1990年代に入り人気が盛り上がり始めたネイキッドと入れ替わるように、それまで栄華を誇っていたレプリカモデルの人気にも次第に陰りが見え始める。そんな時代のトリを飾ったのがRVF。ホンダV4時代の集大成モデルだ。
文:オートバイ編集部、太田安治

ホンダ「RVF」特徴

画像: Honda RVF 1994年 総排気量:399cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型4気筒 シート高:765mm 車両重量:183kg

Honda RVF
1994年

総排気量:399cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型4気筒
シート高:765mm
車両重量:183kg

ワークス技術を結集したホンダV4の集大成!

1990年代に入り、TT-F1がスーパーバイクに移行したタイミングで、VFR400R(NC30)はフルモデルチェンジを敢行。車名もワークスレーサーそのものである「RVF」として生まれ変わる。

360度クランク採用のエンジンは吸排気系を徹底して見直し、V4らしいダイレクト感を追求。フレームは剛性バランスにこだわり、メインビーム部の構造やエンジンハンガー形状まで一新した意欲作。待望の倒立フォークも装備し、スタイリングもよりワークスマシン然としたものとなった。

すでに1991年でTT-F3のカテゴリーは終了してしまい、400クラスの主役の座はネイキッドに移りつつあったが、ホンダの最先端テクノロジーを凝縮したRVFは、レプリカブームの締めくくりにふさわしい、完成度の高い一台であった。

ホンダ「RVF」回顧録(太田安治)

前モデルのVFR400R(NC30)とVFR750R(RC30)の関係と同様、RVF(NC35)はRVF750/RC45の兄弟車。ホイールは現在でも主流になっている前後17インチとなり、倒立フォークと新フレームを採用。こうした変更はサーキットでの戦闘力アップを意識したものだが、エンジンは自主規制によって53PSまでパワーを削られた。

1990年代は人気の中心がレプリカからネイキッドへと移り、レプリカの晴れ舞台だった全日本TT-F3クラスも1991年で終了。そうしたこともあってか、ミッションのレシオも変更され、中回転域トルクに振られたエンジン特性と併せ、公道ではNC30よりもはるかに乗りやすかった。逆に言えば本来のポテンシャルを発揮する機会に恵まれなかった悲運のモデル。乗ればホンダV4・400ccモデルの最高傑作だと判るのだが…。

ホンダ「RVF」注目ポイント

画像: 1993年の鈴鹿8耐に参戦したワークスRVFのカラーリングをモチーフにしたグラフィック。フラッシュサーフェス化で空気抵抗係数も6.5%向上した。

1993年の鈴鹿8耐に参戦したワークスRVFのカラーリングをモチーフにしたグラフィック。フラッシュサーフェス化で空気抵抗係数も6.5%向上した。

画像: エンジンハンガー形状を変更し、エンジンとフレームの一体感を向上。スイングアームピボットの剛性も最適化されている。

エンジンハンガー形状を変更し、エンジンとフレームの一体感を向上。スイングアームピボットの剛性も最適化されている。

画像: スリッパータイプピストンの採用、フライホイールマスの低減などでスロットルレスポンスを向上。パワーは自主規制変更で53PSに。

スリッパータイプピストンの採用、フライホイールマスの低減などでスロットルレスポンスを向上。パワーは自主規制変更で53PSに。

画像: エキゾーストは4-2-1方式。サイレンサーはアルミインパクト整形を採用、内部構造も3室として騒音の低減も図っている。

エキゾーストは4-2-1方式。サイレンサーはアルミインパクト整形を採用、内部構造も3室として騒音の低減も図っている。

画像: Φ41mm倒立フォークは伸び側減衰調整機構を搭載。ブレーキディスクは296mm径で、タイヤは60扁平のラジアルを装着していた。

Φ41mm倒立フォークは伸び側減衰調整機構を搭載。ブレーキディスクは296mm径で、タイヤは60扁平のラジアルを装着していた。

画像: 片持ちのプロアームは剛性バランスを見直し、リアショックには伸び側減衰調整機構を採用。リアホイールはセンターロック式。

片持ちのプロアームは剛性バランスを見直し、リアショックには伸び側減衰調整機構を採用。リアホイールはセンターロック式。

画像: スピードメーターを別体式とするメーターレイアウトはレプリカらしいレーシーなもの。レッドゾーンは14500rpmから。

スピードメーターを別体式とするメーターレイアウトはレプリカらしいレーシーなもの。レッドゾーンは14500rpmから。

ホンダ「RVF」歴代モデル 1994年~1996年

RVF(1994)

ワークスマシンRVF750のスタイリングを継承。熟成が進んだエンジン、1-3速のローギアード化など、扱いやすさは格段に増した。

画像1: 当時価格:78万円(消費税別)

当時価格:78万円(消費税別)


RVF(1996)

グラフィックパターンは前年のものと同じだが配色を変更。これが最終モデルで、2000年ごろまで販売されていた。

画像2: 当時価格:78万円(消費税別)

当時価格:78万円(消費税別)

ホンダ「RVF」主なスペック

全長×全幅×全高1985×685×1065mm
ホイールベース1335mm
最低地上高120mm
シート高765mm
車両重量183kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブV型4気筒
総排気量399cc
ボア×ストローク55.0×42.0mm
圧縮比11.3
最高出力53PS/12500rpm
最大トルク3.7kgm/10000rpm
燃料供給方式VP90キャブレター
燃料タンク容量15L
変速機形式6速リターン
キャスター角25゜00′
トレール量92mm
タイヤサイズ(前・後)120/60R17・150/60R17
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスク

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