車両への意思伝達を行いやすく応答性も高くする
ひと口に“良く走る”と言っても、実際にはさまざまなケースがある。サーキットでタイムを出すのか、ツーリングで楽しいのか。ワインディングではどうか。このゼファー1100の場合はこうだ。
「オーナーさんは走るのは好きですけど、サーキットではなくストリート指向なんです。ですから、そこ=ストリートで多く出会う低中速コーナーを気持ちよく走れることをターゲットにしています。ハングオンのように身体を大きく動かすのでなく、ライダーが目線を動かし、肩をすっと入れるような自然な動き。それに応答してバイクが曲がる感じです」
アラブルの笹賀さんはこのように答えてくれた。具体的な作り込みは、17インチ仕様にした際に上げてしまいがちな車高をあえて抑え気味にしながら、バンク角も確保(左右の倒し込みの際に車体やエンジンと路面のクリアランスを確保)すること。ブレーキも、コーナーのアプローチでがつっと効かせて姿勢変化を積極的に作るのでなく、自然な減速フィールのままコーナーのアールに合った車体姿勢と速度を作り、加速に持ち込んでいけるようにという感じだ。
むしろセッティングの範疇と言えるが、それが出来るパーツチョイスと構成を行い、基本の姿勢/車高を作り込んでいるからこそのセットアップ。言い換えれば、今の自然な動きだけでなく、積極的に身体を動かす方向にも振ることが出来るという余力がある。
そうした振り幅は車両外観からも感じられる。地味よりは派手目がいいとのことでフルペイントもしているが爽やかなパターンとカラーを選び、ホワイトのホイールなどもこれに合わせたセレクト。
「キラキラはしているけどチャラチャラはしない」(笹賀さん)を反映したパッケージになっている。オーナーと10年に及ぶ付き合いの中で話を聞きこうした回答を作る点、そして引き締まった全体感も、ゼファー1100カスタムのひとつの形として参考にしてみたい。
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Detailed Description 詳細説明
セパレートハンドルにマウントされたマスターシリンダーはフロントブレーキ/クラッチともブレンボRCS。グリップはdomino製、各部ボルトもブルーの64チタンを使う。
ライダーの自然な動きに応答する設定のポジションはセパレートハンドルとナイトロレーシング製ステップ、形状もしっかり検討した(内ももの当たる部分など)スプリームシートなどで構成する。メーターはエンジン回転計をスタックST200に変更(純正ケースに埋設)、ステアリングステムはしゃぼん玉ショートオフセットタイプだ。
外装は純正をベースにしているが、YFデザインによる、カスタム感もありながら爽やかな全体感を作るフルペイントが施される。
フレームはノーマルでアクティブサブフレームを追加。エンジンはコスワースφ76mm鍛造ピストンで1135cc化しカムはヨシムラST-1に変更、各部バランスも取った上で元気のある仕様でまとめ、ラウンドタイプ16段オイルクーラーで冷却性にも配慮した。
メッシュ付きチタンファンネルを備えるキャブレターはFCRφ37mmで、しゃぼん玉のチタン ウエルドマフラーを組み合わせる。
フロントフォークはオーリンズ正立でフロントブレーキはラジアルマウントのブレンボ・レーシングCNC 4Pキャリパー+ブレンボ・スーパースポーツφ320ディスクの組み合わせ。
リヤブレーキはブレンボGP2-SS CNC 2Pキャリパーをウイリー製サポートでサンスター・プレミアムレーシングディスクにセットする。
ウイリースイングアームに組み合わさるリヤショックはオーリンズ・グランドツインで、アラブルオリジナルのシングルレートスプリングをセットしている。ホイールはO・Zレーシングのアルミ鍛造、GASS RS-Aで3.50-17/5.50-17サイズを履く。