文:濱矢文夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行/モデル:葉月美優
アプリリア「SR GTスポーツ125」インプレ(濱矢文夫)
アドベンチャーらしい足まわりにも注目!
125ccとは思えないボリュームの車体がスルスルと進んでいく。アプリリアが「アーバンアドベンチャー」と呼ぶのが理解できるSUVのように長い足を持ち、最低地上高は一般的なスクーターより高く、車体全体が高い位置にある乗車感だ。そうなるとどうしても重心が高くなりがちだから、ゆっくり走っているとフラフラするのではないかと思っていたら、そんな予想を裏切るように安定した乱れることない所作で驚いた。
インナーチューブ径Φ33mmのフロントフォークとプリロード調整が可能なリアのツインショックはそれぞれ120mm、102mmのホイールトラベルがあり、ソフトな印象はないけれど、マンホールのフタとか継ぎ目や段差を乗り越えたときにガツンっとショックがあるわけでもなく、ふわふわと揺れが落ち着かないわけでもなく、ストローク感のある動きをダンピングで上手に抑えている。
いざ舗装路を外れてダートに入っても、グランドクリアランスと長い脚からフラット林道のみならず、慎重にいけば少々荒れたところも走破できるポテンシャル。大径ホイールを履いた本格オフローダーのようにはいかないのはあたりまえだが、無理だと挑まずに白旗を上げる必要はない。
4ストローク水冷SOHC4バルブ単気筒エンジンのスペックは15HPの最高出力に12Nmの最大トルク。これは125ccのライバルと照らし合わせてもトップレベル。だけど、発進時の二次減速比は少し高くしている感じで、ビュンっとダッシュして飛び出さない。スーッと滑るような走り出しで、そこから淀みなく到達した高回転域で速度を一段と高めていく。その低速時の設定もあり、渋滞でゆっくりとクルマの後ろをついていきながらのアクセルオン・オフでライダーがゆすられるぎこちなさがない。とにかくスポーツスクーターらしくエンジン回転数を上げてのシームレスなスピードの伸びが気持ちいい。
アプリリアのスーパースポーツ、RSVシリーズと共通したディテールのスタイリングはアグレッシブでかっこいい。ただ、中身はそのスポーティーなルックスから受けるイメージより落ち着きがある。普通に舗装路を飛ばして平均速度をあげていってもガタピシと安っぽくなく、あくまでもスムーズでジェントル。
フットボードは、膝が90度の角度になる欧州スクーター定番のポジションだけでなく足を前に出して膝の角度を大きくしたポジションもできるからうれしい。体の自由度があると意識的に体勢を変えやすいからライディング時の疲労度を軽減できる。ゆったりしたボディサイズでリラックスできるゆとり。アプリリアにはほぼこのままもっと走行速度レンジが高い200ccエンジンのSR GT200もラインナップに並んでいるから、その恩恵もあってしっかりとした全体の剛性を得ている。
車両重量148kgと決して軽くはないが、上り下りの峠道で不足なく速度コントロールができるブレーキ性能。フロントブレーキにはABSが装備されている。それと質の良い前後の足廻りにがっしりとした車体が組み合わさった走りは楽しい。純正タイヤはアドベンチャーを名乗ることを正しいものとするように、ミシュランの舗装路もトレイルもいけるアナーキーストリートを履いている。奇しくも110/80-14、130/70-13の前後タイヤサイズは同じアドベンチャースクーターカテゴリーのホンダADV160と同じだったりする。
開口部が広くいろんな形状のものが入れられそうなシート下にある収納スペースは便利に使えそう。ただし、あまり深さがないのでフルフェイスヘルメットは無理だろう。そのかわりに前ヒンジの両サイドにフックがあるから、シート下に入らない大きめのヘルメットならこれを使うといいだろう。
給油口はセンタートンネルにあり、9Lの容量がある燃料タンクもこの場所。フラットフロアではないから足元に大きな荷物は載せられない。どうしてももっと荷物を積みたいならば、アプリリアの純正オプションにある32Lのトップケースを装着する手もある。
原付二種スクーターとして、通勤や買物、ちょっとしたお出かけといった日常で便利に使えるコミューターの本領は失わず、精悍な容姿とラギットな要素を組み合わせ冒険に近づいて非日常を味わえる趣味性もちりばめられている。ニクイくらい欲ばりなヤツだからこそ惹きつけられる。
アプリリア「SR GTスポーツ125」カラーバリエーション
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