文・写真:中村浩史/取材協力:ガレージシャンティ
ラッピングシートを印刷
大型プリンターで印刷できる特殊ラッピングシートにデザインを印刷。理論上、写真でも文字でもなんでもラッピングシートに印刷できるため、どんなボディにでも仕上げられるのだ。
下が素材となる印刷済みのラッピングシート。どこからどこで色を変えてコーギーっぽさを表現するのかがデザイナーの腕の見せ所。どこがどの部分か、サッパリわかりません。
ダックス純正エンブレムをコーギーにアレンジ。車名の「CORGI」は、バランスを考えて小文字を合わせて「Corgi」と変更。コーギーの飼い主は、このステッカーだけでも欲しいかも。
ボディの脱脂からラッピング作業~完成まで
施工の第一歩はボディの脱脂から。新車からの施工だったため、この点ではラクだった。ちなみにラッピングシートは、熱を加えるまでは何度も貼り直せるほど粘着力が弱い。
ラッピングシートの合わせ面には、このナイフレステープを使う。合わせ面に上から軽くでもカッターナイフを当てるとボディに傷がつくため、ボディ面からシートを下からカットする。
ラッピングシートを大まかにあてて位置決め。ここから台紙をはがし、仮の位置決めをして、ヒートガンで熱を当て始める。平面のシートが3Dのボディに沿っていく過程が見事!
台紙をはがしてボディに貼るだけでは粘着力がさほど強くないラッピングシート。熱を加えることでシートを伸ばしつつ、シート接着面を溶かして粘着力を高めていく。
メインボディに貼るラッピングシートはフレームの右サイドと左サイドと別々で1枚ずつ。これを重ね合わせて、重なった部分を上のナイフレステープでカットして断面を合わせる。
今回はリアサスマウント部を基準にして貼り込みをスタート。表から見える面とフレーム裏への巻き込み、開閉式シートを開けた部分への貼り込みなど、見えない部分にも気を配る。
フロントフェンダーへの貼り込みは、面積が小さく、そのぶん曲面のRが強いだけに難しい。小さいパーツに貼り込むケースなら、シートを複数構成にすれば楽なのだが、今回は一枚貼り!
貼り込んだフレームにサイドカバーやシートを取り付けると意外と目立たない。純正のホンダウイング赤バッヂは残して、車名ロゴを「Corgi」に変更。
最後に貼り込んだフェンダーがこう仕上がりました。フェンダー後端にはマッドガードが取りついたり、リアフェンダーにはテールランプが取りつけられる。
細かく構成部品が入り組んでいるのが、このシートオープン部分。ノーマルカラーが残っている部分と左右のブラウン部分の3分割で仕上げてもらった。
メインボディにリアフェンダーを取り付けての完成状態。4色を使った今回、この露出した部分のカラーを何にするかがダックスのイメージを左右する。
ちなみに費用は?
ガレージシャンティで行なっているラッピングは、車両全体のフルラッピング、フェンダーやタンク単体などのパートラッピング、さらに今回のようなデザインを印刷したフィルムで施工するデザインラッピングなどがある。
費用の目安は、パートラッピングでフェンダーが約4万5000円〜、タンクが約5万円〜、アンダーカウルが約7万円〜が目安。これがフルラッピングだと、フルカウルが単色約25万円〜、ネイキッドが単色約22万円〜。
今回はデザインフィルムを使用したデザインラッピングで、デザイン料、ラッピングフィルム、部品脱着工賃を含むラッピング施工技術料すべてで約30万円。これを高いと思うか、安いと思うか!
撮影・文:中村浩史/取材協力:ガレージシャンティ