文:オートバイ編集部、太田安治
ホンダ「RVF」特徴
ワークス技術を結集したホンダV4の集大成!
1990年代に入り、TT-F1がスーパーバイクに移行したタイミングで、VFR400R(NC30)はフルモデルチェンジを敢行。車名もワークスレーサーそのものである「RVF」として生まれ変わる。
360度クランク採用のエンジンは吸排気系を徹底して見直し、V4らしいダイレクト感を追求。フレームは剛性バランスにこだわり、メインビーム部の構造やエンジンハンガー形状まで一新した意欲作。待望の倒立フォークも装備し、スタイリングもよりワークスマシン然としたものとなった。
すでに1991年でTT-F3のカテゴリーは終了してしまい、400クラスの主役の座はネイキッドに移りつつあったが、ホンダの最先端テクノロジーを凝縮したRVFは、レプリカブームの締めくくりにふさわしい、完成度の高い一台であった。
ホンダ「RVF」回顧録(太田安治)
前モデルのVFR400R(NC30)とVFR750R(RC30)の関係と同様、RVF(NC35)はRVF750/RC45の兄弟車。ホイールは現在でも主流になっている前後17インチとなり、倒立フォークと新フレームを採用。こうした変更はサーキットでの戦闘力アップを意識したものだが、エンジンは自主規制によって53PSまでパワーを削られた。
1990年代は人気の中心がレプリカからネイキッドへと移り、レプリカの晴れ舞台だった全日本TT-F3クラスも1991年で終了。そうしたこともあってか、ミッションのレシオも変更され、中回転域トルクに振られたエンジン特性と併せ、公道ではNC30よりもはるかに乗りやすかった。逆に言えば本来のポテンシャルを発揮する機会に恵まれなかった悲運のモデル。乗ればホンダV4・400ccモデルの最高傑作だと判るのだが…。
ホンダ「RVF」注目ポイント
ホンダ「RVF」歴代モデル 1994年~1996年
RVF(1994)
ワークスマシンRVF750のスタイリングを継承。熟成が進んだエンジン、1-3速のローギアード化など、扱いやすさは格段に増した。
RVF(1996)
グラフィックパターンは前年のものと同じだが配色を変更。これが最終モデルで、2000年ごろまで販売されていた。
ホンダ「RVF」主なスペック
全長×全幅×全高 | 1985×685×1065mm |
ホイールベース | 1335mm |
最低地上高 | 120mm |
シート高 | 765mm |
車両重量 | 183kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブV型4気筒 |
総排気量 | 399cc |
ボア×ストローク | 55.0×42.0mm |
圧縮比 | 11.3 |
最高出力 | 53PS/12500rpm |
最大トルク | 3.7kgm/10000rpm |
燃料供給方式 | VP90キャブレター |
燃料タンク容量 | 15L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25゜00′ |
トレール量 | 92mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/60R17・150/60R17 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・シングルディスク |