強い絆から生まれ、さらに話題作りにつながる
白、濃い目の青に彩度のある赤といった鮮やかなトリコロールカラーが印象的なYZF-R7。すべてお任せという内容で、SDG昭和電機グループのCEOである柏木健作さんがケイファクトリーに依頼して製作したデモバイクだ。外装パーツはマジカルレーシング製、ハードパーツの多くはケイファクトリー製とし、冒頭のカラーはSDGのコーポレートカラー。製作の背景を知れば、なるほどと思えるはずだ。
ケイファクトリー代表の桑原裕志さんは金属加工のプロであり、大のバイク好き。その人柄、そしてバイクパーツや物作りの可能性を模索し続ける姿勢が人を惹きつける。
そしてSDG昭和電機グループは、風洞実験施設などの巨大な送風機から、レースでライダーが休んでいる時に身体を冷やす携帯型の送風機まで。強風や弱風はもちろん、熱風から冷風までさまざまな『風』をコントロールする製品を世界中で展開し、安全で快適な作業空間を作る企業。また、数々のレーシングチームの運営やスポンサリングを手掛けている。
ケイファクトリーの工場のマシニングにもミストレーサーという機器が備えられていて、これも昭和電機製。ミストレーサーは工作機械から作業時に発生するミスト(微粒子化して空気中に浮遊するオイル)を捕集する機器で、工場の環境を改善するものだ。
「柏木さんはウチがまだケイファクトリーの看板を上げる前、30年近く前にバイクで工場に遊びに来ていたんです。雨の日も雪の日も来ていました。その時は昭和電機の3代目とは知らずに、バイク好きの青年として付き合っていました。ウチのマフラーを気に入ってくれて、ツーリングからレースまで、よく走り回っていましたね。大学時代の仲間に製品を勧めてくれたり、商売のアドバイスをくれたりもしました。今でもさまざまな情報交換をしながら付き合いが続いています」と桑原さん。
桑原さんと柏木さんはバイクをきっかけに出会い、その付き合いは時が経つほどに深いものになっていった。その絆が前提となって、この車両製作に至るのだ。
昭和電機は多くの工業ショーへの出展も行っているが、その際に国産4メーカーのバイクが揃っているとより多くの人とコミュニケーションが取れるということでデモ車を製作。全日本ロードレースをイメージしたSDGカラーのホンダCBR1000RR-R、そしてカワサキZ900RSは既にケイファクトリーで仕上げ済み。スズキ・KATANAのデモ車はTOT(テイスト・オブ・ツクバ)で昭和電機がサポートするチームKAGAYAMAが担当した。ヤマハはこのケイファクトリー製YZF-R7というわけだ。先の絆は互いの得意分野で生かされ、さらにそこから生まれたこのデモ車は昭和電機に新たなつながりを生み出すツールにもなってくれる。車両作りのそうした背景も参考になる1台だ。
▶▶▶ヘリテイジ&レジェンズが取材した最新のカスタム・バイクはこちら!
Detailed Description 詳細説明
マジカルレーシング製レーサーレプリカミラー(タイプ2ヘッドを装着)とスーパーコートされたスクリーン、綾織りカーボン製トリムがフルカウルモデル、YZF-R7のフロントまわりの個性を演出する。
中空モノコック構造のマジカルレーシング製タンクエンド(綾織りカーボン製)はスポーツライディングに必須のアイテムだ。
レーシーな印象を演出し軽量化にも貢献するフロントフェンダーもマジカルレーシング製で綾織りカーボン製。
リヤフェンダーもマジカルレーシングの綾織りカーボン製だ。美しい仕上がりを持つだけでなく、ノーマルよりも延長することで雨天時に後輪が巻き上げる泥跳ねの抑止性も高めてくれる。リヤショックはギアーズ製に換装し、走りの質にもこだわっていることも分かる。
フェンダーレスキットもマジカルレーシング製。一般的な金属プレート製と異なり、フルカーボンで造形することでオリジナルの形状を作り、軽さと強さも持たせている。
レースレギュレーションに対応するマジカルレーシングのカーボン製アンダーカウルはレーシーなルックスにも貢献するものだ。
ゴールドの焼け色が美しいケイファクトリー製のフルエキゾースト、「CLR-RG+フルエキ ヘキサゴンサイレンサー」(25万3000円)を装着。ノーマルよりもサイレンサーを延長することで歯切れのよいエキゾーストノートをライダーが体感しやすくなっている。
ステップキットはステップバーとペダルを別軸にしたシンプルな作りで、下半身のホールド感を向上し体重移動がしやすくなるケイファクトリー製「ライディングステップ」(7万1500円)を使う。
ケイファクトリー製ライディングステップのステップバー位置はノーマル比でバック×アップが①10mm×0mm、②20mm×0mm、③10mm×10mm、④20mm×10mmの4ポジションから選べる。
φ50mmの可変式クイックハンドル(3万8500円/ケイファクトリー製)は、フロントフォークから簡単に着脱が可能。ハンドル左右にはそれぞれレバーガードも装着している。
万一の転倒によるダメージを軽減することのできる、ジュラコン製のエンジンスライダー(1万6280円)もケイファクトリー製。アクスルスライダー(8800円)も装備している。