文:中村浩史/写真:赤松 孝、南 孝幸
「プロジェクトBIG-1」30周年、名車への道程
誕生30年を迎える日本ビッグバイクの顔
時は1990年代に入ったばかりの頃、ホンダの大型車ラインアップには、ちょっと寂しさがあった。
1990年の国内モデル大型モデルラインアップは、スティード600/VFR750F/パシフィックコースト800のみ。1991年にナイトホーク750、1992年にCB750、NR750、アフリカツイン750、CBR600Fが加わったが、1969年にCB750FOURを発売し、ナナハンの元祖、日本どころか世界のビッグバイクリーダーである「ホンダらしいラインアップ」とはとても呼べるものではなかった。
ホンダらしいビッグバイク、日本のビッグバイクの顔となるようなモデルがない──そう考えたのはファンだけではなく、ホンダ社内のエンジニアも同じこと。それが、プロジェクトBIG-1のスタートだったのだ。
400ccクラスでは、CB-1が先陣を切って「ネイキッドモデル」を展開していて、それと同じようなムーブメントをビッグバイクでも展開しようとしていた。さらに、レトロに回帰するのではなく、新しい時代のロードスポーツにしよう、という気概もあった。
「1980年代後半は、性能をどんどん上げた結果、乗る人を選ぶ先鋭化したバイクばかりになってしまった。簡単にいえば、大人のオートバイ乗りが乗るモデルがなかったんだね。僕自身のことも考えて、そういうバイクを作りたかったんだ」とは、プロジェクトBIG-1の中枢を率いた原 国隆さん。
こうして生まれたCB1000スーパーフォアは爆発的な人気となり、ビッグネイキッドカテゴリーを創出。多くのライバルを呼び込み、さらに進化したBIG-1として、2世代のCB1300スーパーフォアを生み出し、スーパーボルドール、スーパーツーリング、SPなどといった派生モデルも生み出した。
そのBIG-1も、2022年に誕生30周年を迎え、現行モデルのSC54も、数度のマイナーチェンジを経て、誕生20周年を迎えようとしている。
2023年1月までの受注生産となる30周年記念モデルは、BIG-1ヒストリーの集大成モデルとなる。
ホンダ「CB1300 SUPER FOUR SP 30th Anniversary」「CB1300 SUPER BOL D’OR SP 30th Anniversary 」特徴
今を逃すと手に入らない数量限定スぺシャル!
約2カ月半の受注期間限定となる30周年記念車は、スーパーフォア&スーパーボルドールの2本立て。いずれも、前後にオーリンズ製サスペンション、ブレンボ製キャリパーを標準装備するSPがベースで、白×赤にアクセントゴールドをあしらったスペシャルカラーでの発売となる。
思えば、30年間で数10パターンのカラー&グラフィックのBIG-1ファミリーが発売されたが、やはりインパクトが大きく、印象に残っているカラーといえば、初代モデルに採用され、その後も各世代のメインカラーとなっている白×赤カラーではないだろうか。
スペシャル感を演出するため、オーリンズ製サスペンションのゴールド、ホイールのゴールドカラーと合わせて、フレームもレッドに塗られ、これが歴代BIG-1ファミリーにはない特別さを演出し、タンク上には30thアニバーサリーの証しである専用のエンブレムも追加されている。
長年愛されてきたということで、人と同じではガマンならない、というオーナーも多いモデルだけに、この30周年記念モデルも発売前から話題沸騰。今じゃなきゃ、手に入らないスペシャルだ。