作り得る良コンディションに必要なスープアップを追加
純正初期型カラーをまとい、新車のように仕立てられた油冷GSX-R1100J。
「この車両は、長く乗り続けてくださってる当店のユーザーさんが新型に乗り換えるのでなく、今後も油冷GSX-R1100に安心して乗り続けたいということで相談を受けたものです。しっかり手を入れましょうとお答えして入庫し、手を入れていきました」とTG-RUNの杉本さん。続けて聞いていこう。
「フレームは見直ししてきれいにし、各部はオーバーホールとアップグレードを組み合わせて再構築しています。電気系も一新し、エンジンは当店のストックエンジンに載せ替えた上でヨシムラST-1カムを組んでいます。
ホイールは純正に同じ前後18インチ径で、すごくいい出来になっています。このような見直し作業は、カワサキZ系だと割と当たり前に受け入れられていますけど、GSX-Rなど油冷ではまだまだという感もあります。でも、純正パーツの価格が高騰し廃番もどんどん増えている今、この車両で施したようなリフレッシュとアップグレードはやってほしいですね」
油冷はGSX-R1100も、限定車RKを主としたGSX-R750も多く扱ってきたTG-RUN。動力系は筑波サーキットラップタイム59秒入りを2006年11月の筑波モトルネッサンスで達成し(鉄フレームレギュレーションのため車両はGS1200SS)、その際にもストリート用オリジナルクロスミッションを使うなど、ストリート車で使えるものをベースに構築したパフォーマンスと耐久性へのノウハウがある。
車体や足まわりについても同様。多くの車両を手がけてきたからこその組み合わせができるし、今回履いたブリヂストンT32のように、最新タイヤとの相性という要素も取り込まれている。
油冷GSX-Rシリーズは頑丈だと思われがちだが、それは定期整備あってこそのこと。乗り続けるならその頑丈さにあぐらをかかず、常に手を入れ、いい状態をキープしていく。そして路面や交通状況など、時とともに変わっていく環境に対してグリップや制動力に快適性といった部分で応じられるアップグレードも行っていく。この車両はその好例、油冷GSX-Rへの今行いたい手の入れ方の見本として見ておくべき1台だ。
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Detailed Description 詳細説明
外装はGSX-R1100J純正を再塗装。スクリーンはTG-RUN&スクリーンクラフトだ。ミラーはマジカルレーシング・レーサーレプリカミラー/タイプ2ヘッドを装着する。左右マスターシリンダーはブレンボ・ラジアルのビレットボディで、ステムやメーターは純正パーツをリフレッシュした。
燃料タンクはTG-RUN&ビーター アルミフューエルタンク GSX-R1100(86-88)を使うことで軽量化し、錆びないため劣化も予防できる。
シートはTG-RUNスポーツ&コンフォートシートによって適切な形状として乗車時の快適性や姿勢が決まることでの操作性を向上。足着き性も考慮される。この世代のGSX-Rにも、現行GSX-Rなど各モデルでも注目のパート。ノーマルシート持ち込みでの加工で表皮色変更も可能だ。
ステップもアルミ削り出しのTG-RUNバリアブルステップキットによって高剛性化し、車体のホールド性や反応性、操作性を高めている。
1052ccの油冷直4エンジンはTG-RUNでストックしていた状態の良い個体を整備し、ヨシムラST-1カムを装着して換装。実質フルリフレッシュ+スープアップされた状態となった。吸排気系はFCRφ37mmキャブレター+4-2-1のGSX-R1100(86〜88)K-FACTORYチタンフルエキゾースト。
フロントフォークはGSX-R1100J純正のφ41mmをオーバーホールした上でセッティングしている。フロントブレーキはブレンボ・アキシャルP4 30/34キャリパーをTG-RUN&サンスター・レーシングディスクに組み合わせ、制動力とコントロール性の向上を図っている。
リヤブレーキはブレンボP2 34キャリパーをTG-RUNキャリパーサポートでマウントし、サンスター・プレミアムレーシングディスクにセットする。
リブ入り角アルミ材製のスイングアームはGSX-R1100J純正で、リヤのリンクはTG-RUN車高調リンク。リヤショックはオーリンズだ。前後ホイールはMAGTAN JB1で3.00-18/4.50-18サイズ。これに組み合わされるタイヤは18インチに適合するブリヂストンT32(110/80ZR18・160/60ZR18)だ。