文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ベネリ「125S」インプレ(太田安治)
扱いやすく安心感があり乗り心地も快適な1台
ベネリは100年前にイタリアで創業し、レースでも大活躍したブランド。1970年代には750/900ccの6気筒モデルや量産車初の250cc4気筒モデルを発売、高い技術力を誇った。現在日本では125cc〜400ccまでの個性的な車種をラインアップする。
この125Sは前後17インチホイールを採用したフルサイズモデル。上体が起きるポジションで見通しが良く、ハンドルに入力しやすいから実際の車重よりも軽く感じる。対してステップ位置は高め/後ろめで、コーナーで車体との一体感を得やすいストリートファイター的な設定だ。
注目すべきはエンジンの構成。水冷のSOHC単気筒というのは125ccクラスではオーソドックスだが、シリンダーヘッドに吸排気それぞれ2本のバルブを配置し、点火プラグを3本とした独創的な構造を採用する。1気筒あたり2本のプラグを備えたエンジンは珍しくないが、ボア径54mmの小さな燃焼室に3本というのは他に例がないはず。これは排気ガスのクリーン化のため、薄めに設定した混合気をしっかり燃焼させる工夫だろう。
実際、147kgの車重に12.8馬力のパワーという数値が信じられないほどゼロ発進が力強く、高めのギアに入れて低回転で粘らせてもノッキングを起こさずスムーズな加速を見せる。パワーが盛り上がり出すのは5000回転からで、ここからレブリミッターが介入する9500回転までストレスなく使えるので、発進/停止が多く、極低速走行も強いられる市街地では実に扱いやすい。
もう一つ市街地での優位性を感じたのが大柄な車体。ツインスパータイプのフレームと倒立フォークの剛性は高めだが、柔らかめにセットされた前後サスペンションが低荷重域から良く動くので乗り心地に硬質さはなく、前後17インチタイヤで路面のギャップ越え時の安定感も高い。この「エンジンパワーに対して車体が勝っている」キャラクターはビギナーに安心感を与えてくれるだろう。付け加えておくとブレーキも初期の食い付きが穏やかで、CBS(前後連動ブレーキ)と併せて神経質さのない制動フィーリングだ。
パワフルさやスポーティさを前面に押し出したキャラではないが、乗りやすく快適で、長時間のライディングでも疲れないのが嬉しい。伝統あるイタリアンブランドのオートバイが41万8000円から買えるというのも大きな魅力ではないだろうか。
ベネリ「125S」カラーバリエーション
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ホワイト
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