文:中村浩史/写真:森 浩輔/取材協力:Naps Sports
Naps Sports「フルドライカーボンボディキット」とは?
クリアカーボン仕様
マットクリア仕様
ハヤブサに相応しいハイクオリティプロダクト
性能や存在感はもちろん、大人のハイクオリティモデルとして不動の人気を持つスズキ・ハヤブサ。単なるツーリングバイクでも、スーパースポーツでもない、その存在はまさに、唯一無二の「ハヤブサ」だ。
そのハヤブサをさらにスペシャルにするにも、やはり定番にはないメニューがふさわしい。
「ハヤブサに相応しい『究極のプロダクト』を考えて、カーボンカウルを開発しました。カーボンと言ってもドライカーボンで、世界最高の品質を持つフルドライカーボンです」というのは、ナップス戦略事業部の松倉さん。ナップスは、単なるカスタムパーツではなく、究極のオリジナリティを目指して立ち上げたプロジェクトが「Naps Sports(ナップススポーツ)」なのだ。
ナップススポーツの第一弾が、このハヤブサ用フルドライカーボンボディキット。フルカウル、フェンダー、タンクカバーやテールカウルまで含むフルボディキットで、単品での販売はなし。なんとも強気なプロジェクトだが、わかる人がわかってくれればいい──そんな気持ちのこもったプロジェクトなのだ。
Naps Sports「フルドライカーボンボディキット」開発者インタビュー
最高に贅沢な製法、最高の品質とドライカーボンのオーラを纏った製品
ナップススポーツの第一弾プロダクトとして発表されたドライカーボンは「本物のカーボン」といわれる超軽量高強度素材。MotoGPマシンやF1など、世界最高峰のレーシングマシンに使用される、コストがかかり、製造も量産も難しいパーツだ。
「そのドライカーボンを、レーシングマシン用に設計生産している国内メーカーさんにオーダー、純然たるメイド・イン・ジャパンです。最終的には職人による一品ずつのハンドメイドなので、成形型の精度を保ち、品質を保証するために30セットしか生産しません」
通常のFRPカウルやウェットカーボンでは、まずノーマルカウルに樹脂とマットを貼り込んで「雌型」を作り、それを反転させて、またはクレイを削り出した形から雌型を作り、そこから反転させた「型」を製作。その型に、樹脂とマットを積層貼り込みして製品化するのが一般的だが、ナップススポーツ製品はノーマルカウルを3Dスキャンし、そのCADデータから型を起こし、モディファイを施して製品化するという製法を採る。
「データ取りの段階の手間は、通常の雌型製作と比べて数倍の時間と工数がかかりますが、これで形状変更が簡単になります。もっと言えばオリジナルカウルも設計できますが、ナップススポーツのドライカーボンボディキットは、メーカーがデザインしたノーマルの形状を尊重して、ディテールを少しだけオリジナルとしました。ひと目でハヤブサだと分かる、それでも細かい所が少しだけ違っている──そんな製品に仕上げているんです」
レーシングマシンに使用される超軽量さはそのままに、1枚のパーツでも強度が必要な場所と、そうでない場所で板厚を自由に調整。ストリート使いにも耐える仕様として、紫外線や熱対策も考えて塗料や塗膜厚さを追求。実走テストでは片道500kmオーバーのツーリングテストも敢行した。
「販売も1台ずつオーダーメイドで、車両を持ち込んでいただいて、ナップス店舗で組み込むか、カーボンボディキット組み込みの状態でのコンプリート販売を予定しています。ハヤブサの車両を確保するのが難しいため、このコンプリート販売は数台のみですね。もちろん、納車後のケアもナップスで行ない、納車後1カ月に取付状況の点検作業も行ないます」
製法も製品もプレミアムなものだけに、価格もフルボディキットで209万円、コンプリート車両で乗り出し価格は493万円と超ド級。
軽量化が期待できるドライカーボンだが、ハヤブサのノーマルカウルがすでに軽量に仕上がっていて、ドライカーボンカウルはさらに強度と耐久性をキープしながら4kgの軽量化に成功!
「この贅沢なモノづくりを分かってくれるお客様はきっといるーーそんなわれわれの願いを込めた商品です」