文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸
ブリクストン「クロムウェル250」インプレ(太田安治)
オーストリア生まれのクラシックロードスター、レトロなテイストをゆったり味わえる一台
ブリクストンは、オーストリアのKSRグループが2018年から展開している新進気鋭のブランド。設計と開発はヨーロッパ、製造は中国という手法で125ccモデルから1200ccモデルまで幅広いラインアップを展開している。このクロムウェル250は、ブリティッシュスタイルの車体にオーソドックスな単気筒エンジンという、日本でも人気を呼びそうなパッケージングの一台だ。
冷却フィンがデザインアクセントともなっている空冷エンジンや、スポークホイール+セミブロックタイヤ、クロームメッキの短い前後フェンダー、タックロールシート、フォークブーツなど、そのルックスからは1960~70年代スクランブラーの香りが漂っているが、実際の乗り味もレトロなフィーリングだ。
単気筒だけに振動はあるが、手足が痺れるようなものではなく、適度な鼓動でオートバイを駆っている充実感がある。市街地で多用する5000~8000回転あたりでのレスポンスが素直で、やや乾いた音質の排気音と併せ、約17PSという数字から想像する以上によく走る。完全な新車状態だったのでトップエンドまで回すことは控えたが、おそらく最高速は120km/h程度で、自動車専用道路を淡々と走るには不足なし。
とはいえ、走行風と鼓動感、排気音のバランスが取れて気持ちよく走れるのは40km/h~80km/h。ストリートに的を絞ったキャラクターだ。
加えて街乗りに適しているのが、上体が完全に直立するライディングポジションと、着座位置の自由度が高いシート。アイポイントの高さはライディングに余裕を生み、肉厚なシートは座り心地がいいだけではなく、エンジンの振動、路面からの衝撃を吸収して疲労を抑えてくれる。
CST製のフロント18インチ、リア17インチのタイヤはセミブロックパターンだが、ゴロゴロとした感触はなく、街乗りでも峠道でもスムーズ。前後サスペンションは減衰力を強めに効かせてピッチングを抑えた設定で、ライダーの操作に素早く反応するロードスポーツ的なハンドリングを生んでいる。
ロードスポーツをベースにタイヤやポジションの変更でオフロード適性を高めた、かつてのスクランブラーと同様の構成とフィーリングだから、ビギナーには扱いやすく、スキルのあるライダーならダート路面に持ち込んで遊ぶ楽しみもある。「古き良き時代」の雰囲気を巧みに再現した一台だ。
ブリクストン「クロムウェル250」カラーバリエーション
デザートゴールド/クロックワークオレンジ
チタンブラック/スターリンググレー
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