文:オートバイ編集部/写真:中村浩史
ホンダ新型「CBR600RR」考察

Honda 新型 CBR600RR
スタイリングは2020年に登場した従来型から継承。600ccクラス随一の本格スーパースポーツだが、扱いやすさから幅広い層のライダーに愛されている。
いまや貴重な存在の本格600SS!
世界的に進んでいるカーボンニュートラルの波は、ガソリンエンジンを搭載するオートバイに大きな影響と変化をもたらしている。特に影響を受けている、とされるのが、燃焼効率を極限まで高めてハイパワーを追求する4気筒スーパースポーツのカテゴリー。性能重視でギリギリのところまで追い込んだ設計のエンジンにとって、燃焼効率が下がると出力も大きくダウンしてしまい、本来のパフォーマンスが得られないのだ。
その影響もあり、600クラスの4気筒SSは徐々にそのモデルラインアップを減らし、レースレギュレーションに合致した公道仕様の600SSの現行車はいまやCBR600RRのみ(ZX-6Rは636cc)となった。そんなCBR600RRだが、2024モデルで更に熟成を重ねて進化。今回、鈴鹿8耐の会場でその姿が先行公開された。

8耐のホンダブースに登場した新型CBR600RR。偶然通りかかった長島哲太選手にまたがっていただいた。優勝おめでとうございます!
新排出ガス規制に対応し実用性もさらに向上!
今回先行公開された新型CBR600RRだが、スタイリングは従来のものを継承し、主に新排出ガス規制対応と扱いやすさの向上に、その主眼を置いているようだ。
デザイン自体は従来型と同じなので、外観から受ける印象はカラー変更によるところが大きい。今回はレッドのいわゆるHRCカラーとブラックの2色を公開。8耐で展示しただけに、国内発売の可能性はほぼ確実だろう。
詳細は未公表だが、新型は排出ガス規制対応で排気系を大きく変更している模様。カウルの隙間から見える範囲でも、はっきり見て取れるほど変更されている。
あとは、プリロード設定の見直しで足つきを向上させているようだ。スリムでコンパクトなことから、幅広い層のライダーに支持されてきた600RRだけに、この変更は大歓迎。今後の展開に注目して待とう!
ホンダ新型「CBR600RR」カラーバリエーション
新型のカラバリは全2色!?
HRCのワークスカラー、グランプリレッド(写真下左)はグラフィックパターンを変更。もう一色はマットバリスティックブラックメタリックだ。

ホンダ新型「CBR600RR」各部装備・ディテール解説

特徴的なセンターアップマフラーは2003年の初代から受け継がれている伝統。テール周りもすっきりしたデザインとなっている。

カウルの隙間から見えるエキゾーストパイプの形状は大きく変わった。エンジン排気口からの取り回し、連通管の位置など、すべてが異なっている。

アンダーカウル下から見えるセンターパイプにあった触媒の大きなふくらみは姿を消している。おそらくは形状、容量の変更と思われる。

2007年に登場したPC40型をベースとして熟成を重ねた現行モデル。特徴的なセンターアップサイレンサーもそのまま引き継いでいる。

撮影車はクイックシフターを装着。これまではオプション扱いだったが、今回からは標準装備になるという噂も! 期待しよう!

フロントフォークはショーワ製のSFF-BP、ブレーキキャリパーはニッシン製と、足まわりのパーツに関しては従来型からの大きな変更はない。

アルミダイキャストのメインフレームや、堅牢な構造のスイングアームも従来型から継承。装着タイヤはダンロップのロードスポーツ2。

ウイングレットを装備したフロントマスクのデザインはそのまま継承されるが、ライト下にホワイトのラインが入り、より新鮮な印象に。

2020年に登場した現行モデルから、メーターは大型のカラーTFTを採用。HSTCなどの電子制御も充実しており、新型にもこれは継承される。

シートやテールカウルの形状自体に変更はないが、新型はリアショックのプリロード設定を見直し、足つき性をさらに向上しているようだ。
文:オートバイ編集部/写真:中村浩史