相手をしたくなるような存在感はあるのに、そこに縛られないレブル。いわゆる“素”バイクとでもいうような立ち位置で乗り手、オーナーに接してくれる魅力をもって、2017年の登場以降、ずっと人気を保っている。その魅力の元はどこにあるのだろう。改めて、現行モデルのレブル250に乗って、その素性を知ってみたくなった。走ろう、レブル。
文:中村浩史/写真:柴田直行
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ホンダ「レブル250」インプレ(中村浩史)

画像: Honda Rebel 250 総排気量:249cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒 シート高:690mm 車両重量:171kg 発売日:2022年12月22日 税込価格:61万500円

Honda Rebel 250

総排気量:249cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
シート高:690mm
車両重量:171kg

発売日:2022年12月22日
税込価格:61万500円

走り出しがキモチいい、大人気レブル本当の魅力

それにしてもレブルの人気は圧倒的だ。250を2017年4月に発売、登場初年度こそ8カ月半しか販売期間がなく、販売台数ランキングは6位に終わったが、2018年から6年連続ナンバーワン!

コロナ禍の影響、生産や物流の混乱もあって生産が確保できずに販売できない時期が続いたが、それでもデビュー4年目から4年連続1万台オーバー。大げさではなく歴史に残るヒットモデル。この数年、原付を除いて、日本でいちばん売れているバイクだと言っていい。

画像1: ホンダ「レブル250」インプレ(中村浩史)

そのレブル、乗れば乗るほど好きになる。正直言って、速いオートバイじゃない、キビキビ俊敏に動くわけじゃないし、押しが強く存在をアピールするのでもない。でも、イイ。だから、イイのだ。

レブルで走って、最初に気づくのは、エンジンの気持ちよさ。出力はわずか19kW、トルクも22Nm と、250ccモデルとしては決してパワフルでもなんでもない。

画像2: ホンダ「レブル250」インプレ(中村浩史)

けれど、スロットルを開けた時のスタタタタ、という歯切れの良さ、低回転のトルクの出方、レスポンスの良さが心地いい。その時のサウンドも、軽快な単気筒らしい、いい音を出す。アイドリングから発進、スピードを乗せていく低回転のトルクは、同系統エンジンのCB250RやCRF250Lよりもパワフルに感じられる。

もちろん、高速道路をカッ飛んでいくモデルではない。クルージングのスピードは、法規通りの100km/h+αくらいが適切で、それ以上のスピードとなると風圧とも苦しげなエンジンのうなりとも戦うことになる。

ギヤレシオも二次減速比も同じCB250Rでは、6速100km/hで6200rpmを指していたから、レブルもほぼ同じ回転数だろう。このあたりがいちばん力のある回転ゾーンだ。

画像3: ホンダ「レブル250」インプレ(中村浩史)

いちばんレブルらしいのは、5速40km/hや、6速に入れて50km/h=3000回転あたり。エンジンのパルスがスタタタタと小気味よく、同時に単気筒らしい鼓動が味わえる。スロットル開度はごくわずか1/8ほどで、それ以上の回転域では、スムーズな伸びとなってしまう。それも気持ちいいんだけれど、スタタタタ、と軽快に一般道を50km/hで流すのが気持ちいいモデルなのだ。

近所のチョイ乗りも気軽だし、片道200kmのツーリングだって、高速道路ではなく、下道メインで走りたい。いつでもどこでも、誰でもイージーに走り出しができて、ついついレブルと長時間を過ごしてしまう――。これがレブルの魅力、人気の秘密なのだと思う。

もちろん、その魅力を車体面でも表わしているのもレブル人気の一因だ。実はレブルは、クルーザーではない……のだ。

画像4: ホンダ「レブル250」インプレ(中村浩史)

クルーザーの良さがある足着きのいいスポーツ車

カテゴリーで言うと「クルーザー」に分類されるレブル。かつてアメリカンとも呼ばれていたクラスで、ホンダもレブルのことを「軽二輪クルーザー」と呼んでいるけれど、そこに少々異を唱えたい。

クルーザーと言えば、キャスターの寝たロングフォークに長いホイールベース、車体はフロントホイールが大径でリヤが小径、姿勢は前上がり尻下がり、というイメージがある。ハンドリングも直進安定性優先で、低速で操舵すると、ハンドルがパタンと切れる、とか。

けれどレブル人気の車体面での秘密は、そのクルーザーっぽさがなく、スムーズなハンドリング特性だというキャラクターだ。

画像5: ホンダ「レブル250」インプレ(中村浩史)

走り出してすぐに気が付くのは、前後16インチホイールのおかげもある低いシート高。それでも、低速で走っていても、不自然な操舵の感じもなく、ごくニュートラルな反応。兄弟モデルと言えるCB250Rに比べて24kgも重いけど、取り回しは苦にならない。

前後16インチホイールと言うより、130サイズの太さがあるフロントタイヤの手応えの安定感が高く、決してヒラヒラしたハンドリングではないが、操舵の重さも感じない。そこからスピードを上げていっても、このニュートラルさが破綻することもない。

出先でワインディングに入っても、スポーツバイクのように「フロントブレーキで前を沈めてからコーナリング、そこからスロットルを開けて加速」という作法通りにはいかないけど、荷重をフロントからリヤに移動させていく作業は同じ。ただペースを上げていくと簡単に両ステップを接地させてしまうから、ペースはほどほどに。

画像6: ホンダ「レブル250」インプレ(中村浩史)

もちろん、クルーザーの良さである直進安定性ははっきりしていて、ツーリングでの高速道路の走行でも、安定感たっぷりの巡行が快適に味わえる。ただしここでも、ノンカウルのボディは100km/hあたりのエリアから風圧と戦うことになるからほどほどに。

ルックスはシンプルで、素材感を大事にした、というのがメインコンセプト。それでいて他の誰にも似ていないからこそ、レブルはここまでの人気モデルになった。

画像7: ホンダ「レブル250」インプレ(中村浩史)

クルーザーっぽさを残しながら、歯切れのいいエンジンやニュートラルなハンドリングで、決して高性能過ぎず、乗り手を選ばないキャラクターを持ったバイク。

その上でクルーザーのメリットである低いシート高、快適なハンドル位置という特徴も持たされている。そこも、小柄なライダーや女子に人気がある秘密だろう。

レブルはつまり、クルーザーっぽいキャラクターがあって、最高に足着きがいい、取り回しのラクなスポーツバイクなのだ。乗れば乗るほど、好きになる。

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