文:横田和彦、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ホンダ「レブル250 Sエディション」インプレ(横田和彦)
軽快で素直な走りが愛され続ける秘訣
2017年のデビュー以来大ヒットを続けるレブル250。初めて見たときは「いままでのクルーザーにはないスタイリッシュなデザインだな」と好感を持ったが、ここまで売れるとは思わなかった。その人気の秘密を2022年10月に登場した新型で改めて検証してみたい。
新型の変更点は排出ガス規制への対応とカラーバリエーションの刷新。エキゾーストパイプの途中にキャタライザーが追加されたが、言われないとわからない。そこ以外に大きな変更はなく、新型かどうかはカラーリングで判断することになる。最高出力/最大トルクともに変更はないが、最大トルクの発生回転数は1250rpmほど下がっている。
コンパクトでロー&ロング。フロントフォークが大きく寝てシートがぐっと低いフォルムのレブル250は、クルーザーというカテゴリーを超えた独自の世界観を持っている。試乗したのは小振りなビキニカウルを装着したSエディション。新色のメタリックが入ったレッドが陽の光を受けて美しく輝き、ワディングの入ったシートも高級感がある。
またがるというより“ペタンと座る”という感じのシート高は昭和な日本人体型(要は短足)の僕でも安心感しかない。取り回しもまたがってやった方がラクだ。反面、ハンドルは少し遠く、小柄な人だとUターンなどでハンドルをフルに切ると腕が伸び切ってしまう。そのときだけ少し前に座り直した。
単気筒エンジンは歯切れよく吹け上がる。モデルチェンジで最大トルクの発生回転数が下がったが、元々トルクがあるので体感的には違いはない。想像するに、ホンダ側も人気モデルの特性を変えないように排出ガス規制への適合を行ったのだろう。アクセルを開けるとシートを通してリアホイールが路面をリズミカルに押し出す感覚が伝わってくる。この軽快さもレブル250の持ち味だ。
キャスターが寝ていて太い前後タイヤを装着しているが、ハンドリングは変なクセもなくニュートラル。このあたりの設定もホンダらしいもので、直進安定性が高いにも関わらずタイトコーナーでもクルリと向きを変える。この扱いやすさもビギナーからベテランにまで受けている理由である。
モデルチェンジしてもネガなところは一切なく、軽快で自由さにあふれた乗り味など、レブル250が持つ個性的なキャラクターはそのままであることが確認できた。レブルの快進撃はしばらく続きそうだ。