モンスターエンジンを搭載した怪物バイクの2台を比較していくっ!
文:ノア セレン、横田和彦/写真:南 孝幸

Z H2 SE VS ロケット 3 GT|ツーリング適性チェック

ロングランで見極めるツアラーとしての資質

画像1: Z H2 SE VS ロケット 3 GT|ツーリング適性チェック

ロケット3もZ H2もモンスターエンジンを搭載しているとは言え、コンセプトはどちらもツーリングバイクを意識している。まずは長距離ツーリングで快適性と扱いやすさを検証した。

画像2: Z H2 SE VS ロケット 3 GT|ツーリング適性チェック

ノア セレン CHECK

底なしのパフォーマンスをヒシヒシと感じながら、その上澄みだけを楽しむ優越感!

画像1: Kawasaki Z H2 SE

Kawasaki Z H2 SE

ストリートはZ H2、ツーリングはロケット

その存在感ゆえ「普通に走り出せるか?」と思ってしまいそうだが、Z H2はフリクション感少なく取り回しが容易。そしてロケット3は重心の低さと足つきの良さから意外や扱いやすくひと安心。

走り出すと、Z H2はいい意味で普通だ。ストリートを走ることにおいて200PSを意識することはないし、しかもエンジン振動の少なさ、上質さが印象的。ライディングポジションも無理はなく、ハンドル切れ角も大きい。ストリートの低速域ではZ900RSとあまり変わらない感覚で乗れてしまう。

エンジンを回せばスピードはいくらでも出るが、カウルがないので防風性に劣るため高速道路は得意とは言えない。シートもハードだし燃費も14km/Lほどだからツーリング向きではないだろう。ドカン!とパワーを楽しんで短距離でアドレナリンを噴出させるのが、もっとも楽しい使い方に思える。

画像1: Triumph ROCKET 3 GT CHROME EDITION

Triumph ROCKET 3 GT CHROME EDITION

その反面、ロケット3はクラッチをつないだ瞬間からエンターテインメントが始まる。鬼のようなトルクが極低回転域から発揮され、想像を絶するほどの世界観に笑いが止まらない。それでいて低速域のアクセルのツキはマナーが良いため、巨体から想像するよりもかなりイージーに扱える。

ただ車体が長いことやステップ位置が独特なことから、ストリートよりはツーリング向きだろう。一定速で走り続けるときもエンジンの表情が豊かだし、意外と防風性も高く快適に走れてしまう。

同じ「バケモノ」でもH2はやはりストリートファイターの血筋で、ロケット3は万能マッスルカーと言ったところか。


横田和彦 CHECK

ありえないほどの図太いトルク vs どこまでも吹け上がる過吸気フィール

画像2: Triumph ROCKET 3 GT CHROME EDITION

Triumph ROCKET 3 GT CHROME EDITION

恐ろしいほどのパワーなのに扱いやすい!

僕のクルマより排気量が大きいエンジンを搭載したロケット3は、どこもかしこもデカい。ボクの体格からしたら存在がモンスターだよ…と思いきや、座るところが絞り込まれていて思った以上に操作しやすい。さらにホイールベースが長く重心は低いので走行中の安定性が抜群にイイ。

トルクがスゴイから回転数を上げなくても余裕で走るし、追い越しはちょっとだけアクセルを開ければ済むし、クルーズコントロールはあるしで長時間走ってもまったく疲れない。意外だったのは着座位置が低いため小さなスクリーンの効果がかなり感じられること。旅バイクとしての充実度は相当高いぞ。唯一、気になったのはステップ位置。ボクの体格だと足が伸び切っちゃうんだよねぇ。

画像2: Kawasaki Z H2 SE

Kawasaki Z H2 SE

ロケット3から乗り換えるとZ H2が400ccになったよう。ロケット3がデカすぎるからそう感じちゃうんだけど。さらに狂わされた感覚によってZ H2の低〜中回転トルクが薄く感じてしまうという事態に。え〜っ、と思いながらアクセルを大きく開けると回転の上昇を超える勢いでパワーが絞り出され、一気に速度が上がっていく。ノケゾリそうになる鋭い加速に「スーパーチャージャーすげ〜!」となった。

ところが、そのハイパワーは驚くほどコントローラブル。市街地走行を柔軟にこなし、高速道路もスムーズに走る。カウルがないので長時間のハイスピード走行はちょっとキツいけど、ツーリングペースなら問題なし。電子制御のレベルも高く、旅を満喫できる。この2台、方向性はまったく異なるのに優劣つけがたいぞ!

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