アルミの塊から削り出されて完成するビレットパーツなのだが、実に80%もの材料が無駄になっているとは思いもしなかった。しかしこれこそが、妥協せずに機能とデザインを追求した証でもあったのだ。
文:小川 勤/取材協力:ケイファクトリー
※本企画はHeritage&Legends 2022年12月号に掲載されたものです。

デモ車を製作するにはビレットパーツが必須だった

巨大なアルミの塊を片手で持ち上げようと思ったら、ちょっと無理だった……。これはカワサキZRX1100&1200、そしてGPZ900Rシリーズのエンジン右側のクラッチカバーの材料となったアルミ塊のハナシ。先に完成品を持ち上げた直後だったから、そのギャップが大きかったというのもあるかもしれない。

このアルミブロックをマシニングセンタにセットして、刃を変えながら何方向からも削り出してクラッチカバーは完成する。数あるケイファクトリーのビレットパーツの中でもこのクラッチカバーはその工程がいちばん多く、25種類もの刃を駆使して製作するのだという。

画像: デモ車を製作するにはビレットパーツが必須だった
画像: ▲刃の種類で図面の色が変わる。クラッチカバーは25種類の刃を使用するのだとか。中には材料の9割近くを削り出して完成するパーツもあるという。

▲刃の種類で図面の色が変わる。クラッチカバーは25種類の刃を使用するのだとか。中には材料の9割近くを削り出して完成するパーツもあるという。

そのほとんどを先のアルミ塊から削り出すことで完成されるクラッチカバーは1.2kgと軽量で、剛性と美しさも両立。無機質なアルミの塊は、まるで削られることで息吹が芽生えるように、みるみる煌びやかになっていく。

「元々、弊社はマフラーを主体としたメーカーだったのですが、コンプリートでデモ用のバイクを作りたいってなった時に、ビレットパーツが必要になりました。バイクメーカーが送り出すノーマルのままではどうしてもコストのかけられない部品があるのですが、そこをカスタムすることによってちょっとした優越感とか、ワクワクする気持ちを味わってほしいんです」と、ケイファクトリー代表の桑原裕志さんは言う。

ケイファクトリーのビレットパーツはデザインも秀逸で、レーシーな無機質さよりは少し煌びやかな表情を大切にし、切削痕とフラットな面を巧みに組み合わせる。機能美だけでないこの独特の質感を愛でるファンは多い。

そしてケイファクトリーには、ここで紹介する大物パーツばかりでなくマスターシリンダーのキャップなどアクセントに使えるパーツも揃っているのも魅力だろう。自分の好みを愛車に反映させやすいビレットパーツで、まずはちょっとの優越感に浸ってみるのもいいだろう。

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素材の8割を削り落として剛性、質感、軽さを追求する製造の現場

画像1: 素材の8割を削り落として剛性、質感、軽さを追求する製造の現場
画像2: 素材の8割を削り落として剛性、質感、軽さを追求する製造の現場

画像1: 無機質なアルミの塊が煌びやかな輝きを放つ! ビレットパーツへのこだわり|ケイファクトリー
ビレットパーツ部門を統括するのはケイファクトリー専務の広瀬信彦さん。ケイファクトリーでは、2005年からアルミビレットパーツの製造をスタート。パソコンにも触ったことがなかったという広瀬さんが、今は何台もの機械を自在に操る。

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クラッチカバーを例にアルミビレットパーツの製作過程を見ていこう

画像2: 無機質なアルミの塊が煌びやかな輝きを放つ! ビレットパーツへのこだわり|ケイファクトリー
重量:9.7kg
上はカワサキZRX1100&1200、GPZ900Rシリーズなどのエンジン用クラッチカバーの材料だ。触れてみると角も立っていて、気をつけないと指を切りそうな感じ。当然だが、とにかく無機質だ。

画像1: クラッチカバーを例にアルミビレットパーツの製作過程を見ていこう

画像3: 無機質なアルミの塊が煌びやかな輝きを放つ! ビレットパーツへのこだわり|ケイファクトリー
重量:4.9kg
マシニングセンタにセットしてまずは裏面を削っていく。クラッチカバーなので裏面はシンプルな形状だが、オイルパンなどはオイル流路など確保するために、かなり複雑になる。

画像2: クラッチカバーを例にアルミビレットパーツの製作過程を見ていこう

画像4: 無機質なアルミの塊が煌びやかな輝きを放つ! ビレットパーツへのこだわり|ケイファクトリー
重量:1.2kg
裏側を削り終えたらマシニングから一度取り外して、表を切削するために再セット。写真は完成一歩手前のもので、ここから少し手を入れてアルマイトなどの表面処理行程に進んでいく。

画像5: 無機質なアルミの塊が煌びやかな輝きを放つ! ビレットパーツへのこだわり|ケイファクトリー
販売製品状態
クラッチカバー TYPE2(ジュラコンスライダー付)
for GPZ900R、ZRX1100、1200、DAEG
9万6800~10万7800円
転倒時にヒットしやすい部分には樹脂製スライダーを装着。仕上げはアルミ生地(部分研磨仕上げ)とブラック&シルバーのアルマイトから好みでチョイスできる。

画像6: 無機質なアルミの塊が煌びやかな輝きを放つ! ビレットパーツへのこだわり|ケイファクトリー
クラッチカバー TYPE2(アルミスライダー付)
for GPZ900R、ZRX1100、1200、DAEG
9万6800~10万7800円
こちらはアルミスライダー付きのブラックの車両装着玲例。ノーマルにはない高級感を醸し出す。製品にはオイルフィラーキャップやガスケットも付属している。

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ケイファクトリーのアルミビレットパーツには他にもさまざまな製品が!

■トリプルツリー Type2
for ZRX1100、1200、DAEG
15万4000円

(参考 純正オフセット ZRX1100:30㎜/ZRX1200:28㎜/ZRX DAEG:30㎜)

画像7: 無機質なアルミの塊が煌びやかな輝きを放つ! ビレットパーツへのこだわり|ケイファクトリー
ステアリングステムのオフセット量は、オプションのカラーを使うことで28㎜と32㎜にも設定変更が可能だ。こちらもブラックとシルバーのアルマイトをラインナップしている。

■フロントスプロケットカバー
for ZRX1200DAEG
3万9600円

画像8: 無機質なアルミの塊が煌びやかな輝きを放つ! ビレットパーツへのこだわり|ケイファクトリー
軽量性と美しさを両立し、下に紹介のクラッチレリーズとの併用も可能だ。ケイファクトリーではさまざまな車種のスプロケットカバーをラインナップする。

■クラッチレリーズ Kタイプ
for GPZ900R、ZRX1100、ZRX1200、ZX-14R、ZZR1200、ZZR1400
2万8600円

画像9: 無機質なアルミの塊が煌びやかな輝きを放つ! ビレットパーツへのこだわり|ケイファクトリー
クラッチレリーズのピストン径を大きくすることで、クラッチ操作を軽くできるアイテム。ノーマルマスターシリンダーのままでも効果は体感できる。

■パルシングカバー TYPE2
for GPZ900R、ZRX1200シリーズ
3万800~3万3000円

画像10: 無機質なアルミの塊が煌びやかな輝きを放つ! ビレットパーツへのこだわり|ケイファクトリー
カバー下側をジュラコン製スライダーに変更することも可能。ポリッシュとブラック&シルバーのアルマイトから選ぶことができる。

■ライディングステップ
for GPZ900R
7万2600円

画像11: 無機質なアルミの塊が煌びやかな輝きを放つ! ビレットパーツへのこだわり|ケイファクトリー
4ポジション(UP:20㎜/BACK:10㎜、UP:20㎜/BACK:20㎜、UP:30㎜/BACK:10㎜、UP:30㎜/BACK:10㎜)から好みのステップバー位置が選べる、GPZ900R用のステップキット。ノーマルステップのベースプレートを構造から見直し、ピボット部の剛性を大幅にアップした。ゴールドとブラックアルマイトを用意する。

文:小川 勤/取材協力:ケイファクトリー
※本企画はHeritage&Legends 2022年12月号に掲載されたものです。

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