文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2022年11月8日に公開されたものを転載しています。
2017年に発足した国際企業イニシアチブ、「EV100」とは?
みなさんは2017年9月に発足した、国際イニシアチブの「EV100」をご存知でしょうか? EV100は企業による電気自動車の使用や環境整備促進を目指すものであり、「RE100」(事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することが目標)や「EP100」(事業のエネルギー効率を倍増させることが目標)同様、英国を拠点にする国際環境NPO、サ・クライメイト・グループが主宰するものです。
2022年10月現在、「EV100」に加盟している日本企業は、イオンモール株式会社、アスクル株式会社、日本電信電話株式会社(NTT)、東京電力ホールディングス株式会社、株式会社 髙島屋、株式会社 関電工、そしてニチコン株式会社の7社となります。
「EV100」加盟企業は、2030年を目標に保有またはリース保有する車両の電化などの目標に公式にコミットすることが求められますが、NTTグループは2018年10月に「EV100」に加盟し、2030年に保有する一般車両の100% EV化などを目指しています。NTT東日本・宮城支店の「AAカーゴ」導入は、その流れのなかの試みといえます。
なお2021年度のNTT東日本グループの一般車両EV化率は17%・・・ですが、AAカーゴ α4「NTT東日本」仕様を導入したことで、この数字を押し上げることになるでしょう。
AAカーゴを使うことの、NTTにとっての業務上のメリットとは?
これまでマクドナルドや日本郵便などAAカーゴを採用した企業は、AAカーゴの静粛性や環境性能などのほか、「モノ」を運ぶ能力の高さにそのメリットを見出していました。今回のNTT東日本・仙台支店のAAカーゴの使用法は、通信設備の故障修理やインフラ設備の点検をするスタッフ・・・つまり「ヒト」を運ぶのが主目的になります。
「点検スタッフの移動用なら、別に3輪のEVでなくてもICE(内燃機関)車でも良いのでは?」と思う方もいると思います。しかし言うまでもなく、環境負荷低減の観点からすると走行中のCO2排出をゼロにできるEVを使うメリットは大きいです。
また4輪車と比較した場合、3輪バイクEVのAAカーゴはその「機動性」の高さが活きるとのことです。都市部の住宅地など駐車場スペースのない場所へも、AAカーゴはライトバン営業車などよりはるかに行きやすいですし、狭い路地も臆することなく通ることが可能になります。AAカーゴの機動力が生み出す「高効率」は、修理・点検の作業時間を短縮する効果を期待することができます。
そしてNTT東日本・宮城支店では、AAカーゴの運用において欠かせない「充電」を、夜間電力を使用するようにしています。工場、事業所、一般家庭などの電力消費量が増える日中の「ピークタイム」を避けることで、すべての時間帯の電力消費量を均一化する「電力負荷の平準化」に、貢献することが可能になるわけです。
なお今後NTT東日本は、AAカーゴの有効性を検証した上で、宮城県以外の支店での導入や、設備保全以外の業務への活用拡大などを進め、更なる地球環境負荷低減や業務効率化に取り組んでいく予定とのことです。
こちらに紹介する動画のなかでは、NTT東日本 設備部 ミヤギサービスセンタ センタ長の嵯峨健二さんが、より詳しくAAカーゴを業務で使う上でのメリットなどを語ってくださっています。ぜひご覧になってください!
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)