文:オートバイ編集部、太田安治
ホンダ「VFR400R」特徴・回顧録(太田安治)
もう40年も昔、CBX400FとVF400Fを同時に所有していた時期がある。しっとりした大人っぽいフィーリングのCBXに対し、VFは身の軽いヤンチャ坊主といったキャラクターで、V型4気筒エンジンが秘めているスポーツ性に気付かされた。
1986年型、87年型のVFR400Rで鈴鹿の4時間耐久にも参戦したが、サーキットでの戦闘力が劇的に上がったのが1989年型のNC30だ。名前が示すように750ccのRC30(VFR750R)の兄弟車で、車体/エンジン構成もルックスもそっくり。前モデルからフレームを一新し、フロントタイヤを16→17インチ化したことで旋回中の安定性が増し、360度に変更したクランク位相角で排気音が小気味よくなったことも特徴。
1994年にRVFへと進化するまでの4年以上、レースの世界で上位の常連であり続けたことも高い完成度の証だ。
ホンダ「VFR400R」注目ポイント
ホンダ「VFR400R」歴代モデル 1986年~1992年
VFR400R(1986)
カムギアトレーンを採用するV4ユニットをアルミツインチューブフレームに搭載する、当時の最先端テクノロジーの詰まったマシン。
VFR400R(1987)
ワークス耐久レーサー・RVF750譲りの片持ち式スイングアーム「プロアーム」を導入。エンジンや足まわりも強化された。
VFR400R(1987)
WGP500ccクラスのワークスマシンをスポンサードしていた「ロスマンズ」カラーを採用した特別仕様車。ロゴステッカーも同梱。
VFR400R(1989)
RVF750のイメージと設計思想を受け継ぐ、VFR750R(RC30)の弟分。360度クランクの新エンジンや前後ラジアルタイヤなどを採用。
VFR400R(1990)
カートリッジ式のフロントフォークやリザーバータンク付きのリアサスを採用して足回りを熟成。カラーも一新された。
VFR400R(1992)
この年の鈴鹿8耐に参戦した“OKI HONDA RACING”のワークスRVF750をイメージしたスペシャルカラーを採用した最終型。
ホンダ「VFR400R」主なスペック
※諸元は1989年モデル
全長×全幅×全高 | 1985×705×1075mm |
ホイールベース | 1345mm |
最低地上高 | 125mm |
シート高 | 755mm |
車両重量 | 182kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブV型4気筒 |
総排気量 | 399cc |
ボア×ストローク | 55.0×42.0mm |
圧縮比 | 11.3 |
最高出力 | 59PS/12500rpm |
最大トルク | 4.0kg-m/10000rpm |
燃料供給方式 | キャブレター |
燃料タンク容量 | 15L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25゜20′ |
トレール量 | 96mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/60R17・150/60R18 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・シングルディスク |