文・写真:中村浩史/取材協力:デステック
※この記事はHonda REBEL BIBLE(Motor Magazine Mook)に掲載したものを一部編集し転載しています。
取材協力:destec(デステック)
〒341-0055埼玉県三郷市上口1-16-3
カスタム、チューニングの第一歩もきちんとした整備、メンテナンスから
今回の取材にご協力いただいたのは、埼玉県三郷市にあるデステック。オーナーの笹賀さんは、輸入車ディーラーのメカニックからスタートして、現在は世界グランプリ、全日本ロードレース、アジア選手権、マン島TTなどを担当しつつ、自らのショップdestecをオープン。カスタムはもちろん、整備の大事さを知るメカニックだ。
オーナーは点検、作業はプロに任せよう
6年連続ベストセラー、大人気のレブル250人気の秘密に、そのシンプルな構成がある。ノンカウルにパイプフレーム、エンジンは水冷単気筒と、決して複雑怪奇で難解なモデルではない。オートバイの構造としては、かなりオーソドックスでベーシックだ。
そんなシンプルなレブルは丈夫でロングライフ。けれどそれには定期的なメンテナンスが前提条件となる。ホンダではメンテナンスを日常点検とともに、1カ月または1000km走行時、その後の1年ごとの定期点検を推奨しているが、これはドリーム店などプロフェッショナルに依頼する内容だ。ここでは自分でできる日常点検をメインに紹介していこう。
オーナーが心がけた方がいい運行前点検は、乗る前に5分だけ、「ブタと燃料」と口に出すこと。
①ブ=ブレーキは? ブレーキの遊びと効き具合を確認する。
②タ=タイヤは? タイヤ空気圧と亀裂、損傷がないか、確認。
③と=灯火類は? ライト&ウィンカーが正常に作動するか
④燃料=燃料は入っている?
さらに、オーナー自身が気にしておきたメンテナンスポイントは、
⑤エンジンの始動性、異音がないか、とエンジンオイル交換時期
⑥チェーン張りは適正か
……といったあたり。そのほかの点検やメンテナンスはショップに任せる、というか任せた方が長期間にわたっていいコンディションで乗り続けることができるものだ。
ここで紹介するのは、洗車とエンジンオイルの交換、ライダーの体格に合わせた操作系の調整とチェーン張りのチェック。
かつては「自分で愛車の面倒をみられないなんて」などと言われた時期もあったけれど、現代のオートバイはプロだけが知る勘どころというものが多数存在するのも事実。オーナーは点検、作業はプロに、が現代の常識だ。
メンテを心がけるより洗車を行き渡らせること
レブルを楽しみたい、の中には、乗る、見る、イジる——つまり自分でメカニック的なことをしたい、という気持ちも含まれる。
「ライダーとしてその気持ちはわかります。けれど本音を言えば、メンテナンスは僕らプロに任せてもらいたいです」というのは、今回の作業に協力いただいたデステックの笹賀代表。
運行前点検や洗車、オイル交換などは比較的イージーだが、例えばブレーキレバーはまだしも、ブレーキペダル遊び調整などは構造が複雑でやりにくいし、バッテリーが弱ったかなと思って充電しようにも、シート下のバッテリーはアクセスするにもカバーや付属品があって、思わぬトラブルを呼ぶケースも想定される。レブルは冷却水もチェックしづらく、クーラント入り口も奥まっている。
「たとえばドライブチェーンが少し伸びてるから調整したいな、と思っても、センタースタンドがなくて小径タイヤ、マフラー位置も低いレブルは作業しづらいし、最低でも専用スタンドが必要。チェーン調整をする前から困難がある。、これはレブルだけではなく、現代のバイクらしい構造です」
メンテナンスは、オートバイの構造を知ることだし、自分の愛車をもっと好きになることにもつながる。お勧めは細かいところまで洗車を行き届かせること。こまめな洗車はトラブルを早く発見できるし、きれいなバイクはトラブルも起きにくいのだから。
洗車
まずはシャンプー&ブラシの前にたっぷり水を使っての下洗いから
まずはなにより水洗い。水をかける方向は前から後、上から下が基本。
下の写真のように水を下からパーツ裏に潜り込ませるようにかけると、乾燥しにくく水分が残ったり、電装品を傷めたりするので注意!
車体に付着したごみやホコリを水洗いで落としてから洗剤を使う。カーシャンプーは台所用洗剤でも代用できるが、1/2くらいに水で希釈すると使いやすい。
外装部品は柔らかめのスポンジで、ブラシも数種類用意。細かいところも「泡もろとも」磨き落とすつもりで洗えばパーツにダメージを残さない。用品店で入手できる拭き取りクロスなどを使うのもいい。
再度、水洗いをしたら水分を拭き取る。なんなら近所を一周走れば、乾燥も早いだろう。