文:ノア セレン、横田和彦/写真:南 孝幸
Z H2 SE VS ロケット 3 GT|各部装備・使い勝手チェック
装備内容と使い勝手を検証
どちらも200万円オーバーの高級バイクだけに、装備品は至れり尽くせりの豪華絢爛。細部まで作り込まれた究極の装備品を詳しく紹介しよう。
ハンドル幅&ミラー込み全幅
ポジションはぜんぜん違うぞ!
ロケット3はハンドル幅もモンスター級だが、ライダー側に引かれているため不自然感はない。Z H2は一般的なネイキッドレベル。違和感なく、車体を制御しやすい。ここで2人の意見が一致したのがバーエンドミラー問題。必要以上に幅広になることや視線を大きく動かさないと後方確認できないことなどが気になる。2人とも感覚が古いからかねぇ。
Z H2 SE
ROCKET 3 GT CHROME EDITION
並べて比較
メーター
両車とも液晶だけど見え方は違う
中心の丸い液晶に針式のメーターを再現したロケット3は表示を2種類に変えることができる。左右外側の液晶にライディングモードやガソリン量などが表示され、繊細な表示が美しい。今どきのバイクらしいスクエアの液晶を採用したZ H2は、ライディングモードなどすべてここでコントロール。機能性は高く表示もキレイで見やすいが、やや没個性か。
Z H2 SE
ROCKET 3 GT CHROME EDITION
フロントサスペンション調整機能
フォークの調整方法も異なる
ロケット3に装備されたSHOWA製倒立フォークは、コンプレッションおよびリバウント調整が可能。リアショックには油圧式リモートプリロードアジャスターが付くが調整はマニュアル式。Z H2は路面や走行状況にあわせてリアルタイムに適応し、理想的な減衰力となる電子制御サスペンションを搭載。ライディングモードにあわせて自動的に適切な設定になる。
Z H2 SE
ROCKET 3 GT CHROME EDITION
シート
ライダーと接するシートは重要
とにかくデカく、いろいろと規格外の部分が多いロケット3だが、ライダーが座る位置は低く、幅も絞り込まれているため腰回りの落ち着きは良い。ドシッとして肝が座ったようなポジションは、モンスターと対峙する気になる。Z H2のシートはスポーツバイクのようなセパレートタイプ。ライダーが動きやすいため、積極的にコントロールすることができる。
Z H2 SE
ROCKET 3 GT CHROME EDITION
フロントマスク
コワモテで個性的な顔は圧が強い!
両車ともモンスターらしい個性を放つデザインだ。バックミラーに映ったらドキドキしてしまう。とくにロケット3は全体のデカさもあって注目度が抜群に高く、一般の人が見ても「スゴイ乗り物があるぞ」と思わせる迫力がある。一方、Z H2は甲高い過給機サウンドが混ざった独特の排気音がタダモノじゃない感をビンビンに伝えてくる。どっちもたまらないぜっ!
フロント足まわり
すべてが独特のロケット3に対して、スポーツバイクのセオリーに準ずるZ H2
こうして並べると同じ17インチホイールとは思えないほど遠近感がおかしいが、それはロケット3が装着する150/80R17というタイヤのせいだ。感覚としてはジャイロの大きい18インチホイールのような感じで、さらに太いタイヤ幅のおかげで巨体をしっかりと支えてくれる。
キャスターやトレールはかなり安定方向の数値だが、アクスル部がフォーク先端から後ろにオフセットされるなど独特の発想が盛り込まれ、意外とスポーティにも走らせられるのだ。Z H2の方は対照的に極めて普通。電子制御サスも備え、低速の快適さからハードなブレーキングまで素直なスポーツ性を提供してくれる。
リア足まわり
意外と普通に走るロケット3に対して、すこぶる快適な電子制御サスのZ H2
ロケット3にはスポーツクルーザーに採用されることが多い240幅のリアタイヤを装着。16インチというところがユニークで、その分ハイトは60扁平としたことで快適性も確保している。銘柄は前後エイボンのコブラクロームで、トレッド面にはヘビのウロコやコブラの頭がデザインされている。縦置きエンジンらしく駆動はシャフトドライブで、アクセルを開けるとリアが持ち上がる感覚は確かにあるが、車体が長いのであまり気にならない。Z H2はオーソドックスな両持ちスイングアームに190幅タイヤだが、国産では珍しい55扁平を採用。電子制御サスと共にパワーをしなやかに受け止めてくれる。
文:ノア セレン、横田和彦/写真:南 孝幸