文:中村浩史/写真:松川 忍、南孝幸
ヤマハ「SDR」各部装備・ディテール解説

エンジンはモトクロッサーYZやDT200Rにも使用されたケースリードバルブ吸入の水冷2スト単気筒で、コンパクトな車体サイズに管長を収められるよう、トグロを巻いたレイアウトのチャンバーを採用。

YZ系のケースリードバルブ吸入単気筒エンジン。俊敏なスロットルレスポンスを狙ってフラットバルブキャブを採用。デビュー時には0→200mが8秒8、ゼロヨン14秒2、最高速は150km/hと発表された。

スタイリングのアクセントにもなっている、エンジン前部のトグロを巻くチャンバー。か細いだけでなく、このチャンバーのように一か所にボリュームを持たせたところにデザインの妙がある。

サイレンサーと一体成型のチャンバーは、スチールボディのブラック仕上げ。2ストらしい排気音というよりは、おとなしめのサウンドが印象的で、2ストらしいマフラー出口のオイル汚れも少ない。

華奢なトラスフレームに見えて、タンクレールを上下2本として、その間隔を桁組でつなぐ、デルタボックスフレームのレイアウトから肉抜きをしたような形状。

視覚的にも軽量をアピールする、この頃のヤマハ車の定番、中空3本スポークのキャストホイール。1ピストンに見えるキャリパーは対向2ピストンで制動力は充分。タイヤサイズは90サイズ80偏平の17インチで、このタイヤの細さもハンドリングを軽快にした。

フレームと同じく、レイアウト的にはデルタボックス構造から肉抜きをしたようなスチール製スイングアーム。リアサスはリンク式モノサスでプリロードのみ調整可能。一人乗り専用、よく動くサスだ。

丸目ヘッドライト、パイプ式ライトステー、セパレートハンドルの表情がSDR独特の表情と、カフェレーサー感も漂わせる。正立フォークのインナーチューブ径はΦ33mmで、正立でこのサイズというチョイスも、車体の軽量さにひと役買っている。

メーターも割り切ってスピードのみ! メーター内にオイルランプ、水温警告灯を内蔵、メーターステーやトップブリッジ、ハンドルまわりに使用されたアルミの輝きも美しい。
ヤマハ「SDR」主なスペック・当時価格
全長×全幅×全高 | 1945×680×1005mm |
ホイールベース | 1335mm |
最低地上高 | 160mm |
シート高 | 770mm |
車両重量 | 105kg |
エンジン形式 | 水冷2スト クランクケースリードバルブ単気筒 |
総排気量 | 195cc |
ボア×ストローク | 66.0×57.0mm |
圧縮比 | 5.9 |
最高出力 | 34PS/9000rpm |
最大トルク | 2.8kg・m/8000rpm |
燃料タンク容量 | 9.5L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25°30′ |
トレール | 91mm |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・シングルディスク |
タイヤサイズ(前・後) | 90/80-17・110/80-17 |
当時価格(1987年) | 37万9000円 |
文:中村浩史/写真:松川 忍、南孝幸