かなりマイナーな旧車を複数所有し、自慢の愛車に振り回されることに喜びを感じる男のバイクライフを描いた自己満足企画。裏を返せば愛車のトラブルやカスタムを記事にするだけなのだが……そんな男の独り言を聞いとくれ。
文:黒田健一/写真:南 孝幸
画像: ハッチャケ黒助 月刊『オートバイ』編集部・通称:ハチ黒 現在所有するバイクは7台。今回で紹介する4台以外に、XR250、ジャイロキャノピー、クロスカブ110を所有。 「原ニで下道だらり放浪記」 ではクロスカブ生活の模様も連載中!

ハッチャケ黒助
月刊『オートバイ』編集部・通称:ハチ黒

現在所有するバイクは7台。今回で紹介する4台以外に、XR250、ジャイロキャノピー、クロスカブ110を所有。「原ニで下道だらり放浪記」ではクロスカブ生活の模様も連載中!

ハチ黒のキャブレター車コレクション

カワサキ「GPz750F」

画像: カワサキ「GPz750F」(1985年式) 37年前に「必ず手に入れる」と誓った1台 37年前にタイ・パタヤのレンタルバイクで借りた時に、タンクからサイドカウルにかけての流れるようなデザインにベタ惚れ。いつかは手に入れたいと思い続け、2018年に某オークションサイトでついに手に入れた最愛の1台。

カワサキ「GPz750F」(1985年式) 
37年前に「必ず手に入れる」と誓った1台

37年前にタイ・パタヤのレンタルバイクで借りた時に、タンクからサイドカウルにかけての流れるようなデザインにベタ惚れ。いつかは手に入れたいと思い続け、2018年に某オークションサイトでついに手に入れた最愛の1台。

スズキ「GSX750S」・ホンダ「CBX750F」・スズキ「DR-Z400SM」

画像: ❶スズキ「GSX750S」(1982年式) 本当は1100が欲しかったのだが… カタナといえば1100だが、いつの時代も高嶺の花。と言うことで2019年に某オークションサイトでハンドル以外はフルノーマルの750を購入。前オーナーがしっかりと整備をしていたので調子は良好。現在は登録抹消中。 ❷ホンダ「CBX750F」(1984年式) 斬新すぎる正方形の2眼ヘッドライト 1980年代の旧車を初めて購入したのがこのCBX750F。このバイクも37年前にタイ・パタヤのレンタルバイクで借りた思い出の1台。2017年に某オークションサイトで購入。当時は25万円くらいで購入できたのだが…。 ❸スズキ「DR-Z400SM」(2011年式) こんな楽しいバイク、絶対に手放せないよ! 2011年にコミコミ62万円にて新車で購入。コンペティションモデルのフロントフォークを装着し、扱い切れる程よいパワーの楽しさを教えてくれた初モタード。購入してからすでに11年が経過したが、全く飽きないベタ惚れの1台。

スズキ「GSX750S」(1982年式)
本当は1100が欲しかったのだが…
カタナといえば1100だが、いつの時代も高嶺の花。と言うことで2019年に某オークションサイトでハンドル以外はフルノーマルの750を購入。前オーナーがしっかりと整備をしていたので調子は良好。現在は登録抹消中。

ホンダ「CBX750F」(1984年式)
斬新すぎる正方形の2眼ヘッドライト
1980年代の旧車を初めて購入したのがこのCBX750F。このバイクも37年前にタイ・パタヤのレンタルバイクで借りた思い出の1台。2017年に某オークションサイトで購入。当時は25万円くらいで購入できたのだが…。

スズキ「DR-Z400SM」(2011年式)
こんな楽しいバイク、絶対に手放せないよ!
2011年にコミコミ62万円にて新車で購入。コンペティションモデルのフロントフォークを装着し、扱い切れる程よいパワーの楽しさを教えてくれた初モタード。購入してからすでに11年が経過したが、全く飽きないベタ惚れの1台。

タイでの海外生活がなければバイクに乗っていなかっただろう

今や絶滅危惧種になってしまったキャブ車は時の流れとともにその数を減らし、信じられないほどの高値で取引されている。そんなことになるとも知らず、1980年代のナナハンを5年くらい前から買い漁っていた。もちろん20~40万円くらいで買える車両がターゲット。でも、「ただ安いから」と言う理由だけではない、その背景には青春時代の思い出が深く関与しているのだ。

今から37年前、父の仕事の関係でタイに3年半ほど住んでいた。タイに住んでから一年が経過した頃、日本人の先輩から色々な悪行を教わった。そのひとつがオートバイだ。当時、タイでは販売が認められていなかった大型バイクを、パタヤビーチではパスポートさえ見せれば気軽にレンタルすることができた。

もちろんバイクの免許もなければ運転方法も知らなかったので、150ccのギア付きバイクを借りて先輩から運転方法を教わった。それからと言うもの毎週末バスで2時間ほどかけてパタヤに通い、日が暮れるまで練習した。その後、Z400GPやFZ400などにステップアップしていったが、ナナハンはさすがに大きすぎて借りる勇気はなかった。

画像: タイ・パタヤで憧れのGPz750に初めて乗った日。デカすぎてUターンすらできなかった。CB750Fに乗っているのが16歳のオレ。

タイ・パタヤで憧れのGPz750に初めて乗った日。デカすぎてUターンすらできなかった。CB750Fに乗っているのが16歳のオレ。

どデカいカウルと18インチホイールにビビっていた甘酸っぱい青春時代

そんなある日、ナナハンのわりに車体がスリムなCBX750Fがレンタル車両に加わり、「これなら乗れるかも」と勇気を出して借りてみると、とても乗りやすい。それからはVF750FやFZX750などを借りまくり、そしてついにGPz750(A1)と出会ってしまった。これまで乗ってきたバイクの中で一番デカいフロントカウルが強烈に印象に残っている。デカい、乗りたい、でも怖い。そう、いつしかGPz750は憧れのバイクになっていた。

それから数カ月後、意を決してGPzを借りることにした。これまで16インチのCBX750FやVF750Fばかり乗っていた影響なのか、GPzのフロント18インチタイヤのハンドリングは非常に重く感じた。結局Uターンすらできずに先輩へバトンタッチした苦い思い出になってしまった。それ以降GPzを借りることはなかったが、けっして嫌いになったわけではない。「大人になったらGPz750を絶対に購入する」と心に誓ったからだ。

画像: スズキ「GSX750S」・ホンダ「CBX750F」・スズキ「DR-Z400SM」

そして35年後の2018年、ついに念願のGPz750F(A2)をオークションで購入。配送業者から車両を受け取り、はじめて実物とご対面。16歳のときは、とてつもなく大きく見えたフロントカウルはとても小さく感じ、「オレはこれにビビってたんだ」と苦笑してしまった。フロントブレーキは恐しく効かないが、とても素直なハンドリングが魅力の旧車です。今のところ不具合がないのは救いだな。

画像: オークションで購入し、配送業者から受けとったときの一枚。このときは黒/赤だったが細かいキズがあったので全塗装した。

オークションで購入し、配送業者から受けとったときの一枚。このときは黒/赤だったが細かいキズがあったので全塗装した。

画像: 購入時は黒/赤だったボディカラーは、3カ月かけて缶スプレーでライムグリーンに自家塗装。「缶スプレーで塗装した」と言うと皆んなビックリするのが自慢。デカール類はイギリスから調達。

購入時は黒/赤だったボディカラーは、3カ月かけて缶スプレーでライムグリーンに自家塗装。「缶スプレーで塗装した」と言うと皆んなビックリするのが自慢。デカール類はイギリスから調達。

ハチ黒カスタム カワサキ「GPz750F」の各部装備

画像: 純正ハンドルにしていた時期もあったがグリップ位置が遠いので、ハリケーンのパイプハンドルに変更。スイッチ類は純正のまま。

純正ハンドルにしていた時期もあったがグリップ位置が遠いので、ハリケーンのパイプハンドルに変更。スイッチ類は純正のまま。

画像: 壊れやすいタンク上の液晶モニターは実動する。燃料が少なくなると燃料計が固まることがあるので常に満タン状態をキープしている。

壊れやすいタンク上の液晶モニターは実動する。燃料が少なくなると燃料計が固まることがあるので常に満タン状態をキープしている。

画像: 空冷なのでヨシムラ製の油温計を装着している。夏場に100℃を超えることは当たり前なのだが心臓に悪い。時計付きなのがグッド。

空冷なのでヨシムラ製の油温計を装着している。夏場に100℃を超えることは当たり前なのだが心臓に悪い。時計付きなのがグッド。

画像: 購入時はGPz750Rの純正キャブがピッチ変更して装着されていたので中古の純正キャブを購入。始動性が良くないんだよね〜。

購入時はGPz750Rの純正キャブがピッチ変更して装着されていたので中古の純正キャブを購入。始動性が良くないんだよね〜。

画像: 無名のマフラーが装着されていたので米国からメガホン風の集合管を購入。純正っぽくてお気に入り。サウンドもGOODだぜ!

無名のマフラーが装着されていたので米国からメガホン風の集合管を購入。純正っぽくてお気に入り。サウンドもGOODだぜ!

画像: 純正リアショックはボロボロだったのでYSSのリアショックに交換した。乗り心地が硬いので最弱にセットして乗っている。

純正リアショックはボロボロだったのでYSSのリアショックに交換した。乗り心地が硬いので最弱にセットして乗っている。

画像: 左右のケースに貼ってある「GPz」のステッカー。これ好きなんだよね。純正品ではないようだがドイツから空輸してもらった。

左右のケースに貼ってある「GPz」のステッカー。これ好きなんだよね。純正品ではないようだがドイツから空輸してもらった。

画像: 最大の失敗はシート。ヒザの曲がりがきついので近所のシート屋にあんこ盛りを頼んだら饅頭みたいな形状になってきた。

最大の失敗はシート。ヒザの曲がりがきついので近所のシート屋にあんこ盛りを頼んだら饅頭みたいな形状になってきた。

アンチノーズダイブ機能はカット済み。スプリングはスピードショップイトウ製。キャリパーとローターは純正のまま。

カワサキ「GPz750F」(1983~1986年)主なスペック

全長×全幅×全高2190×720×1260mm
ホイールベース1495mm
車両重量217《A3:224》kg
エンジン形式空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
総排気量738cc
ボア×ストローク66×45mm
圧縮比9.5
最高出力72《77》PS/9500rpm
最大トルク6.30《6.40》kgf・m/7500rpm
燃料タンク容量18L
変速機形式5速リターン
始動方式セル
タイヤサイズ(前・後)110/90-18・130/80-18
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスク

文:黒田健一/写真:南 孝幸

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