブとパートナーシップを締結。そしてその際、他のアジア市場向けの追加のパートナーシップについては、今年後半に発表する予定・・・とCAKEは表明していました。
その予定どおり、10月31日に「日本国内における独占的パートナー契約を締結」というリリースが公表されることになったのですが、その発信元はなんと!! 1951年に富山県小矢部市にて設立された高機能スポーツウェアメーカー、株式会社ゴールドウインでした!
なんでスポーツウェアを取り扱うゴールドウインが、2輪EVを日本市場で輸入販売・・・? と思う方もいるかと思いますが、ゴールドウインは1983年より「GWSPORT」という2輪用品ブランドを立ち上げており、2輪業界との関わりは約40年にもおよぶのです。
現在のブランド、「GOLDWIN MOTORCYCLE」は2021年よりブランドの原点であるオフロードレーシングの世界に回帰し、中島漱也(全日本モトクロス選手権)と野崎史高(全日本トライアル選手権)の両名と契約し、新たに競技用ウェアを開発することになったニュースは、オフロードレーシング好きの人々の記憶に新しいでしょう。
「PLAY EARTH 2030」という長期ビジョン
ゴールドウインは2021年にあげた中期経営計画のなかで、地球規模の気候変動の問題に向き合い、持続可能な社会の発展に寄与していくことを決めました。そして同年に発表されたのが「PLAY EARTH 2030」という長期ビジョンであり、2030年には環境負荷低減素材を使用した製品比率を90%以上に引き上げるなどの取り組みをとおし、持続可能な社会の発展に寄与することを目指しています。
CAKEとの独占的パートナー契約を締結した背景には、この長期ビジョンがあります。ゴールドウインが展開する2輪事業においても、環境への配慮は重要な課題ととらえられており、ゼロエミッションな乗り物である2輪EVのCAKEを日本へ輸入販売することは、その方向性に沿ったものと判断されたわけです。
ステファン・イッターボーン(CAKE創業者兼CEO)
「アジア進出には、ゴールドウインのようなハイクオリティかつモノづくりの造詣が深いパートナーと提携できることほど良いことはありません。ゴールドウインは長年にわたり私がよく知る会社であり、彼らの品質に対する責任、革新への情熱、顧客との関係構築力は業界をリードするものです。日本のような重要な市場で、他でもなく彼らと仕事ができることを光栄に思います」
競争の激しいスポーツウェアのジャンルで、約70年にわたって製造、流通、販売、ブランディングをおこなってきたゴールドウインの揺るぎない「実績」はCAKEにとって非常に魅力的であり、アジア市場2番目のパートナーとして非常に心強い存在なのでしょう。なおCAKE側はさらに、ほかのアジア市場向け追加パートナーシップを、2023年に発表する予定と公表しています(次は東南アジア方面ですかね?)。
CAKEとゴールドウインの契約は2023年1月からの3年間で、欧州・北米の市場でおこなわれている電話&ウェブ直販という方法は採用せず、販売店経由で日本のユーザーに製品を提供する展開をする方針です。
シンガポール、フィリピン、マレーシアを除けば、英語力が低いアジア諸国でCAKEがビジネスを行うには、それぞれの国の言葉で応対してくれる対面販売が理にかなっている・・・といえるでしょう。ゴールドウインがどのような販売網を築くのか? そのあたりも今後注目したいですね。
ゴールドウインは2023年春頃から予約受付を開始し、3年間で5,000台の国内販売を目指しているそうです。取り扱い機種がCAKEのラインアップ全種なのか、それとも市場状況に合わせ絞られるのかはわかりませんが、できれば全機種を導入してもらいたいですね。
あと・・・個人的希望としては、CAKEが主催しているカルクを使用したジェンダーニュートラルかつ都市型のオフロードレース「CAKE ワールドレース」の日本ラウンドを実現させてほしいですね! ともあれ、ゴールドウインによる日本市場へのCAKE本格導入を楽しみに待ちたいです!
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)