1969年に登場したレジャーバイク、ダックスホンダST50。50年の時を隔ててよみがえったダックス125は現行ホンダ125ccシリーズのミニサイズ担当。けれどDaxにはモンキーにもGROMにもない「誰かと一緒に」な楽しみが込められている。オートバイ編集部・中村が次男坊とタンデムツーリングしてきました♪
文:中村浩史/写真:森 浩輔

ホンダ「ダックス125」2人乗りインプレ(中村浩史)

画像: Honda Dax125 総排気量:123cc エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒 シート高:775mm 車両重量:107kg 発売日:2022年9月22日(木) 税込価格:44万円

Honda Dax125

総排気量:123cc
エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒
シート高:775mm
車両重量:107kg

発売日:2022年9月22日(木)
税込価格:44万円

原付ニ種のバイクには、こどもが乗りたがる

思えば125cc生活を始めて10年が過ぎた。それまでは、ビッグバイク一辺倒というか、大きなバイクで何でも済ませていたんだけれど、遠出する時と街乗りを別のバイクで、と250ccのオフ車だったりスクーターだったりと2台持ちをして、その末に辿り着いたのがKTMのDUKE125。

小排気量なんてくくりを超越してる、というDUKEの魅力を知るにつけ、その思いをCB125Rに引き継ぎ、125ccの気軽さを味わって、いろいろ買い替えて乗り続けよう、と思ったとき、もうひとつの魅力に気づいたのだった。それは、小学校高学年になった長男がぽつり言ったこと。
「おとう、バイク乗りたい」
――珍しいじゃん、いいよ、乗るか。

DUKEの頃にも、時々乗せてはいたのだ。自宅近くをぐるりと回ったり、近くのコンビニまで5分走ったり、少し遠くのカフェまで往復30分走ったり――。案外キラいじゃなさそうだな、って探りさぐり乗せるのは、世の中のバイク乗りパパあるあるだと思う。

CBのタンデムシートに収まった長男は、高いシートが怖いのだと言った。乗り降りしにくく、足が届かない場所に座る不安があったのだ。

だからCBの次は、モンキー125。これならサイズもコンパクトだし、シートだって高くない。よーしこれであちこち……と思ったら、モンキーは1人乗り専用、タンデムステップもないのだった。これ、ホントに買ってから気づいたのでした(笑)。

中学生になった長男に替わって、今度は次男が乗りたがるようになった。長男、部活に熱中していて、もうオヤジのバイクなんか眼中にないのか。
「おとう、バイク乗りたい」

そんなことを言ってくれる次男のために、Dax125に買い替えたのだ。CBが2年、モンキーも2年。春に注文したけれど、まだDaxの納車状況は改善されていないらしく、今回の試乗車はまだ僕の愛車じゃないけれど、次男をDaxに乗せてやろう。

ホンダはDaxのオーナー像のサンプルとして「30歳代のお父さんと小学生のお子さんの1.5人乗り」があるのだと言った。オヤジの歳がちょっとイッてるけれど、ま、よかろう。

1970年代レジャーバイクは現代の万能ファンバイク

1970年代に街の人気者だったDaxは、モンキー&スーパーカブ系の「ヨコ型」と呼ばれるエンジンを搭載したレジャーバイクだった。

デビュー当時、Daxのデザインを担当したデザイナー・森岡さんによれば、主にアメリカで大人気となったモンキーを、スモール感はそのままに「少し現実的なサイズに」というオーダーが開発のスタートだったという。

そして1969年のクリスマス商戦の時期に合わせるよう、ごく短時間で完成したDaxは、やはり「バックヤードバイク」として、アメリカの広大な自宅敷地の裏庭で乗るような、そんなアソビバイクとして大ヒットした。

翻って日本でも、Daxは「モンキーより大きくてちゃんと乗れる」サイズのバイクとして人気が爆発。スーパーカブやモンキーと同じく、決して大袈裟ではないけれど街のあちこちにDaxはあった。

親戚をたどると、一台はカブかモンキーかDaxがあった、といっても決してオーバーじゃないほど、当たり前のように街の顔だったのだ。

あれから50年、スーパーカブは作り続けられ、モンキーが125ccにリボーンしたように、今度はDaxも125ccになって帰ってきた。

すっかり大人気となった、ホンダ原付二種エンジン、つまりGROMやモンキー、ハンターカブと同系エンジンを搭載し、クラッチレバーのない自動エンジンクラッチを装備しての登場。

サイズ感は12インチホイールのGROMより大きく、17インチホイールを履くC125やハンターカブよりも小さい125cc。モンキー&GROMと違うのは、やはり自動遠心クラッチを使用している点で、よりイージーに走れる。

さらにこのノークラッチ構造ならば、小型限定AT免許でも乗れるし、シーソーペダルを装着していることで、クツの「甲部分」が傷むこともないから、カブと同じくビジネスシューズでも、街乗りで言えばオシャレ靴でも乗ることができるのだ。

そしてDaxは、モンキー&GROMは言うに及ばず、ハンターカブやC125よりもずっと、タンデムシート面積が広い。これで今回のように子どもとタンデムできるし、キャンツーライダーにとっては荷物の積載能力も飛躍的に向上している。だからDax、待ちに待った登場だったのだ。

画像: ST50エクスポート Daxシリーズの元祖といえるのが、1969年発売のST50/エクスポートだ。写真はアップマフラーのST50エクスポート。降り畳み式ハンドルとステップを採用していた。発売当時価格:6万6000円

ST50エクスポート

Daxシリーズの元祖といえるのが、1969年発売のST50/エクスポートだ。写真はアップマフラーのST50エクスポート。降り畳み式ハンドルとステップを採用していた。発売当時価格:6万6000円

画像: モンキー125 Daxと同じく、1960年代にデビューしたモンキーの現代バージョンとして125ccでデビューしたのがモンキー125。現行モデルはDaxにはない5速ミッション、クラッチレバーをもつ。税込価格:44万円

モンキー125

Daxと同じく、1960年代にデビューしたモンキーの現代バージョンとして125ccでデビューしたのがモンキー125。現行モデルはDaxにはない5速ミッション、クラッチレバーをもつ。税込価格:44万円

画像: CT125・ハンターカブ これも1960年代デビューのCT50/CT110ハンターカブの現代バージョン125cc。先代110が華奢なデザインだったのに対し、現行125はどっしりとした重戦車感が爆発的人気を獲得! 税込価格:44万円

CT125・ハンターカブ

これも1960年代デビューのCT50/CT110ハンターカブの現代バージョン125cc。先代110が華奢なデザインだったのに対し、現行125はどっしりとした重戦車感が爆発的人気を獲得! 税込価格:44万円

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