オフロードに踏み込む前から緊張するんだが?
フロントホイールの21インチ化によって、オンロードのワインディングでは予想外のパフォーマンスを発揮したVストローム1050DEですが、やっぱりオフロードも走らざるを得ません。
正直、めっちゃ気乗りしない……
もともと私はそれほどオフロード走行が得意じゃないですし、Vストローム1050DEと言えば……
両足ツマ先立ち!
シート高880mmですから……
そして!
車両重量252kg!!
普通に重い!
さらには~
冒険バイク向けとはいえ……
オンロード寄りのタイヤ!!!
ワインディングではかなり良い仕事をしてくれたので評価は高いですが、未舗装路となるとまた話は違います。
プライベートだったら林道に行きたくない
つまりですね、これが『スズキのバイク!』の試乗ではなく、自分の愛車でのツーリングだったら、まず間違いなく林道とか行きません。
自分の愛車を壊したくないですもん。そういう人、私だけじゃないでしょ?
『これは仕事、これは仕事……』
ヘルメット内で念仏のように唱え、自らをセルフ洗脳。オフロードに踏み込む前から緊張しまくりの心にフタをします。
あぁ……この前乗ったVストローム800DEは楽しかったナァ。今回は無事に帰ってくることだけを考えよう。
そうしてVストローム1050DEの巨体でも走れそうなフラットな林道をチョイスし、意を決して突撃!
その結果は!?!?
これ、普通にスゴいわ。
安定感っていう部分だけで言ったらVストローム800DEを超えてると思う。
オンロードのワインディングでも感じたことが、そのままオフロードでも適用されるんです。
……ビクともしない。フラットとは言えダート路面なのに。
ヘヴィ級の重量252kgが逆にどっしりした安定感を生み出していて、フラットダートなんてお気軽そのもの。サスペンションもよく動くし、タイヤの接地感も十分に感じられる。
ただもちろん、足つき問題があるので停まる時は気を使うし、Uターンを試みようものならひと仕事。でもその解決策は……
ひらすら突き進む!
これで対処できました(笑)
ちょっと荒れてるな……とか、ギャップが大きめだな……と感じても、そのまま行く。Vストローム1050DEを信じて行く。
そうすると拍子抜けレベルにあっさりとクリアできちゃうんです。それがスゴい。
当然バイクを寝かせてコーナーを走ったりはしないし、泥でぬかるんだような場所は避けるようにするんだけど、それを冷静に見極めて走行ラインを選ぶ精神的なゆとりすらあります。
思ってたよりも3倍くらい平気。そうして、だんだん楽しくなってきちゃって……
水たまりバッシャーンッ!とかやってみたり(笑)
この瞬間ね、冒険バイク冥利に尽きるというか、自己満足度200%に幸せ。冒険サイコー!ってなります。
内心ではズルッといったら終わり……って、そう警戒してるんだけど『このバイクはたぶん大丈夫』という気持ちのほうが勝っちゃって、突撃したくなっちゃって。
そうしたら案の定、余裕で。
た、たのしい……
Vストローム800DEのように『もっとイケる! ガンガン走りたい!』っていう気分とは違います。重戦車で難所を乗り越えていく快感というか、冒険心がものすごく満たされる感じ。でもそこに怖さがない。進んで行ける! と信じられるんです。
確かにこれは従来型のVストローム1050XT以上の悪路走破性です。1050XTもオフロードで不安を感じさせないバイクだったけど、確実にそれ以上。フロントホイール大径化だけじゃなく前後サスペンションやタイヤの進化が総合的に作用して、それを可能にしてます。
ただ、今回は普通に狭い林道なので必殺の『Gモード』は発動させていません。
Vストローム800DEの調子でやったら、MAX106馬力でとんでもないことになるのは目に見えているので。
うーん……これならもうちょっと荒れてる林道でも楽しいかも?
でも今回のようにフラットダートを『安全に気分よく』楽しむのが正解な気もする。フラットダートを走りに行って、予想外の難所に出くわした時にもVストローム1050DEなら乗り越えていけると思うし。
そうして林道の奥、ふいに現れた美しい光景。
この時に思いました。Vストローム1050DEって最高だな、と。
足つきとか大変な部分もあるけど、従来型の1050XTじゃ届かない感動をVストローム1050DEは見せてくれるような気がするんです。
(下に続きます)
そうやってね、バイクに『夢を感じられること』って、私はとても大事だと思ってます。
このバイクとなら地の果てまでも走っていける。そういう気持ちにさせてくれるのがVストローム1050DEなんだと思う。
最初はビビリまくりだったけど……さすがスズキと言うべきか。Vストロームシリーズのフラッグシップモデルとして、オーナーに壮大なロマンを与えてくれる1台に仕上がっていました。
男のバイク、ここにあり。
Vストローム1050DEは、そう言いたくなるバイクです!