文:RIDE編集部
2009年にスーパーカブ110が誕生! これが新しいスタンダードに
今やスーパーカブは110ccがスタンダードだ
スーパーカブの誕生から50年、次の50年を見据えて2009年に誕生したのがスーパーカブ110。50/70/90ccの3本立てだったバリエーションが統合され、現在では50/110ccの2本立てとなり、さらに110ccのアッパークラスとしてC125を持つラインアップとなっている。
スーパーカブ110は、スーパーカブ50をベースに生まれた90を刷新した国内専用モデルで、誕生50年を経過して、スーパーカブをオールニューとするという意欲作だった。
エンジンは、国内仕様として新設計した110ccエンジンで、それまでの90cc版と同等の耐久信頼性を確保しつつ、全域で出力とトルクアップを図った、時代に合わせた動力性能をもつもの。これは、1988年に国内に輸入されたタイホンダ生産の100cc「カブ100EX」とはまったく別物だ。
新設計された110ccは、次世代エンジンらしく、PGM-FI(=フューエルインジェクション)仕様となり、軽量ピストン、ローラーロッカーアーム、オフセットシリンダーなどの新規技術を採用。ちなみに排出ガスクリーン化のため、50ccモデルは2007年にPGM-FIを採用して発売されていた。
さらに110cc化による動力性能向上に合わせたフレームボディとなり、スーパーカブの代名詞となっていた、バックボーン+プレス構造をバックボーンに一新。スイングアームもプレスモナカ構造から四角断面スチールパイプに変更するなど、従来のスーパーカブよりも高速化を確保する新世代スーパーカブが誕生したのだ。
110cc版は2012年にフルモデルチェンジを果たし、中国生産モデルにスイッチ。2017年にはさらに高い完成度と信頼性を上げるべく再び国内工場モデルとなり、2020年には新規排出ガス規制をパス。そして2022年にフルモデルチェンジを受け、キャストホイール、フロントディスクブレーキ、ロングストロークエンジンを採用した現行モデルのJA59型が登場した。
時代に合わせた排気量アップ、それに対応する新時代の車体構成と、キャストホイールやディスクブレーキなど、現代の交通手としての完成度を上げたスーパーカブ110は、クロスカブという、これも大ヒットとなるモデルを派生させ、今やスーパーカブ50/50プロを凌ぐ販売台数をカウントする。これからのカブシリーズは、110が基準モデルなのかもしれない。
スーパーカブ110(2009年)
2009年にデビューした完全新設計の110cc「横型」エンジン。それまでの90ccの最高出力が10PSだったものが、新たに110ccで15PSとなった、記念すべき110ccモデルのスタートだ。
スーパーカブ110(2012年)
110ccバージョンの二代目JA10は角目ヘッドライトで2012年に登場。24万9900円から22万8900円にプライスダウンしたのが大きな話題となった。先代のJA07は海外産パーツを含めて国内生産していたものを中国生産に切り替えたためで、2017年以降は国内生産に戻っている。
スーパーカブのカジュアル化のスタートはコレ!
実務一直線イメージのスーパーカブが、街乗りのおしゃれな乗り物と認識され始めたのが2000年前後。1997年に前後ホイールを14インチとしたリトルカブを発売すると、2001年にはリトルカブのツートーンカラーを採用した50スタンダードを発売。そのツートーンカラーのボディは翌2002年から50ストリートと呼ばれ始める。スーパーカブのカジュアル化がスタートした時期だ。
歴代最高の好燃費エンジンは?
スーパーカブの重要なキーワードのひとつが好燃費。最初に「超好燃費」がクローズアップされたのが、1981年モデルのスーパーカブ50で、ひとつ前のモデルの85km/Lを105km/Lまで向上させたエコノパワーエンジンを搭載。
さらに1982年モデルでは150km/Lに、1983年モデルではなんと180km/Lを達成。この数値は1991年モデルまで続いたが、この時期がスーパーカブ50歴代最高の好燃費モデル。ちなみにこの頃のカタログデータは30km/h走行の低地走行値で、現行のスーパーカブ50は105km/Lと発表されている。
文:RIDE編集部