文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸
ベネリ「レオンチーノ125」インプレ(太田安治)
唯一無二のデザインと安定感ある走りが光る
レオンチーノという車名はイタリア語で「小ライオン」を意味するが、車体は125ccクラスとしては大柄。スチールパイプで構成されたトレリスフレームに前後17インチホイールを装着し、ベーシックなフルサイズスポーツに仕上げられている。
ベネリはこのモデルをスクランブラーに区分しているが、ショートテールにロードタイヤ、ダウンマフラーという構成はストリートファイター的。それでいて尖った感じはなく、レトロモダンとも言うべき個性的なルックスが目を惹く。
ヨーロッパ向けに企画された車体で、EUマーケットでも堂々とした車格が好まれるということもあってか、ピンクのナンバープレートが付いた原付二種モデルには見えない。当然、ポジション自由度も大きく、高身長のライダーでも窮屈に感じることはないだろう。
145kgの車重に12.8馬力のエンジンという組み合わせだけに、動力性能がどのようなものか気にしていたが、水冷4バルブ単気筒エンジンの実力は想像を大きく超えていた。3本の点火プラグがΦ28mmスロットルボディから供給された混合気をしっかり燃焼させることで排気ガスのクリーン化と好燃費を実現し、低回転域から太いトルクを発揮。ゼロ発進で回転数やクラッチ操作に気を使う必要はなく、巧みなギア比の設定で加速も充分。6000回転以下で粘らせるような走りは苦手だが、市街地で頼りなく感じることはない。
ここからレブリミッターが作動する1万回転までをキープし、6速ミッションを駆使してパワーを使い切っての走りは大パワー車にはない楽しさに溢れているし、スロットル、クラッチ、シフトの操作連携を不安なく身に着けられるからライダーのスキルアップにも役立つ。スロットル全閉から全開までの開度が大きいこともあって、ラフなスロットル操作でもギクシャクしないが、よりハイスロ的な設定なら体感的な力強さも増すはずだ。
車体の剛性バランスは高めで、直進安定性の高さ、コーナリング中の落ち着きともに125ccクラスらしからぬもの。前後サスをソフトめにセットして市街地でのストローク量を増やすこともできたはずだが、開発陣は優しい乗り心地よりもカッチリしたハンドリングを優先したのだろう。
小型免許で乗れる数少ないフルサイズのマニュアル車という希少価値に加え、老舗ベネリの哲学も感じさせる一台だ。
ベネリ「レオンチーノ125」カラーバリエーション
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