1975年に登場した初代ゴールドウイング(GL1000)から2018年の「ゴールウイング ツアー」まで、歴代モデルはもちろん、派生モデルも一挙に紹介!
文:中村浩史

ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年

既成概念を超える水平対向4気筒エンジンを搭載した初代Gold Wing(GL1000)

画像: Honda Gold Wing(GL1000) 1975年

Honda Gold Wing(GL1000)
1975年

画像1: 【歴代モデル解説】ホンダ「ゴールドウイング」の歴史 1975年~2018年|派生モデルも紹介
画像2: 【歴代モデル解説】ホンダ「ゴールドウイング」の歴史 1975年~2018年|派生モデルも紹介

CB750FOURをベースとすることなく、まったくゼロから「アメリカ向けのオートバイ」を追求して生まれたのが初代ゴールドウイング。低重心、低振動の水冷水平対向4気筒エンジンを採用し、クルーザー形ではない大陸弾道ツーリングを作り上げた。

画像1: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年

Z1とは違った「スポーツ」をゴールドウイングが切り拓いた

まったく意外な話かもしれないが、初代ゴールドウイングは、打倒カワサキZ1を狙って開発された、ホンダの最新スポーツバイクだった。

当時の最大マーケットであるアメリカで、ホンダはまず1968年にCB750FOURを発売。同時期にカワサキが、同じ4気筒750ccのモデルを市販寸前まで仕上げていたのは有名な話だが、爆発的人気を博していたホンダナナハンとカテゴリーがバッティングするため、排気量を900ccとして発売。それが900スーパー4ことZ1で、そのZ1がナナハンをしのぐ人気モデルとなったのだ。

そのZ1を打倒しようと開発されたのが、同じ4気筒でも水冷、それも水平対向レイアウトのエンジンを採用したGL1000で、そのGLはナナハンやZ1をしのぐスーパーツーリング性能が評価され、ナナハンやZ1ファン層とは違う、まったく新しいパイを切り拓いて人気モデルとなったのだ。

以降アメリカでは、ナナハン→Z1路線のスポーツバイクと、ハーレーをも敵に回したゴールドウイング的ツーリングバイクが2大カテゴリーとなって日本車がシェアを伸ばしていく。

ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年・各部装備・ディテール解説

エンジン

画像2: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年

トルクリアクションバランサーを内蔵した、水冷水平対向4気筒エンジン。最高出力80PS以上を発揮した999ccエンジンで、この数値は900ccのZ1とほぼ同等、車重は259kgと、これもZ1同等。

画像3: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年

構成パーツのレイアウト

画像4: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年

運動性向上のために、重量物であるフューエルタンクをシート下に、通常のタンク位置は、中央を小物入れと車載工具入れとし、右にラジエター冷却水タンク、左に電装系部品を収納していた。

画像5: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年
画像6: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年
画像7: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年

ドライブシャフト&リアブレーキ

画像8: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年

現代の右ブレーキ/左ドライブとは逆レイアウト。ドライブは当時まだチェーンの耐久性が高くなかったためのシャフトで、当時まだ珍しかったリアディスクブレーキを標準装備。ツヤ消しマフラー+テールパイプのメッキマフラーカバーも話題になった。

画像9: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年

フューエルタンク

フューエルタンクはシート下へ。これは重いガソリンを高いところに置かず、ガソリン残量が変わっても重量の前後配分が変わらないための配慮だ。

画像10: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年

始動方式

始動はセル/キック併用。折り畳み式キックアームは車体左サイドにあり、水平対向エンジン=縦置きクランクシャフトのため、縦踏み式となる。

画像11: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1975年

ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1977年~1980年

ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1977年

1976年にゴールドストライプ、専用エンブレム、ゴールドホイールのLTDを追加し、1977年モデルではハイハンドルを装着、シート表皮などを変更する。

画像: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1977年

ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1978年

CB900Fにも使用されたコムスターホイールを装着した1978年モデル。メーターデザインを変更し、キャブレターは1mm小径化。リアウィンカー位置も変更。

画像: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1978年

ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1980年

アメリカで生産を開始した2代目GLは1100ccに排気量アップ。ホイールベースを延長し、タンデムライダーの快適性をアップ。インターステートも追加される。

画像: ホンダ「Gold Wing」(GL1000)1980年

狭山工場生産からアメリカへ。アメリカによるアメリカのためのGLへ

1972年に開発プロジェクトがスタートしたというゴールドウイングは、1975年にデビュー後、1976年にスペシャルバージョンを生み、1977年にはハイハンドルバーを装着、タンデムシートも表皮を専用デザインとし、ロングツーリング性ともうひとつ、タンデムという要素を重要視し始めることになる。

このあたりで、アメリカのユーザーとともに、ゴールドウイングの進むべき方向性を「長距離ツアラー」へと定めたようで、1978年にはメッキマフラーや減衰力調整機構付きのリアサスペンションを投入。コムスターホイールはワイヤースポークより軽く丈夫で、なによりメンテナンス性に優れているから、という採用理由だった。

そして、ついに1980年型1100からはホンダ・オブ・アメリカでの生産がスタートし、いよいよアメリカによるアメリカのためのオートバイとなっていく。

上級モデル「インターステート」、「アスペンケード」の登場 1980~1985年

よりツーリングを楽しむための装備を搭載したインターステート、アスペンケードが登場‼

排気量を1100ccにアップした1980年モデルから、スタンダードのゴールドウィングに、フルカウル、サドルバッグ、トランクを標準装備した上級モデル「インターステート」が登場する。

これはGLをベースにアメリカのパーツメーカーが次々とドレスアップパーツを組み込んだ仕様を発売したためで、より豪華なバージョンとなる「アスペンケード」も追加された。

ここからGLはアメリカならではの進化が続き、オーディオや無線を標準装備し、サウンドシステムを高音質化。主にタンデムシートの快適性を上げるなどの変更を追加。ついに1985年にはスタンダードの発売は終了、インターステート/アスペンケードの2本立てとなる。

ゴールドウイングの第2期は、よりツーリング性能を上げていく進化へ。1980年モデルでカウル付きインターステートがタイプ追加されると、さらに豪華装備を加えたアスペンケードもタイプ追加し、1984年のモデルチェンジで1200cc化。フロント16インチのGLが1987年まで発売される。

ホンダ「Gold Wing (GL1100)INTERSTATE」1980年

画像: ホンダ「Gold Wing (GL1100)INTERSTATE」1980年

ホンダ「Gold Wing (GL1100) ASPENCADE」1982年

画像: ホンダ「Gold Wing (GL1100) ASPENCADE」1982年

ホンダ「Gold Wing (GL1200) ASPENCADE」1984年

画像: ホンダ「Gold Wing (GL1200) ASPENCADE」1984年

ホンダ「Gold Wing (GL1200) Limited Edition」1985年

画像: ホンダ「Gold Wing (GL1200) Limited Edition」1985年

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