文:中村浩史/写真:島村栄二
CASE #4 休日のおともとしてのハンターカブ
野球にもサッカーにもゴルフにもハンターカブがおともします
いつもはクルマで出かける日曜日。いつもの野球場にハンターカブで行ってみよう。行き帰りの大渋滞だって関係ない。休みの日にだって自由を感じられるのだ。
ハンターカブ、どこへ行っても注目の的、モテモテです
筆者ナカムラ、おじさん草野球を嗜んでおります。いくつかチームを移籍しつつ、今年の春からまた新チームに合流。もちろん、オファーあっての移動じゃなく、人数が足りなくなったりグラウンドが取れなくなったり、な集合離散での移籍なのである。
メンバーは都内都下全域に生息しているから、グラウンドが毎回の練習と試合で近いとは限らない。野球のある日はだいたい土曜午前。クルマで行くと、混み始める時間帯に出かけ、完全渋滞の時間帯に帰宅するんだけれど、これをハンターカブで解消してみた。
この日は東京西部の大公園での練習試合で、自宅から約1時間ってところ。9時集合に8時半にはアップを始めるのが我がチームの数少ないルールだから、余裕をもって7時に家を出る。
土曜の朝7時の都内交通環境は、ウィークデイの大渋滞とは打って変わって穏やかなガラガラ状態。郊外へ向かう下り車線側に、少しずつクルマが増え始めている感じだろうか。
その中を、まだちょっと肌寒い初春に、ハンターカブでスイスイ走る。桜は散ってしまったけれど、明らかにウィークデイより空気がきれいで、通勤の時よりも気分さわやか、のんびり気分で走ることができる。
バイクは自転車置き場に駐車してOKだから、グラウンドの有料駐車場もパスしてバックネットすぐ近くに駐車。ハンターカブで乗り付けると、クルマや原付で来ているチームメイトや、他グラウンドのおじさんたちにモテモテ! これハンターカブかぁ、なかなか買えないんだってねぇ。ピンクナンバーかぁ、スピード出せていいなぁ。カブと同じシフトなんだな――とかナントカ。ハンターカブ、どこへ行っても注目の的なのだなぁ。
新型ハンターカブは、リアボックス取り付け用のビス穴が増設されている。大型キャリアには荷かけゴム用のフックもがっちり。ユニホーム、スパイク、グラブを入れたバッグも余裕で積めました。
CASE #5 ロングツーリングバイクとしてのハンターカブ
ロングツーリングで本領を発揮する!
スーパーカブにトレッキング性能を加えたのがハンターカブ。距離ガバの多いカブファミリーにあって、やっぱり今、一番距離を走るのがハンターカブのオーナーたちなのだ。
カブファミリーの歴史上、最もロングランされている!
通勤したり、カフェに入ったり野球に出かけたりばかりがハンターカブのパフォーマンスじゃない。古くからのカブファミリーファンはとっくに知っている、ハンターカブはロングラン能力も高いオートバイだ。
特に現行の2023年モデルは、新エンジンを搭載してロングストローク寄りとなり、低回転トルク型のエンジン特性に振られているが、同時に二次減速比がロング方向に振られている(ドリブンスプロケットを1丁少なくしている)から、ゼロ発進よりも高速クルージング向きな設定になっているのだ。
とはいえ、最高出力がわずかばかり向上したこともあって、ファイナルをロングにして加速がもたつくようになったとはとても体感できない。
しかし、高速域で走っている時のエンジン回転数の落ち着きを感じることはできる。タコメーターがないから正確には回転数が分からないが、このスピード域ではエンジンがうなってイジめているほどではないな、という境目が下がっているように思える。
トップギア4速で60km/hで走っている時、旧モデルでは例えば4000回転まわっていたものが、現行モデルでは3500回転になる、そんな印象。走る距離が伸びるほど、この500回転はライダーの疲れの差となってあらわれるだろう。ちなみに最高速は、ギア比の関係かテストコース計測で100km/hちょうどあたりだ。
実際に走ると、どうしても面積の小さなサドルシートがお尻の痛さを生んでしまうけれど、休憩をとったり、座る位置を変えたりで、ライダーがハンターカブより先にネを上げてはいけない。どうしても気になるのは5.3Lというタンク容量だが、無給油で300km近い距離を休憩なしで走れるライダーも、そう多くはないだろう。
スーパーカブの歴史上、クロスカブ、C125、そしてハンターカブと、いまが一番ロングランに使われているだろう。そのタフさも、耐久性も、ハンターカブの大きな魅力。走れば走るほど、距離が伸びれば伸びるほど、真価を発揮するオートバイだ。