頼れるプロによる作業を生かして12万km超えも快調

スラント(slant。斜めや傾きという意味があり、やや後傾したフロントカウル形状を指す)カウルも特徴的な油冷1991年型がベースのGSX-R1100(M)。オーナーのJUNさんはその現役時からもう30年、この車両に乗り続けている。ただ、見ても分かると思うがそんなに長く乗ったとは思わせないほどに状態は良く、エンジン音も軽やか。それはまず、「軽量化&純正風カスタム」というテーマを崩さずに手を入れたことにありそうだ。

JUNさんの元々の地元・九州時代にはオートポリスでの走行会もこなし、そこである時に転倒したことからカウルはクレバーウルフ製に変更した。純正形状に近く、塗装も純正パターンと色味を踏襲する。合わせて福岡・久留米のヴァイタルスピリットで足まわりをチューニング、佐賀のウエノR&DでマフラーをUSヨシムラ・チタンに換装する。ビッグバイクカスタムに強いショップを知り、このように早い時点で必要な部分に手を入れているところにも注目。

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その後関東に来てからは5万km走行時にエンジン腰上をオーバーホール。さらに5万kmを走った10万km時には腰下も含めてフルオーバーホール。現在はワイセコの1mmオーバーサイズ鍛造ピストンが入り、走行12万kmを超えてなお絶好調とのこと。このエンジン作業を依頼した先は、東京・八王子のクレバーハンズ。油冷に造詣が深いショップだ。しっかりとしたショップとの付き合いと整備タイミングの取り方で、このように好調は維持されているのだ。

この車両、次は外装交換が視野に入っていて、’88年のSERT(スズキ・エンデュランス・レーシング・チーム)GSX-R750レプリカフロントカウルと’90〜’91年のヨシムラR750形状テールカウルは用意し、これまでと同じように、油冷モデルやJUNさんの熱意と希望がよく分かるショップに依頼済み。憧れの’88年SERT車(TTF-1ベースの耐久レース仕様)に近づけるとのことだが、その完成の姿も楽しみだ。

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アッパーカウル(ヘッドライト/カバー含む)はクレバーウルフ製'89〜'92油冷R1100用FRPで、純正カラーでペイントされる。

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320km/hまで刻まれた速度計とエンジン回転計はともにノーマル。これらを収めるアルミ製メーターパネルに付くGSX-RエンブレムもJUNさんがこの車両を気に入る理由。左上に油温計を追加。ハンドルやブレーキまわりはノーマルを使うが、状態は良好に保たれている。

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φ78×59mmの1127ccエンジンは腰上は2度のオーバーホール(腰下もその2度目でオーバーホール)を受け、現在は1mmオーバーサイズ(φ79mm/1192cc)のワイセコ鍛造ピストンを使う。カムシャフトは1991年型用が入手不可のため、ヘッドASSYを'90年型に換装した上でヨシムラST-1カムを組んでいる。ジェネレーターカバーとパルサーカバーはともにヨシムラ。キャブレターはFCRφ39mmで排気系はUSヨシムラ・チタンデュプレクス+同RS3サイレンサーをウエノR&Dで装着。アルミダブルクレードルフレームはノーマルだ。

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フロントフォークは純正φ41mm倒立にWPスプリングを組む。フロントブレーキは純正のニッシン4ピストンキャリパー+サンスター・ワークスエキスパンドディスク。

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リヤブレーキは純正2ピストンキャリパー+純正リジッドディスクの組み合わせ。ビトーR&D製ライディングステップキットも装着される。

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アルミスイングアームはGSX-R1100M純正でリヤショックはペンスキーに換装。足まわりの作業はヴァイタルスピリットに依頼した。

取材協力:ヴァイタルスピリット / クレバーハンズ

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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