文:太田安治/写真:南 孝幸
アクティブスポーツ「ライディングステップ」テスト&レポート
アールズギアから超高品質バックステップ誕生!
左右のステップ位置を純正よりも後方/上方に移動させるのがバックステップ。前傾姿勢を取った際に車体との一体感が高まり、バンク角の増大にも貢献するスポーツライディング向けのチューニングパーツだが、その機能美ゆえにドレスアップパーツとしての人気も高く、国内外の多くのブランドが製品化している。
そのアフターパーツ激戦区にあえて参入したのが『アクティブスポーツ』。リプレイスマフラーで圧倒的信頼を得ているアールズギアの新ブランドで、マフラーと同じく企画・開発・テストは元ワークスライダーでもある樋渡氏が自ら担当している。
開発準備中に複数の既存品を試したところ、剛性や精度に疑問を感じる製品も少なからずあったという。そこでアクティブスポーツの製品はアルミ合金の素材、プレートとペダルの板厚、肉抜きの形状など、剛性に重きを置いて開発。剛性が高まればステップワークで荷重が掛かった際の変形が抑えられてダイレクト感が増し、シフト/ブレーキの操作精度も上がるからだ。
ステップペグの位置は前後/上下それぞれ2段階に変更(ZX−25R用は前後ピッチ15mm/上下ピッチ10mm、Z900RSとハヤブサ用は前後上下とも12mmピッチ)でき、計4種類のポジションに設定可能だ。
「バックステップ」であることを強調するために極端に位置が変わる製品もあるが、スポーツライディングを含めた公道ユースに適した範囲に収め、ライダーの体型、好みに合わせて調整幅を与えてあるのも、現実的な環境下での使いやすさ、快適性に拘る樋渡氏の設計らしいところ。
素材は特殊アルミ合金の無垢材で、公差1/100mmの5軸マシニングセンターで削り出すことで、ワークスレーサーに使われているステップ並みの剛性と精度を実現。カラーは鮮烈な存在感を放つオレンジゴールドアルマイトと、シックなジュラルミンブラックの2色。ステップペグ上面には滑り止めのマシニングが施され、ペダル先端にはシューズを痛めないようにラバーのスリーブが装着されている。
Z900RSでテストライディングしたところ、片側のステップに全体重を掛けてもプレートがたわむことはなく、シフト操作も小気味よく決まる。ただしステップペグが無垢材からの削り出しなので、エンジンから発生する高周波振動、路面からのノイズはやや伝わりやすくなっている。個人的にはダイレクト感があって好みだが、ツーリングユースではソールに厚みがあるブーツ/シューズを履いた方がいいだろう。
複雑な形状を正確に削り出し、美しく仕上げられるのもマシニング加工のメリット。機能性に加え、単なる飾りではないドレスアップ効果が得られる逸品だ。
HAYABUSA用
ハヤブサは純正ステップでも後退気味に設定されているため、ライディングステップはバック/アップ量とも最大22mmまでとしている。最小設定はどちらも10mm。ハヤブサ用のみヒールガードが羽をかたどっているのはデザイン的な遊び心だ。
純正と比較
Z900RS用
Z900RSのノーマルステップと、アクティブスポーツライディングステップ(写真はノーマルに対して32mmアップ・32mmバックの設定)の比較。膝の曲がりと足の位置、傾斜はツーリングで疲れず、スポーツ走行ではコントロール性が上がる設定。
Z900RSノーマルステップ
ACTIVE SPORTS ライディングステップ
テスター太田安治の欲張りリクエスト
品質に関しては何ら文句なし。ツーリング向けオプションパーツとして、振動を吸収するラバー付きステップペグがあるといいかも。アルマイトがカラーオーダーできればカスタマイズ満足度がより高められるだろう。
文:太田安治/写真:南 孝幸