1980年代後半に盛り上がった「レプリカブーム」。その申し子とも言えるアイコニックな存在が、ホンダのNSR250R。中でも、1988年登場の2型は、その圧倒的な動力性能で最強の名を欲しいままにして、レプリカブームを牽引していくのである。
まとめ:オートバイ編集部
まとめ:オートバイ編集部
ホンダ「NSR250R」(MC18・1988年)特徴
ライバルをぶっちぎる群を抜いた速さの名車
1986年10月にNSR250Rを投入したばかりのホンダだったが、最大のライバルであるヤマハTZR250に対する警戒感は大きく、大幅な性能向上が予想される次期TZRに打ち勝つためには劇的なパフォーマンスの向上が必要と考えていた。こうして誕生したのがMC18型のNSR250R。勝つためには手段を選ばない、ホンダの貪欲な姿勢が如実に現れた1台だ。
市販二輪車世界初のコンピューター制御によるPGMキャブレターとPGM-CDIを採用。RCバルブと呼ばれる可変排気孔バルブシステムとあわせ、実際は45PSというカタログスペックが疑わしいパワーが出ている、とさえ言われた。フレームは異形5角形断面アルミツインチューブで、当時登場したばかりのラジアルタイヤをリアに採用するなど、最先端技術を積極的に採り入れた。
そのパフォーマンスはライバルを置き去りにする強烈なもので、レースシーンでは「勝ちたければNSR」とさえ言われた。出力特性と車体剛性の関係で、本来持っている性能を引き出すことが難しいと言われたが、そんな手強さもレーシーだと歓迎され、最強の2ストレプリカという名声を欲しいままにした。